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天井からトラックが降ってきたので、100円ショップスキルで異世界を生き延びます  作者: 月神世一


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EP 45

戦場の後始末と、英雄の進撃

「ごちそうさま。サクヤのおにぎり、最高だったよ」

僕が温かいお茶を飲み干し、おしぼりで手を拭いている頃には、眼下の戦場は完全に静まり返っていた。

いや、「静まり返っていた」というのは語弊がある。

誇り高きデルン王国軍3万は、開戦からわずか十数分で完全に崩壊し、武器や鎧を投げ捨てて蜘蛛の子を散らすように敗走していったのだ。

アルクス側の被害は、驚くべきことに「死傷者ゼロ」。

まさに歴史に残る、一方的すぎる大勝利(大蹂躙)であった。

――そして、この衝撃的なニュースは、早馬や魔法通信によって瞬く間にマンルシア大陸全土へと駆け巡った。

「聞いたか!? 王国軍3万が、アルクス領で文字通り『秒殺』されたらしいぞ!」

「アルクス側の兵器は魔法の射程外から山を吹き飛ばし、光の熱線が空から降り注いだそうだ……!」

「バゴール王は気でも触れたのか? あのドラゴンやベヒーモスを倒した『救国の英雄』に弓を引くとは!」

世論は一変した。

国を守った英雄を、自らの保身と嫉妬のために殺そうとした愚王。

その事実が露見し、長年重税に苦しめられてきた民衆の怒りは頂点に達していた。

人々は口々に叫んだ。

「これは神の怒りだ! 罰当たりの王に天罰が下ったのだ!」

「正義はアルクスにあり!!」

連日、アルクス領の関所には、王の圧政に苦しんでいた民衆や、王家に愛想を尽かした地方の騎士、さらには噂を聞きつけた傭兵たちが、雪崩を打って押し寄せた。

彼らは皆、英雄・佐藤太郎の旗の下に集い、新たな時代を求めていたのだ。

数日後。

アルクス城、作戦会議室。

窓の外からは、城下町に集まった民衆たちの「太郎コール」が地鳴りのように響いている。

「天啓ですぞ! 太郎様!!」

家令のマルスが、興奮で顔を真っ赤にしながら地図をバーン! と叩いた。

「ご覧ください! 各地から集まった義勇兵の数は、既に5万を超えました! 今もなお増え続けております! 民達はこぞって太郎様を支持しているのです!」

マルスは鼻息を荒くして熱弁を振るう。

「今こそ、憎きバゴールを討つ時です! 腐敗した王政を終わらせ、貴方様がこの国の新たな王となるのです!!」

「いやいやいや! 僕が、王様に!?」

僕は思わず立ち上がり、全力で首を横に振った。

「嫌だよ! コンビニ店員から冒険者になって、やっと領主として落ち着いたのに! これ以上出世したら、書類仕事で過労死しちゃうよ! 僕はただ、美味しいご飯を食べて、サウナに入って、美人の奥さんとイチャイチャ平和に暮らしたいだけなのに!」

僕が魂の叫び(本音)を上げると、サリーが静かに進言してきた。

「太郎様。民達の声を聞いてあげてくださいな」

サリーは窓の外、広場を埋め尽くす人々を見つめた。

「皆、重税と悪政に苦しんでいます。彼らは口々に『太郎様こそ王になるべきだ』と言っていますわ。貴方の作る美味しいお料理と、誰もが温かいお風呂に入れる国……それが彼らの夢なのです」

「太郎様。もう一戦を交えたのです。引き返す道はありません」

ライザも厳しい表情で現実を突きつけた。

「今回撃退したとはいえ、バゴール王が玉座に座っている限り、彼は何度でも軍隊や刺客を送ってくるでしょう。……私達の愛する『平和な日常』を守るためには、元凶を絶つしかありません」

「……そうだな」

僕はゆっくりと深呼吸をし、目を閉じた。

バゴール王を放っておけば、いつか必ず僕の大切な人たちや、この街の平和が脅かされる。

それに、自分を信じて集まってくれた5万もの人々の期待を裏切ることは、今の僕にはできなかった。

「……太郎様、ご決断を!」

マルスが祈るような声で叫ぶ。

僕はカッと目を開いた。

その瞳には、もはや迷いはなかった。

「分かった。……デルン王都に進軍する」

静かだが、部屋の空気を震わせるような、覇気のある声が出た。

「これ以上、僕の大切な場所を荒らされるのは御免だ。バゴール王には、きっちり退場してもらう」

「おおぉっ……!!」

マルスが感極まって、その場に平伏した。

「仰せのままに!! このマルス、この時を待ちわびておりました! 直ちに全軍に伝令を! 『英雄の進撃』の開始であると!!」

「行きましょう、あなた。私達が道を切り拓きます」

「王都の城門など、大砲の的にもなりませんわ」

サリーとライザが左右に立ち、頼もしく微笑む。

「よし……行くぞ!!」

僕が右手を高く突き上げると、城の外から割れんばかりの歓声が上がった。

アルクス領が保有する最強の近代兵器群と、無敵の英雄パーティー、そして5万の民衆軍。

腐敗した王国を終わらせるための、歴史を変える行軍が、今まさに始まろうとしていた。

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