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第166話「対策の会議」

満月まで、あと五日。


 私たちは再び、王都へと旅立った。今度は、迎え撃つための旅だった。



 王城に着くと、すぐにアルヴィン様の執務室へと通された。


 そこには、見知らぬ顔ぶれがすでに集まっていた。


「紹介しよう」とアルヴィン様が静かに言った。「私が信頼する、宮廷の重臣たちだ」



「モルデカイの動きは」


 カイルが単刀直入に尋ねた。


「密かに調べさせている」とアルヴィン様は頷いた。「奴は地下の旧研究室に、籠っているようだ」


「証拠は」


「あと少しで掴める。……だが、時間との勝負だ」



 一人の重臣が、地図を広げた。


「モルデカイ殿の研究室は、ここに。……満月の夜、術式の発動には、大量の魔力が必要になるはずです」


「城内の魔力供給を断てば」とフェンが口を挟んだ。「奴の企みを止められるのでは」



「それも一つの手だ」


 アルヴィン様は頷いた。


「だが、城内の魔力は多くの防護結界にも使われている。……不用意に断てば、別の危険を招く」


 その指摘に、部屋の空気が重くなった。



「では、どうすれば」


 私が問うと、カイルが静かに口を開いた。


「発動の瞬間を、押さえるしかない。……モルデカイが術式を完成させる、その場を」


「危険な賭けだ」とアルヴィン様。



「危険でも」とカイルはまっすぐに兄を見た。「他に方法がないなら」


 その言葉に、アルヴィン様はしばらく黙っていた。


 そして、静かに頷いた。


「……いいだろう。私も、共に行こう」



「殿下自ら、ですか」


 重臣の一人が、驚いたように言った。


「これは私の城で起きていることだ」とアルヴィン様は静かに答えた。「見過ごすわけにはいかない」


 その横顔に、私は初めて会った日とは違う、確かな覚悟を見た。



「フェン」


 アルヴィン様が静かに、フェンに向き直った。


「頼めるだろうか」


 フェンはしばらくその顔を見つめて、それから、小さく頷いた。


「……お前を少しは、認めてやろう。だが」


 金色の瞳が鋭く光った。


「今度、俺の伴侶を危険に晒したら。容赦はしない」



「肝に銘じておこう」


 アルヴィン様は静かに微笑んだ。


 満月まで、あと五日。


 作戦は決まった。あとは、その夜を待つだけだった。


 窓の外、まだ丸くなりきらない月が、静かに光っていた。


(第167話へ続く)

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