第238話「一人前の証」
エリナが旅立ってから、三年が過ぎた。
「エリーゼ様、王都から手紙です。……今度は、少し特別な便りかもしれません」
ナーシャが、丁寧な封筒を差し出した。
差出人は、ソフィだった。
『エリーゼ様。……エリナさんが、正式な薬草師として認定されることになりました』
『来月、認定式が行われます。……ぜひ、皆様でお越しください』
その一文に、私は思わず声を上げた。
「認定されたのですね……! カイル、聞きましたか」
私が興奮気味に言うと、カイルも驚いたように顔を上げた。
「本当か。……もう、そんな時期か」
その言葉には、深い感慨が滲んでいた。
認定式の当日、私たちは久しぶりに王都の学び舎へと向かった。
式典会場には、多くの生徒や講師たちが集まっていた。
「エリーゼ様、カイル様!」
真っ先に声をかけてきたのは、成長したソフィだった。
「エリナさんは、この三年間、誰よりも熱心に学んでいました」
その言葉に、私は胸が熱くなった。
やがて、認定式が始まった。
壇上に、一人ずつ名前が呼ばれていく。
「エリナ・レイ・ウェスタリア」
その名が呼ばれた瞬間、私は思わず立ち上がりそうになった。
壇上に上がったエリナは、堂々とした佇まいで、認定証を受け取った。
「本日をもって、正式な薬草師として認定します」
その言葉に、会場から大きな拍手が沸き起こった。
エリナは、客席にいる私たちを見つけて、まっすぐに微笑んだ。
式が終わった後、エリナが駆け寄ってきた。
「お母様、お父様……! やっと、ここまで来られました」
「おめでとうございます、エリナ」
私がそう言うと、エリナは涙をこらえながら頷いた。
カイルが、そっとエリナの肩に手を置いた。
「よくやった。……お前は、俺たちの誇りだ」
その言葉に、エリナは大粒の涙をこぼした。
「ありがとうございます……! これからも、精一杯頑張ります」
その決意に、私たちは静かに、けれど確かに頷いた。
娘の一人前の証を見届けたこの日を、私は生涯忘れないだろう。
(第239話へ続く)




