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実践とクラブとギルド

ディルとティリファの一件から数日経った

あの日確認出来ていなかったディルの呪いだがしっかり解けていた、自分を呪う事を辞めたのだろう

これからはさらに強くなれると感じている


他のクラスメイトの魔法の上達も中々のものだ

あの日一緒に合流しなかった那美さんと深於さんはどういう訳か魔術・魔法を操作する能力が格段に上昇していた。二人に聞いても秘密と言われるし、アンリに聞いてもバツが悪そうにするだけで特に説明を貰えなかったのだが、あの感じからすると俺の知り合いの誰かしらに習ったと考えるのが妥当だろう

アンリは教えるの壊滅的に下手だからなぁ


事実俺が担当していない子たちの伸びがあまりにも悪かったので様子を見ていたのだが

全てにおいて抽象的な教え方しかしないのだ、例えるならグーッとかバーンとかドカーンとかオノマトペで教えている

あまりにも可愛そうで途中から全員合流して面倒を見ることになった

当の本人は気が楽になったと言っていたが仕事をこちらに放り投げるのはやめて欲しい所だ

戦闘技術だけなら一線級なんだがなぁ

そんな事を考えながら今日も実技の教官として過ごしている


今日から魔法のみの内容からより実戦に近い形で実技を行っている、その内容とは魔力操作しながら近接戦闘の練習だ。言語化すると簡単に聞こえるがこれが中々上手くいかない


全身の魔力をコントロールしながら近接攻撃を行うのがなかなか難しいらしい

集中が切れた子たちから魔力操作が途切れる、その度にストーンバレットを撃ち込むという中々鬼のような練習をしている


全体を見回っている中ディルの集中が切れたのが見えたから魔法を撃ち込む

「痛えぇ!」

「一応加減はしてるんだけど」

小石を投げた程度の力だディルの反応が大袈裟なのだ

絵面だけ見たらどこの軍隊なのかと言われそうなのだが、効率だけ見ればこれが一番早いのだ


それからしばらくみんなの様子を見て全体の集中力が落ちてきたところで一旦休憩を挟んだ


「ふええ、疲れたね〜」

「お疲れ様、みんな頑張ってるね」

「それはね〜みんなここまでしっかり教えてくれると思ってないから張り切ってるんだよ〜」

「そうなの?」

「アンリ教官はアレでしょ〜?他の教官は偶に来ても私たちにはそんなに一生懸命に教えてくれないからね〜」

実力の低いクラスの扱いは酷いものなのか

実際俺が来るまでの最下クラスであるDクラスははっきり言って設備が終わっている

成績や実技能力で実力を測っていてそれに応じたクラス分けをされるという点は理にかなっているとは思う、しかし設備にまで差をつける必要はないのではと

そんなことを考えていると迦倉さんから質問が飛んできた


「そういえばリキリキ、クラブ活動してないの〜?」

「クラブ活動?何それ」

「知らないんだぁ〜あのね放課後同じクラブのみんなで集まって活動するの〜」

疲れているからかいつもより間延びした話し方に拍車がかかっている

「クラブ活動の話か?俺は肉体言語クラブ入ってるぜ」

俺と迦倉さんの話に不知火くんが混ざる

「何その筋肉至上主義みたいなクラブ」

「おっ分かるか!名前の通り筋トレするだけのクラブ、校舎内にでっけぇトレーニング施設があってそこで日夜筋トレ三昧よ」

「うへ〜暑苦しいねぇ」

「あはは、そんな感じなんだ。他にはどんなクラブがあるの?」

「もしクラブ活動に興味があるのでしたら校内美化クラブをおすすめしますよ」

次いで混ざって来たのは月夜野さん

美化クラブか花でも植えるのだろうか?


