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裏側

シリアスっぽいからね、お巫山戯はほぼないです

「うーんと、今何体目?」


 静かな戦場に響くのは、退屈そうな、それでいて身を凍らせるような怒りを持った呟き。


「コロス、コロス、コ」

「それ以外に語彙ないの?」


 一体の異形が切り刻まれる。生半可な切れ味では傷一つつかない強固な肉体は、少女の発生させた風によって抵抗もなく微粒子レベルにみじん切りにされる。どうして料理に使わなかったのか。料理に使ったら全部ゴマになるからダメだな(気付き)


 既に半数以上が死に、異形達は撤退を始めている。勝てないのに戦う理由はない。目的は住民を連れて行くことなのだから。


 まあそれを許すかどうかは別問題


「逃げないでね?」


 圧倒的な速度。自身の時間を加速させることによって人智を超えたスピードを出すことが出来る。ついでに老化も早くなる。乙女の敵。


「やっと貼り終わった。私、繊細なのは苦手なのです」


 誰に聞かせるでもなく呟き、蹂躙を開始する。


 異形達が次々に物言わぬ死体となって行く。

 潰れる、ひしゃげる、捻れる、抉られる、細切れにされる、燃やされる、氷像にされる。

 死因は様々、結果は1つ。明らかに一般人を巻き込んでいそうだが、住民達への結界展開はすでに住んでいる為、被害が行くことはない。


 異形達は殲滅された。短い命だったね。

 しかしまだ異形は残っている。


「お前か」


 その異形は、先頭にいた個体だった。どこかで見たことあるような結界を展開しており、1ミリも被害を受けていない。

 それどころか、腕を後ろに引き、攻撃の準備を始めている。


「それ作ったの誰だと思ってんの?」


 まるで弱点を知っているかのような台詞。

 単純に強度が異常なだけな結界に、弱点もクソもないのだが。

 割る以外の方法を彼女は知らないのだが。


 ゴン


「え、硬すぎ··」


 強化した拳で攻撃したリール、想像以上の強度に驚く。やはりアホの子。


 そしてその隙に異形の攻撃準備が終了。例のヤバい拳が飛んでくる。当然リールのより強い。


「ああ、なるほど」


 今度は時間じゃなく思考を加速させ、余裕で結界を展開する。自分の方が凄いとアピールしたいのだろうか?異形の結界は自分のものなのに。


 しかし異形の拳はリールの結界を通り抜ける。異形の腕そのものが透き通っており、何かしらの変化が起きている事が分かる。


「お化けへの対策なんてしてるわけないじゃん··」


 どことなく後悔したような声音で呟くリール。

 直後に異形の腕は切断され、どこか遠くに飛んでいく。人が居たら驚くことだろう。


 リールの言ったお化け、というのは、精神系(アストラル系)の魔物や魔獣の事を言う。

 本来肉体と魂で構成される生物だが、精神系は魂だけで存在している。その為物理攻撃が出来ず、無害であることが常だ。だから基本、精神系に対して対策を用意することはない。

 しかしこの異形は、一時的に腕を精神系にすることで結界を素通り、その後拳だけを実体化させることで攻撃出来るようにしている。

 完全な初見殺しだ。狡い。


 だからリールは、結界に精神系への判定を付与する事で、腕を切断したのだ。


「ばいばい」


 ありったけの強化を施した拳で異形を殴るリール。異形は木っ端微塵となった。


「後は魔獣とかもか···」


 面倒くさそうにため息を吐く。


「好きで殺すわけでもないのに···」


 抵抗もできず、魔獣達は命を散らしていくのだった。


 ―――


「なっ!?」


 空間に声が響く。

 複数の声が混じり合い、何人もの人間が同時に喋っているように聞こえる。


「どうした、何か不具合でもあったか?」

「馬鹿か?明らかに想定外が起こった反応だろう」


 追加で2つの声が聞こえる。

 片方は女の声。言葉遣いこそ女っぽくないが、聴く者を魅了するような透き通る声、超音波かと思う程の高音が、間違いなく女だと示している。

 もう片方は男の声。聞き取るのが難しいほどの低音。しかし、凄まじく近くで話されているかのような響きを伴っている。


「ケールの王都に放った外異が全て死んだ」

「ケールってーと、あの『聖女の生まれ変わり』とか言われてるのが居るところか?いや、勇者だったか?」

「倒されたことのどこが問題なのだ?人間如きには難しいだろうが、別に倒せないこともないだろう」


 彼らからすれば、外異─もとい異形が死んでも問題はない。幾らでも作れる駒だし、計画に支障もない。デメリットが存在するしないのだ。


 今回の場合を除き。


「馬鹿か貴様ら。既に剣聖も魔将軍も落としているのだぞ。つまりはそいつ等以外に倒せる者が居るという事だ、厄介だろう」

「「なるほどー」」

「くそっ、どうしてよりにもよってこいつらなのだ···」


 悪態をつく複数の声。馬鹿2人の相手は疲れるのだろう。頑張れ。


「とにかく!ケールの状況は後だ!先に他の国を潰す!」

「あいあい」

「問題ない」


 彼らは暗躍する。

 魔獣や魔物に手こずっているようでは、人類に勝ち目はないのだ。


 彼らは、ラスボスなのだから。


 ~~~


 その救出作業は難航していた。


 アパートへと落下した隕石。小型にも関わらずアパートを全壊させ、瓦礫の山に変化させた。

 幸いアパート以外に物的被害はなかったが、人的被害は深刻。


 重機が入れる道がなく、瓦礫の撤去に時間がかかってしまう。そのせいで救出が難しく、被害者の怪我などが悪化してしまい、軽傷のはずが重傷になるなどしていた。


 更に並行して近隣住民の行方不明事件──オカルト風に言うと神隠しが発生しており、そちらに人員を割いているのも原因の1つだろう。


 一般人の協力もあり、アパートの住人17名の内、16名の救出は完了していた。そして最後の1人、この最後の1人の救出が難航しているのだった。


 隕石の着弾地点であり、最も崩壊が酷い部分。アパートの隅に位置するその場所。

 付近に山積みとなっている瓦礫は異様に重く、複数人でも持ち上げるのが困難。持ち上げられても運ぶのが不可能に近く、上からヘリで持ち上げることになってしまった。対応が凄い。


 その人は、所謂アイドルであった。

 一種のカリスマを持ち、心優しく、人を集め、笑顔にさせるような、そんな存在。すでに一般人ではない。

 一刻も早い生還が望まれているような、そんな存在。


 我らが主人公、君津映見その人である。

主人公の名前覚えてる人居る?

多分居ないね。

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