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Pamela Lillian Eisley Bathory - Poison Ivy

# Music: Sevendust - Fall

イザベラはタクシーに乗ってバトリー古城へ戻ると、門をくぐるなりエリザベスの元へ駆け寄り、道端でRed Ghostと鉢合わせた一件を事細かに話し終え、頭を垂れて謝った。

「お姉さん、申し訳ありません。今夜のパーティーでM&S Home Nestに関する有益な情報を何一つ探り出せませんでした」


エリザベスには叱る気配など微塵もなく、彼女の髪を優しく撫で、むしろ物分かりが良いと褒める。

「気にしなくていい。もともと多くの企業内部情報を引き出せるなど期待していなかった。一晩中大人しく過ごし、無闇に人を傷つけず、Red Ghostに情報を探られることもなくきっちり一線を守れた、立派な対応だ。ただ今後また彼と出くわした時は、一層警戒を怠ってはいけない。あの男は腹の内が深く、何を企んでいるか分からない」


イザベラは絨毯に座り、首を傾げて唐突に好奇心を口にする。

「お姉さん、今は純粋な吸血鬼ではなく新しい人間の肉体になっていますが、昔人に噛みつき血を吸うあの爽快な感覚が恋しくなったりしませんか?」


エリザベスは一瞬呆然とし、長らく思考に耽った後、落ち着いて話し出す。

「眠る時たまに夢を見る。数百年前、古代ヨーロッパを巡り血の餌を探し回った光景だ。だが時代は変わった、私はもう昔の血族ではない。あの日々が少しも恋しくない。それに心に引っ掛かる謝臨渊がいる、今はただ普通の人間のように穏やかに暮らしたいだけ」


謝臨渊の名前を聞いた瞬間、イザベラの瞳が輝く。

「謝臨渊ってどんな方?」


エリザベスは柔らかく二回笑う。

「華人の血が濃い、ハーフの美男子だ」


エリザベスが自身と謝臨渊の過去の出来事を話し終えると、イザベラは膝をぽんと叩き、進んで手伝うと申し出た。

「なら私がお姉さんの代わりに彼を追いかけましょう!人探しが必要なら飛行機に乗って南米まで行っても構わない、どんな苦労にも耐えてみせます」


エリザベスは彼女の熱意に思わず微笑む。

「いつか本当にあなたを向かわせるかもしれない、それなら二人で一緒に旅に出ても良い。外を出歩くとなれば、公に使う偽名を用意しなければならない」


イザベラの表情が一瞬曇り、不満そうに呟く。

「この名前は父のハイドリヒがつけてくれたものだから、変えたくない。吸血鬼の父、早くこの世を去った人間の母のことを忘れたくない」


エリザベスは根気よく理屈を説き、すべて彼女の安全を思っての提案だと伝え、長時間説得した末、イザベラは渋々納得した。


エリザベスはしばらく思索し、公に通用する完全な身分を定めた。

パメラ・リリアン・アイズリー・バトリー。

対外的には自分の遠縁の姪という設定にし、古城で花のエキス研究やスキンケア製剤の調合を専門に行っているということにする。


イザベラの目頭が赤く染まり、涙をこぼしながら無理に笑顔を浮かべ、頷いて承諾する。


エリザベスは彼女が胸の内に悲しみを溜め込んだままになるのを心配し、気分転換を促す。

「さあ、一緒に庭へ花に水をやりに行こう。草花の世話をして心を落ち着かせれば、多くの悩みや血族にまつわる嫌な出来事も一時的に忘れられる」


二人は古城本館を出て、夜の屋外庭園へ向かう。それぞれジョウロを手に取り、ゆったりと各種の花株に水を注ぐ。夜の草花は薄い灯りに照らされ、一層美しく見える。


イザベラは歩いている途中、完全にしおれた一鉢の花の前で立ち止まり、笑顔で振り返る。

「お姉さん、私に試させて。この花に催眠をかけ、生き抜く力を与えてあげる」


エリザベスは首を振り、残念そうに言う。

「この鉢は完全に枯れ果ててしまった、もう救えない。無駄な力を使わなくていい」


イザベラは諦めず、軽やかな笑みを浮かべる。

「昔地下で休眠していた頃、夢の中でよく草花や小動物たちと話していました。見た目は枯れていても根は生きていることが多い、優しく語りかければまた葉を伸ばしてくれる」


エリザベスの興味が引かれる。

「アトランティス紅日国の核爆発後にも、こうして枯れた植物が蘇ったことがあるの?」


イザベラは植木鉢のそばにしゃがんで答える。

「当時土の下に身を隠して目を覚ました時、周囲の草木が次々とゆっくり蘇生していったのです」


言い終えると彼女は深くしゃがみ、枯れた花びらを指先でそっとなで、人には聞き取れない柔らかな呪文を囁き、目を閉じて精神力を集中させる。


十数分が過ぎ、元々しおれて葉が灰色にくすんでいた花株がゆっくりと葉を広げ、生気のある若々しい色が戻ってきた。


エリザベスは驚きに目を見開く。イザベラは顔を上げ、誇らしげな笑顔を向ける。

「ほら、できたでしょ」


エリザベスは半歩近づき、少女を優しくなだめる手を伸ばすが、胸の奥に重くのしかかる不安が拭えない。イザベラには紅日国の勢力はもう存在せず、父ハイドリヒが亡くなった今、頼れるのは自分だけだ。彼女の特殊な変異能力はあまりに目立つ。万が一血族長老会に身元が発見されれば、強引に連れ去られ生体実験に供されるか、強制的に洗脳され彼らの操り人形となる変異兵士に改造される可能性がある。


「今日は早めに休みましょう」

エリザベスは少しためらった後にそう告げ、少女を伴って城の奥深くへと戻っていった。

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