「そのクラブは何をするんだい?」

「校内を綺麗に保つために生活魔法を使って清掃を行ったり、時期に応じて花を育てたりしていますよ」

ここには四季がないですからと困ったように笑う月夜野さん

「真面目な月夜野さんによく似合いそうなクラブだね」

俺にはちょっと厳しいかなぁ、部屋の掃除も雑にするタイプだし


「あんたなら冒険者クラブなんてのもいいんじゃない?」

「私もそう思うな」

まだ増えるか!?そう思いつつ声を掛けてきた二人を見ると那美さんと深於さんのふたりだった

「その冒険者クラブって?」

「名前のままよ冒険者やるの届けさえ出せば問題なくできるわよ」

「へぇ、そんなのあるんだ。俺もともと冒険者だしそこが一番しっくりくるかも」

「じゃあほうか───」


那美さんが何か言いかけたところで予鈴がなって声が遮られてしまった

「全員集まれ先程の続きだ!」

「了解した、じゃあ皆戻ろっか」

「「「「えぇぇぇぇ」」」」

皆の疲れ切った声と共にアンリの元に集まる

那美さんが少し寂しそうな顔をしていたのが気になるな、何か言いかけていたみたいだったし後で話を聞いてみようか


内容は先ほどと同じ軍隊方式だが───


「ディルその程度か?」

「まだまだぁ!」

現在俺はディルと模擬戦中だ

ひとりずつ交代で俺と模擬戦を行う事になった、理由としては実戦に近い訓練をするなら模擬戦をするのがいちばん早いということになったからだ

模擬戦をしていないメンバーは先程と同じ訓練をしてアンリにビシビシ鍛えられている


模擬戦の方だがこちらは木剣あちらは個人の得物を使っている、一応ハンデという事になっているが向こうが攻撃、こちらは動きをみて回避をするだけだ

持ち時間は3分ほどであまり長くは相手してあげられないのが少し残念に思う


ディルの使っている得物は大振りで両刃の大剣

髪色ほど鮮やかでは無いが綺麗な銀色の良い武器だ

大きさはディルの身長とほぼ同じ長さで刃幅は人一人分といったところ

掠りでもすれば一溜りもないだろうがあちらの攻撃はは一度も俺に当たる事はない


「うおおお!」

息を整えてからの最初の攻撃。体重を利用した大きな縦斬り、その後すぐに接地させずにに膂力を用いた斬り返しをしてくる

一撃目、二撃目と共に体を少し逸らして避ける

全く少し冷や冷やする。見た限り単調な動きに見えるがその実かなり理にかなった動きをしている

斬り返しに至っては普通の人間にはできないが、獣人特有の身体能力によるのが大きいな


この剣術を教えた人間の意図が手に取るようにわかる

圧倒的な力を持って敵を粉砕、両断する剣

復讐を果たす、敵を倒すという点においてこれ程手軽に人間を殺すことのできる剣はないだろう

その意図と別にしても対大型魔物の戦闘や一対多の場合は本当に脅威となりうるだろう

思考を目の前のディルに戻す、あまりに考え事しながらだと本当に一撃をくらいかねない


「はぁぁぁっ!」

「よっと」

腕の力を使い勢いをつけて遠心力を乗せた右から左への横薙ぎの一閃

飛び上がりおよそ大剣をふるっているとは思えない速さの斬撃を交わす

ディルの方は大剣を振り抜いた勢いをそのままに右足を軸に体を回転させ肩に大剣を担ぐように構える、まるで某ゲームの溜め斬りのようだ


着地しディルの方を向くとすでに大剣を容赦なく振り下ろしていた

「どりゃぁぁ!」

「っぶねぇ!」

横に飛び、転がりながら回避する

おそらく無意識なのだろうが魔力を操作し自己強化を行っているな

普段の実技の時よりもかなり動きが良い、エンチャントほど瞬間的な向上はしないもののそれでも持続的な効果はこちらの方が長い

避けたところに目を向けるとディルの剣が叩きつけられる瞬間が目に入った


あ、コレやばいな


そう思った頃には時すでに遅くディルの渾身の一撃が地面に叩きつけられた

凄まじい轟音と共に実技棟の地面が割れ同時に爆風がこちらを襲う

「わっぷ」

砂埃を避けるために目を閉じ爆風の勢いに任せてそのままディルから距離を取り立ち上がる

こちらからは姿が見えないもののあちらはこっちを認識できているのが感覚が分かる

そろそろ時間だが・・・木剣を握る手に力が入る


意識を集中させ警戒を強める

「これで一本だぁぁ!!」

