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天井からトラックが降ってきたので、100円ショップスキルで異世界を生き延びます  作者: 月神世一


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EP 38

護衛不要のバカンス! 空間転移と最新トレンド水着

季節は夏。

アルクス領は、上下水道が完備された清潔な住宅街、豊富な食料、そして大陸中から観光客を集める『スーパー銭湯 アルクスの湯』によって、かつてない繁栄を極めていた。

内政も完全に安定し、有能なマルスや部下たちのおかげで、ついに僕のデスクから「書類の山」が完全に消滅したある日のこと。

「領地運営は盤石だ。……ねぇ、二人とも」

僕は執務室のソファで紅茶を飲んでいるサリーとライザに声をかけた。

「僕達で、港町ポートセーリにバカンスに行かないか? 前回は『漁業の視察』という名目での釣り大会だったけど、今回は完全に遊びでさ」

「あら、素敵ですわね!」

サリーがティーカップを置いて、目を輝かせて身を乗り出した。

「綺麗な海で泳いだり、白い砂浜でのんびりしたり……ずっと憧れてましたの!」

「いいですね。最近は領地の防衛強化や特訓で忙しかったですから、骨休めは必要です」

ライザも賛同して頷いた。

「騎士達には『地獄の夏季集中・限界突破プログラム』という自主練のノルマを課してきましたから、私達が数日空けても全く問題ありません」

「(騎士団のみんな……生きてるといいな)」

僕が心の中でそっと合掌していると、バタンッ! と扉が開き、血相を変えた家令のマルスが飛んできた。

「バ、バカンスとは結構な事ですが……まさか、三人だけで行かれるおつもりですか!?」

「うん、そうだけど。夫婦水入らずでゆっくりしたいし」

「そ、そんな! 危険すぎます!」

マルスは大袈裟に両手を広げ、必死の形相で訴えかけた。

「太郎様は今やこの国の重要人物! 万が一、道中で賊に襲われたり、強力な魔物が出たらどうするのですか! 直ちに城の近衛兵と、騎士団一個小隊を護衛として手配いたします!」

せっかくのプライベートな旅行に、厳つい鎧を着た男たちが数十人もゾロゾロついてくるなど、僕にとっては悪夢でしかない。

「えぇ~……それはちょっと……」

僕が困り果てていると、執務室の空気がピリッと凍りついた。

「……あら? マルス」

ライザが静かに立ち上がり、絶対零度の冷徹な視線をマルスに向けた。

「貴方は、S級冒険者であり『閃光の剣姫』と呼ばれる私以上に、太郎様を安全にお守り出来る者がこの城に居るとでも?」

「ひっ……!」

ライザの全身から立ち上る凄まじい闘気プレッシャーに、マルスが顔を青くして後ずさりする。

「そ、それに! 私だって強いんですからね!」

サリーも立ち上がり、杖を構えた。

「科学的魔法理論で強化された私の『爆裂魔法』があれば、ドラゴンだって一瞬で消し飛ばせますわ。……それとも、私の魔法じゃ頼りないと仰るの?」

「い、いえ! 滅相もございません!!」

マルスは滝のような脂汗を流した。

よく考えれば、この妻二人は単独で軍隊を壊滅させられる「歩く戦術兵器」だ。一般の騎士が数十人護衛についたところで、足手まといにしかならない。

「わ、分かりました……。私の完全な杞憂でございました。太郎様、どうかバカンスを存分にお楽しみ下さいませ……」

マルスは完全に白旗を上げ、ガックリと項垂れて退室していった。

「ふふっ、これで邪魔者はいなくなりましたね。でも太郎様、ポートセーリまでは馬車で数日かかりますが……」

ライザが尋ねると、サリーがふふんと得意げに胸を張った。

「その心配はいりませんわ! 太郎様がくれた物理と数学の本のおかげで、ついに『空間座標の計算』が完璧にできるようになったんです! 見ていてください!」

サリーが杖を振りかざし、複雑な数式を中空に描くように詠唱を始めた。

「三次元座標軸の固定、目標地点ポートセーリの海岸線! 空間を折り畳み、我らを導け! 『空間転移テレポート』!!」

パァァァァッ!!

眩い光が僕たちを包み込んだかと思うと、フワリとした浮遊感の直後、足元の感触が石の床から「柔らかい砂」へと変わっていた。

「うわぁっ! 凄い!」

目を開けると、そこには抜けるような青空と、太陽の光を反射してキラキラと輝くコバルトブルーの海が広がっていた。数日の道のりを、魔法と科学の融合で一瞬にしてゼロにしてしまったのだ。

『海だー! ピカリ泳ぐー!』

フードから飛び出したピカリが、大はしゃぎで砂浜を飛び回る。

「よし、それじゃあ早速海に入ろう! ……ジャーン!」

僕はウィンドウを開き、激安衣料品カテゴリから、とっておきのアイテムを取り出した。

「これぞ、僕の故郷の『最新トレンド水着』だ!」

「まぁ! これが異界の泳ぎ着ですか!」

「布地が……その、ずいぶんと少ないですわね……」

最初は顔を赤らめて恥ずかしがっていた二人だったが、そこは愛する夫のため。僕が広げた大きなパラソルの下で、二人は着替えを済ませた。

「ど、どうですか……? 太郎様」

パラソルの陰から、二人が恥じらいながら姿を現した。

サリーは、純白のフリルがついたビキニ姿だ。彼女の愛らしさを引き立てつつ、普段のローブ姿では隠れていた「意外と豊満な胸の谷間」が強調されており、破壊力が凄まじい。

一方のライザは、黒のセパレートビキニに、腰に透けるパレオを巻いている。引き締まった美しい腹筋、すらりとした長い脚。日々の鍛錬で培われた、剣士としての健康的でしなやかな美しさが眩しい。

「っ……!!」

僕は鼻の奥がツンと熱くなるのを感じ(危うく鼻血が出そうになった)、両手で顔を覆いながら親指を立てた。

「最高……! 二人とも、本物の女神様みたいだ!」

「もう、太郎様ったら♡」

「ふふっ、そんなに見つめられると照れてしまいますわ」

二人が嬉しそうに微笑み、僕の両腕にギュッと抱きついてきた。

青い空、白い雲、そして世界で一番可愛くて最強の妻たち。

護衛など一切必要ない、世界一安全で、世界一幸せなバカンスが、ここに幕を開けた。

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