↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
237/240

第238話「一人前の証」

エリナが旅立ってから、三年が過ぎた。


「エリーゼ様、王都から手紙です。……今度は、少し特別な便りかもしれません」


 ナーシャが、丁寧な封筒を差し出した。


 差出人は、ソフィだった。


『エリーゼ様。……エリナさんが、正式な薬草師として認定されることになりました』


『来月、認定式が行われます。……ぜひ、皆様でお越しください』


 その一文に、私は思わず声を上げた。


「認定されたのですね……! カイル、聞きましたか」


 私が興奮気味に言うと、カイルも驚いたように顔を上げた。


「本当か。……もう、そんな時期か」


 その言葉には、深い感慨が滲んでいた。


 認定式の当日、私たちは久しぶりに王都の学び舎へと向かった。


 式典会場には、多くの生徒や講師たちが集まっていた。


「エリーゼ様、カイル様!」


 真っ先に声をかけてきたのは、成長したソフィだった。


「エリナさんは、この三年間、誰よりも熱心に学んでいました」


 その言葉に、私は胸が熱くなった。


 やがて、認定式が始まった。


 壇上に、一人ずつ名前が呼ばれていく。


「エリナ・レイ・ウェスタリア」


 その名が呼ばれた瞬間、私は思わず立ち上がりそうになった。


 壇上に上がったエリナは、堂々とした佇まいで、認定証を受け取った。


「本日をもって、正式な薬草師として認定します」


 その言葉に、会場から大きな拍手が沸き起こった。


 エリナは、客席にいる私たちを見つけて、まっすぐに微笑んだ。


 式が終わった後、エリナが駆け寄ってきた。


「お母様、お父様……! やっと、ここまで来られました」


「おめでとうございます、エリナ」


 私がそう言うと、エリナは涙をこらえながら頷いた。


 カイルが、そっとエリナの肩に手を置いた。


「よくやった。……お前は、俺たちの誇りだ」


 その言葉に、エリナは大粒の涙をこぼした。


「ありがとうございます……! これからも、精一杯頑張ります」


 その決意に、私たちは静かに、けれど確かに頷いた。


 娘の一人前の証を見届けたこの日を、私は生涯忘れないだろう。


(第239話へ続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。