叫ぶなよもったいない


砂埃を突き破り大剣を振り上げたディルが現れる

いなし迎え撃とうとディルに近づいた瞬間

ディルの顔に拳がめり込み歪んでいくのが見えた

「へ?」

自分でも間抜けだと思う声を出しながら一拍遅れて俺の顔にも拳がめり込むのを自覚した

そのままディルと一緒に実技棟の端まで殴り飛ばされた

・・・クソ、いてぇなオイ


「なんだぁ?」

「俺、神至に殴られたのか?」

「いや俺も殴られた」

「貴様らなぁ、訓練に熱が入るのはいいことだが熱くなりすぎだ」

「「すんません」」

ふたりで平謝りして立ち上がりそのままアンリを放置してディルと感想を言い合う


「ディル、中々やるな、最後の一撃は流石に死ぬんじゃないかと思ったよ」

「そういう割には全部避けてたじゃないか」

「太刀筋知ってたからね、通りすがりの剣神流でしょ?よく知ってるよ」

「そうだったのか、だったら剣神様の事も───いやなんでもない」


途中で言葉をやめたのは力人があまりにも寂しそうな眼をしていたからだ

思えば力人の事何も知らないのだと仲良くなれた様に思えてもどこか一線を引いているそんな風にディルは感じた


その後無視したせいでアンリに再度叱られ他のクラスメイト達に合流する、アレを見て他の子達も火がついたのかやる気に溢れているようだった

一部ドン引きしている人もいるようだが、それは置いて置こう

ディルとの実戦訓練を終えた後は他のクラスメイトたちとも同じように実戦を行い終了後はアドバイスをした


「さすがに疲れたなぁ」

「そりゃそうだろ一人でクラスメイトたちと戦闘行ってそれでまだ余力残してそうなんだからすげぇよ」

「塔に籠ったら1ヶ月は余裕で入りっぱなしだからね、それと比べたらまだ余裕あるかな」

さすがに一人一人のアドバイスしながらだと気疲れの方が強い

ディルと話していると少し離れたところに那美さんを見つけた

ディルに一言断りを入れ那美さんの元へ向かう


「那美さんさっき休憩してた時なにか言いかけてたよね」

「えっあの、もし良ければ放課後一緒にギルドの方に行かないかなと思って」

「ギルドここにもあるの?」

「うん、冒険者クラブに入るにはまずギルドに行って冒険者登録しないといけなくって、その後ギルドからクラブ活動のために登録した旨を連絡してもらうんだよ」

「なるほど、じゃあ一緒に行こうか」

「はい!」

嬉しそうに返事をする那美さんに少し心が暖まる


心地よく感じてはいるものの距離は取っておく、こちらに深く踏み込ませるつもりはない

男性ならともかく女性はまだ少し怖い、でも友達として仲良くはしたい

自分の中のまとまらない感情を押し殺しできる限り平静を保つ


今の気持ちを読み取らせないようにしつつ、校門の前で落ち合う約束をして一度着替えるために那美さんと分かれた



─放課後─



「思ったより時間食っちまった急がないと」

駆け足で正門へ向かう

那美さんと合流する前に一度ジジイと話をしておきたかったのだ

話と言っても確認したいことがあっただけでここまで時間がかかるとは思わなかった

玄関を抜け走り出すと正門前に黒い髪が風でゆらゆらとはためいているのが見えた、待たせてしまったな

「ごめん、那美さん待たせちゃったね」

「私はそんなに待ってないか気にしないで」

「遅いわよ神至くん、さっさとギルドに行って登録してもらいましょ」


正門を抜けて那美さんに合流すると他にも何人か先客がいるようだった

深於さんは安定として、ディルとフィークス宮元くんと迦倉さんがいた


「みんな一緒にギルドに行くって事でいいのかな?」

「あぁ、同行させて貰えるとありがたい」

「よ〜し、リキリキ来たから出発だ〜」

「僕も一緒させて貰うよ」

ということで今いるメンバーでギルドに向かう事となった


ギルドはこの島にある四区画のうちのひとつ冒険者区画と呼ばれているところにあるらしい

そう呼ばれている区画がある事は知っていたが特に気にした事はなかったな

武器屋に防具屋、治癒用のポーション店に鍛冶屋も揃っているとの事で並の塔近くの街よりも揃っているようだった


話ながら歩いているうちに風景が学園の小綺麗な感じから無骨な感じに変わっていく

周りにいる人間もガタイの良い大人や武装した人が増えていく

