Beria and the Tsar
Music: Schattenschlag - Perverted Dreams (Rmx by Implant)
(1953年冬、サハリン島北端の廃棄強制収容所地下昼間監房、労働休憩時間)
分厚い鉛製遮光板が採光口をすべて塞ぎ、一筋の天光も染み出る隙間がない。空気には干し魚の腐敗臭、カビた黒パンの酸っぱいにおい、三食に混ぜられた希釈ニンニク精の刺激的な辛みが混ざり合い、喉を突き刺して締め付ける。壁際には錆が縁を這う鉄製二段ベッドが並び、床一面に薄い氷が張り、隅にはひび割れた木製テーブルが置かれている。机の上に古いチェスセットが載っているが、白の駒が二つ紛失しており、看守が囚人に唯一許した娯楽だ。
ニンニク精の薬剤が体内の血族としての根源を抑え続け、瞬間移動、精神操作、超速再生といった高位能力はすべて封じられ、常人を少し上回る怪力だけが残る。深夜の鉱山掘削や丸太運搬の重労働をこなすにはそれで精一杯だ。半血族の囚人たちはベッドの縁にぐったりと身を横たえ、全身が重くだるく、腕を上げる力さえ湧かない。
ベリヤは鎖の跡が青黒く残った体を引きずり、ゆっくりと近づいた。適当な空きスペースに座ろうとした瞬間、チェス盤の向かい側にいる男に視線が止まり、足が氷の上に釘付けになった。瞳孔が一気に収縮し、全身が硬直し、しばらく呼吸も忘れた。
盤の前に座る男は背中を丸め、白髪交じりの髭と髪に埃が積もり、肌は血族特有の冷たい蒼白を帯び、瞳の奥に淡い暗紅色の微光が揺らいでいる。ぼろ切れの囚人服を身にまとっていても、老けた顔立ちにはかつての皇帝だけが持つ貴族的な骨格が隠れていた——ニコライ2世だ。指先で黒のキング駒をつまみ、相手の手を待っていたが、長い沈黙に気づき顔を上げ、永年凍土に磨かれた抑えた疲れのこもった口調で語った。
「休憩が終わるまで立ったままか?碁は君の一手を待っているぞ」
ベリヤはふと我に返り、重い鉄足枷が氷の床にゴツンと鈍い音を立て、しゃがれた声で腰を下ろした。
「ニコライ2世……1918年の地下室処刑事件、あなた一家は骨も残らず消えたと誰もが言っていた。生きているなんて、思いもしなかった」
ニコライは指で摩耗した駒を何度も撫で、冷たい隙間風に紛れるほど微かな苦笑を漏らした。
「あの地下室での処刑は、外界を欺くための芝居に過ぎない。銃撃されたのは身代わりの死体だ。その夜我々は秘密裏に移送され、東へと転々と運ばれ、最終的にこの孤島の地下壕に監禁された」
ベリヤは思わず首を回し室内を見渡した。壁際の寝台にはアレクサンドラがぼろぼろの薄毛布に身を包みうつむいて座り、衰えた血族の気配がかすかに漂う。四人の大公女とアレクセイはすでに青年男女に成長し、全員瞳の暗紅色の光がくすんでいる。ニンニク精の浸蝕で全身が脱力し、静かに壁にもたれてぐったりしていた。
「あなた一家全員、血族に変異した体質なのか?」
ベリヤは声を潜め、胸の中に激しい衝撃が渦巻いた。
ニコライは黒のポーンを強く盤に打ち下ろし、無力感に満ちた自嘲の笑みを浮かべた。
「すべての根源はラスプーチンにある。あの狂僧はカルパティア山脈の寒源花から抽出した冬の霊薬を所持し、アレクセイの血友病治療を口実に皇室に近づき、裏で一家全員にカビとエントロピー素の混合原液を注射していた。最初は傷の治りが速く活力が溢れるだけだったが、やがて吸血病が完全に発症し、肌はすべての日光を忌避し、強い光に焼かれると治りにくい潰瘍ができる。当時貴族たちがラスプーチンを討伐し、霊薬の大半は焼き払われたが、毒素はすでに血脈に根付き、我々は不死身でありながら永遠に監禁される衰えた血族となった」
遠くの寝台からアレクサンドラがかすかに声を上げ、喉が渇きしゃがれた音が響いた。
「当時私たちは彼を救いの聖人だと信じていた。結局、自ら永遠の檻を身に着ける結果になった。上層部は我々の変異に気づくと、皇室一族が全滅したと世間に発表し、密かにシベリアへ押送し、その後サハリンへ転送した。世界中に我々の行方を探す者はもういない」
ベリヤは五本の指でチェスの駒を強く握りしめ、指関節が白くなる。自身の抱える委屈と憎しみが相手の境遇に共鳴する。
「私の境遇も好転しない。幼い血族のナタリアが私を訪ね、自身の血で私を転化させ、無限の力と全域の生化学遺跡研究の統治権を約束した。だがルビャンカ裁判を経て砕氷船で流刑にされたあの日、彼女は最後まで助けに現れなかった。私はウラル、極東の古い変異遺跡をすべて踏破し、無数の生化学兵器を開発したのに、最後に得たのはこの氷の牢獄だけ。彼女は何の説明も残さず忽然と姿を消した」
ニコライはゆっくり一手を打ち、ベリヤの白ナイトを取る。視線は机の隅に積まれた粗悪な印刷新聞に流れた——記事はすべて改ざん美化され、モスクワの平和、上層部の団結など偽りの光景ばかりが並び、監房の囚人は外界の真実を知る術がない。
「夜にならなければ外で労働に出られず、昼間は地下に永久に閉じ込められる。我々は単なる重労働者ではなく、長期的に観察される生きた実験体だ」
ベリヤは偽りの新聞をちらりと見て鼻で嗤い、胸の上下に合わせ鉄鎖がカラカラと音を立てた。
「ウラルや極東の地下には多数の高次元遺跡が埋まっており、エントロピー素、カビ変異体が彼らの狙う交換材料だ。不死の肉体を持つ我々は当然最適な実験サンプルとなる。昼間はニンニク精で超能力を封じ労働管理を容易にし、夜になり薬効が薄れると交代で採血し変異反応を記録する。最初から最後まで、我々は必要な時に採取される生きた標本に過ぎない」
ニコライは黙ってうつむき、壁にもたれた青年アレクセイに目を向けた。少年は物心ついた時から地下に閉じ込められ、日光を見たことが一度もない。生まれながらの労働者、生まれながらの実験品だ。
「ラスプーチンが残した呪い。ロマノフ一族はこの凍土に永久に閉じ込められ、二度と逃れることはできない」




