↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
223/240

第224話「一歳の誕生日」

エリナが生まれてから、ちょうど一年が経った。


「今日は、特別な日ですね」


 朝、私がそう言うと、カイルは静かに頷いた。


「ああ。……あっという間の一年だった」


 薬草園には、朝から賑やかな準備の音が響いていた。


「お花、たくさん飾りましょう!」


 ナーシャが、庭中の花を集めて回っている。


「ケーキも、腕によりをかけて作りますからね」


 マーサさんも、張り切って台所に立っていた。


 昼過ぎ、王都からアルヴィン様とフィオナ様が訪れた。


「誕生日、おめでとう」


 アルヴィン様が、丁寧に包まれた贈り物を差し出した。


「殿下、わざわざありがとうございます」


 私がそう言うと、フィオナ様も優しく微笑んだ。


「小さな靴です。……よければ、使ってあげてください」


「素敵な贈り物ですね。……ありがとうございます」


 夕方には、レイアードからハルト殿の使いも、祝いの品を届けてくれた。


「リヴァ様からも、お祝いのお言葉を預かっております」


 その伝言に、私は思わず微笑んだ。


 薬草園の中庭に、みんなが集まった。


「エリナ、みんなが、あなたの誕生日を祝いに来てくれましたよ」


 私がそう言うと、エリナは不思議そうに、周りを見渡した。


「わあ、可愛い」


 村の子どもたちも、次々と駆け寄ってきた。


「エリナちゃん、お誕生日おめでとう!」


 その賑やかな声に、エリナは嬉しそうに手を叩いた。


 ケーキが運ばれてくると、エリナは目を輝かせた。


「エリナ、一つだけですよ」


 私がそう言いながら、小さな一切れを差し出した。


 エリナは、両手でしっかりとそれを掴み、満足そうに頬張った。


「美味しい、ですか」


 私が尋ねると、エリナは大きく頷いた。


 その様子を、フェンが少し離れた場所から見守っていた。


「随分と、賑やかな日だな」


「はい。……こんなにも、たくさんの人に祝ってもらえて」


 私がそう言うと、フェンは静かに目を細めた。


「これからも、こうして祝える日が、たくさん続くといい」


 その言葉に、私は静かに頷いた。


 夕暮れの薬草園に、みんなの笑い声が満ちていく。


 一年という時間の重みを、私は静かに胸に刻んだ。


(第225話へ続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。