雰囲気も学園周りの柔らかく明るいものから少し張り詰めたようなピリつく感じがある

周りの様子を見ながら思った事がありみんなに質問をする


「みんなはどうして冒険者登録に?」

「俺はもっと強くなる為だな」

「私はお姉ちゃんみたいになりたくて」

「私は那美が行くところに着いていくわ」

「僕は今の自分の技量を試しておきたいんだよね」

「ボクは冒険者に興味があるからプゴね」

「私は楽しそうだからだね〜」


理由はそれぞれだが皆強くなりたいという事なのだろう

・・・何故だか一部のメンバーの理由に不安が残る所はあるが


通り過ぎていく人たちはたまにこちらを見るくらいで特に何か思うようなことはなさそうだ

このことから学生がこの区画に足を運ぶ事もおかしなことではないらしい

新顔に少し驚いている程度の事だろう、まだ四月で学生集団がギルドの方に向かっているのだ

おおよその検討くらい奴らにもつくだろう。それでもこちらに絡んで来る連中がいるとするなら、それこそ新しくギルドに入った連中でもない限りまずありえない


この区画の中心に一際大きく豪華な建物があるあれがギルドだ

「どこのギルドを見てもって感じだな」

「他のギルドもこんな感じなの?」

「そうだね、どこのギルドもかなり豪華な造りになってるよ」


言った通りどこに行ってもギルドという建物は豪華絢爛と言った感じだ

中の雰囲気とは大違いだがなと思いつつ扉に手をかけギルドに入る


中の装飾も豪華、誰が見てもかなり儲かっていることが分かる

さすがという他ないのだが、そこにいる人間たちはあまりにも品性を感じない。失礼極まりない感想であることは自覚しているがどう見ても荒くれ者の集まりにしか見えないのだしょうがないだろう

酒とタバコの匂いが充満する中大声で話笑い合う

建物の雰囲気とあまりに違いすぎるこの環境


あまりに見慣れた光景と環境に少し頬が緩む

帰ってきたって感じがするな


「ギルドって臭いね〜」

「確かに結構キツイな」

獣人であるふたりは人間より結構キツく感じる環境だろう

早めに手続きしてふたりを解放してあげよう


入り口からまっすぐ行ったところにあるカウンターに向かう。そこにいる随分と気だるそうにしている女性に声をかける


「すみませんクラブ活動の登録したいのですがお願いできますか?」

「うーん、出来るけどキミ達クラスは?」

「全員Eクラスです、何か問題ありますか?」

「あーEクラスかちょっと難しいかな。ちょっと待ってね」

頭をボリボリと掻きつつ書類と魔水晶の用意をしてくれる、本人は乗り気でなさそうであるが登録準備はしてくれるようだ

「この書類にある必要事項記入してくれる?それが終わったらこの水晶に手をかざしてね」

「ありがとうごさいます、じゃあみんな書き終わったら教えてね」


みんなかギルド登録するのを待つあいだ受付のお姉さんと少し話をする聞きたいこともあるし

「君はギルド登録しないの?」

「俺元々ギルドカード持ってるんで大丈夫です、それより支部長って居ます?」

「ふぅん、その歳で持ってるなんて珍しいわね。支部長ならいるけど、今来客中で出てこないと思うわよ?」


ギルドカードの話は流しつつ、ギルド内にいるのなら多分来るだろうと思いつつ話を続ける

「学園入る前は冒険者やってたので、それよりあのハゲちゃんと仕事してますか?」

「あ、そんなこと言ったら本人き──「誰か今俺の事ハゲって言ったか!?」ほら来た」

受付のお姉さんと話していると2階にある応接室であろう所から大柄な男が叫びながら出てきた


「相変わらずの地獄耳だなハゲ鬼」

「誰がハゲ鬼だ!って力人じゃねぇか」

こちらを見つけるやいなや2階から飛び降りこちらに詰め寄ってくる

身長3メートル程の超大男、筋骨隆々を通り過ぎて歩く筋肉と言えるレベルの肉体に全身毛むくじゃらで立派な髭まで生えているにも関わらず大きな傷と毛の1本もない輝く頭を持っている

支部長が現れてから他の冒険者達が少しビビってるような雰囲気が感じ取れる、明らかに周囲が静かになったからだ


「学園に入ったとは聞いちゃいたがまさか本当だったとは馬子にも衣装だなぁ、ガァッハハ」

「うるせぇよ、支部長の仕事はちゃんとしてんのか?

