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天井からトラックが降ってきたので、100円ショップスキルで異世界を生き延びます  作者: 月神世一


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EP 24

黄金の祝宴、プレミアムな夜

「S級英雄、太郎に乾杯だァァァ!!」

「「「カンパーイ!!」」」

アルクスの冒険者ギルドは、かつてないほどの熱狂と喧騒に包まれていた。

S級冒険者への昇格、そしてベヒーモス討伐という歴史的偉業を祝う大宴会。荒くれ者の冒険者たちは、僕たちを神様か何かのように崇め奉り、次々と酒を煽っている。

だが、百人近い冒険者たちの底なしの胃袋は、あっという間にギルドの備蓄を食い尽くそうとしていた。

「おい! エール(麦酒)の樽がもう空だぞ!」

「肉もだ! もっと食い物を盛ってこい!」

「ガハハハ! 構わん、近隣の酒場からあるだけ買い占めてこい!」

厨房から悲鳴が上がり、ギルドマスターのヴォルフが豪快に笑い飛ばしている。

その様子を見て、僕はスッと立ち上がった。

「よし! 今日は僕からも盛大に振る舞うよ! S級昇格記念だ!」

僕は背中の『雷霆』を安全な場所に置き、空中のスキルウィンドウを全開にした。

懐には金貨5000枚(約5000万円)が唸っているのだ。もはや、いつものような「値引き品」や「激安の発泡酒」である必要はない。

僕の『100円ショップ(と激安スーパー)』スキルが誇る、最高峰の品揃えを解禁する時だ!

「まずは酒だ! 麦芽100%、極上の『プレミアム・ビール(本物)』! そして大盤振る舞いの『純米大吟醸(紙パック)』だ!」

プシュッ! プシュッ!

小気味よい金属音と共に、キンキンに冷えた黄金色のアルミ缶が、テーブルの上にピラミッドのように積み上がっていく。

「そしてメインディッシュ! 現代日本の海の宝石箱……『特上・握り寿司の盛り合わせ(大桶)』だ!!」

ドンッ!!

テーブルの中央に、色鮮やかなマグロ、サーモン、イクラ、ウニなどがギッシリと並んだ、プラスチック製の巨大な寿司桶がいくつも出現した。

艶やかな魚の切り身が、ギルドの照明を反射してキラキラと輝いている。

「おおぉぉっ!?」

「なんだこの黄金色の酒は! しかも泡まで旨そうだぞ!」

冒険者たちは我先にとプレミアムビールを手に取り、喉をゴクゴクと鳴らした。

「ぷはぁぁぁッ!! なんてクリアな喉越しだ! ギルドの泥水みたいなエールとは全く違う!」

「こっちの透明な酒(日本酒)もすげぇ! 果物みたいにフルーティーで、水みたいにスルスル入っちまうぞ!」

異世界の粗悪な酒しか知らない彼らにとって、徹底した品質管理で作られた現代の酒は、まさに神の雫だった。

「で、太郎。……この色鮮やかな食い物はなんだ? 魚……だよな? 火が通ってないように見えるが」

ヴォルフが、寿司桶を前に少し怪訝そうな顔をした。

内陸にあるアルクスの街では、魚といえば干物か、塩漬けにしてしっかり火を通したスープにするのが常識なのだ。生の魚を食べるという文化自体が存在しない。

「『寿司』っていう料理です。騙されたと思って、その黒いタレ(醤油)を少しつけて、一口で食べてみてください」

ヴォルフは恐る恐るマグロの握りを手に取り、醤油をつけて口に放り込んだ。

モグ、モグ……。

その瞬間、ヴォルフの隻眼がカッと見開かれた。

「な、なんだこれはぁぁぁッ!?」

ヴォルフがドンッ! とテーブルを叩いて立ち上がった。

「魚が……口の中でとろけたぞ!? なんだこの脂の甘みと、酸味の効いた米の絶妙なバランスは! 生の魚がこんなに美味いなんて、俺の五十年の人生は何だったんだ!!」

「ええっ!? 本当かよギルドマスター!」

「俺も食う! ……うおおおお! サーモン、美味すぎる!!」

「ちょ、ちょっと待て!」

一人の冒険者が、寿司の横に添えられていた緑色のペーストを見て顔を引きつらせた。

「これ、さっき太郎がベヒーモスの目に撃ち込んでた『激辛ペースト(わさび)』じゃないのか!? こんなの食ったら死ぬぞ!」

「あはは! それは『わさび』って言って、生魚の臭みを消して旨味を引き立てる薬味なんだ。目に撃ち込んだりせず、適量を魚と米の間に挟めば最高に美味しいんだよ!」

恐る恐るわさび入りの寿司を食べた冒険者たちは、「ツーンと鼻に抜けるが、これがクセになる!」「ベヒーモスを倒したわさびを食ってる俺たち、最強!」と大はしゃぎだ。

「んふぅ~! イクラ、プチプチしてて最高ですわ!」

「この『タマゴ』ってやつ、甘くてケーキみたい!」

ライザとサリーも、すっかりお寿司の虜になって頬を緩ませている。

『ピカリもー! ピカリもお寿司たべるー!』

ピカリも、自分より大きなエビの握りに抱きついて、嬉しそうに尻尾を振っている。

「ガハハハ! 太郎、お前は本当に底知れねぇ男だな! 魔物を倒すだけじゃなく、こんな極上の宴まで開けるなんてよ!」

ヴォルフがプレミアムビールを片手に、僕の肩をバンバンと叩く。

「へへっ。みんなが笑顔になってくれるなら、安いもんですよ」

僕は二人の妻と、そして最高の仲間たちとビール缶をぶつけ合った。

笑顔と喧騒、そして称賛の嵐。

S級冒険者としての名誉と、溢れんばかりの富、そして愛する家族。

異世界に来て一番の、最高に熱くてプレミアムな夜が、アルクスの街でいつまでも更けていった。

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