「ハハッお前に仕事云々は言われたかねぇんだが、やってるぞ今も来客の途中だったし」

「ほっぽって出てきてるけど良いのかよ」

「まぁ大丈夫だろ、お前も知ってる奴だし挨拶ぐらいしとくか?」

「そうだな、他の皆の登録終わったらするよ」

「あん?ギルド登録か?クラブ活動でもするのか」

「あぁ、お前にしては察しが良いな」

チラッと皆の方を見るとやけに驚いているようだった


「俺を誰だと思ってと言いたい所だが、コイツらをクラブ登録すりゃいいんだろ?」

「そうだな、全員Eクラスなんだけどなにか問題あんのか?」

受付のお姉さんの反応からクラスによっては参加出来ない可能性があるから確認はしておきたかった

「お前が面倒見るんだろ?なら何の問題もないだろうむしろ詳細の説明をこっちがする必要が無いから楽で助かるわ」

「なら良いか」

支部長であるコイツとしばらく話をしていると

皆書類と測定が終わったのかこちらに合流してきた


「神至、その人は?」

「ここの支部長、俺がいたパーティの元メンバーだよ」

「おう、ガキども俺はここで支部長やってる牛久 大鬼(うしく だいき)ってんだよろしくな」

「あの輝く拳鬼ですか?」

「あーその二つ名で呼ぶのは勘弁願いたいがそうだ」

「輝くってのはハゲヅラの事だもんな」

「うるせぇシバくぞ」

他の皆の態度を見るに俺とコイツの関係性に妙に納得したという感じの雰囲気だ


「神至くんもしかして所属してたパーティって」

「アレ?言ってなかったっけ?俺の所属パーティは神喰い(ゴッドイーター)だよ」

「やっぱりそうなんだ」

黄泉と同じパーティなので知ってるとは思っていたが本当に俺がそこに所属していたとは思っていなかった様子


「って事は神至Sランクの冒険者だったのか!?」

「うん、まぁそんなところ」

「なんだお前説明してなかったのか」

「聞かれなかったからね、いや実技の最初の日に教える必要ないってジジイが止めたからか」

厳密にはSランクでは無いがこちらとしてはその方が都合が良いのでそういう事にしておこう


「別に教えて上げてもいいと思うけどね、はぁい力人元気してた?聞くまでも無さそうだけど」

声の主の方に向き直るとこれまた顔見知りがいた

那美さんと同じ黒い髪と瞳を持ち闇色のドレスを着て同じ色の杖を持つ女性


「来客ってお前だったんだな黄泉」

「そうよ、この間ノーデンスの所にもお邪魔させてもらってたのよ聞いてない?」

「聞いてねぇ」

凡そこの間のジジイへの来客は黄泉だったのだろう

要件に関しては考えるまでもなく説明してくれた


「陽門の呪いの件で報告をしに行ってたのだけど、その様子だと本当に何も聞いてないのね」

「まあな、良くて半壊、最悪全壊レベルまで追い詰めたんだろ?どうせ」

「うふふ、流石にわかるかしら完全に壊滅させてきたわよ」

「予想以上で怖えよ」

見知った顔に口調がいつもより砕ける

学園に入る前に矯正されたがコイツらの前だとそれも意味をなさないな

にしても陽門の家壊滅か七門のパワーバランスが完全に崩れそうでまた問題になりそうだな

そんな事を考えていると那美さんから声がかかる


「本当にお姉ちゃんと知り合いだったんだね神至くん」

「パーティメンバーの中だと結構付き合い長い方じゃないかな」

「そうね私が冒険者になった頃にはあなたもうパーティにいたものね」

「お前らここで立ち話もなんだ、全員二階で話そうや」

周りの様子を考えての事か大鬼から場所の移動を提案されたので大人しく従う事にした


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