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打ち明け

兄弟の再会から数日が過ぎた。


その間、カイルは少し変わった。


いつもどこかに影を抱えていた人が——その影が少し薄くなった気がした。


ある夜、カイルが私に言った。


「エリーゼ。——あなたに聞きたいことがあります」



「はい」


「兄のこと、です」とカイルは言った。「あなたは——いつから兄と会っていたのですか。墓地で何を話していたのですか」


約束の期限が来た、と思った。


アルヴィン殿下との約束。カイルには、まだ言わないでくれ、と。


でも——もう二人は向き合った。話してもいい頃だった。



私はすべてを話した。


偶然、墓地でアルヴィン殿下に会ったこと。命日でもないのに花が供えられていたこと。少しずつ彼の心が開いていったこと。焦げた菓子のこと。涙のこと。


カイルは黙って聞いていた。


最後まで聞いてから——深く息を吐いた。



「……あなたが、一人で兄と向き合っていたのですね」


「はい」


「危険だとは思わなかったのですか」とカイルは言った。「兄は——あなたを陥れようとしていた相手です。墓地で二人きりになって。——何かあったら、どうするつもりだったのですか」


その声には心配と、わずかな責める色があった。



「……ごめんなさい」と私は言った。「黙っていたことは謝ります。でも——あの時は一人で行く必要があったのです」


「なぜ」


「カイルがいたら、アルヴィン殿下は心を開かなかったと思います」と私は言った。「兄弟だからこそ、見せられないものがあります。——私は他人だから。だから見せてもらえたのです」



カイルがしばらく黙った。


「……それは、わかります」と、彼は言った。「でも——心配はします。あなたは俺の妻なので」


その言葉に、私は温かいものを感じた。


「ありがとうございます」と私は言った。「でも——フェンが見ていてくれました。本当に危ないときは、フェンが止めると」



フェンが窓辺で頷いた。


「ああ。——毎回こっそりついて行っていた」


私は驚いた。


「フェン。毎回?」


「当然だ」とフェンは言った。「お前を、一人で敵かもしれない男のところに行かせるわけがなかろう。——少し離れた木陰から、ずっと見ていた」



私は知らなかった。


フェンが毎回ついて来ていたなんて。


あの疲れやすい身体で。私に心配をかけまいと、黙って。


「フェン……」と私は言った。「無理をしていたのですね」


「無理ではない」とフェンは言った。「相棒の務めだ。——それに、いい運動になった」



でも、私にはわかった。


フェンは私のために——自分の身体を押して、ついて来てくれていた。


その優しさが胸に染みた。


「……ありがとう、フェン」


「礼はいらん。——だが、次からは一言言え。隠れてついて行くのは疲れる」



カイルがフェンを見て、少し笑った。


「フェンリルが見ていてくれたなら——安心です」


「だが、王子」とフェンは言った。「お前も、もっと妻を見ていろ。この女は一人で何でも抱え込む。お前が気づいてやらねば、いつか潰れるぞ」


「……肝に銘じます」とカイルは言った。



「カイル」と私は言った。「黙っていて、本当にごめんなさい」


「いえ」とカイルは首を振った。「あなたは——俺のできなかったことを、してくれました。俺は兄に近づくことすら、できなかった。でも、あなたは——兄の心を取り戻してくれた」


カイルが私の手を取った。



「感謝してもしきれません」と、彼は言った。「あなたは俺の妻であり——俺の兄の恩人でもある」


「恩人だなんて」と私は言った。「私は、ただ——放っておけなかっただけです」


「その『放っておけない』が」とカイルは言った。「兄を救ったのです」



春の夜が静かに更けていった。


「これから」と私は言った。「アルヴィン殿下と、少しずつ家族になっていけたら、いいですね」


「家族」とカイルが、その言葉を噛みしめた。


「ええ」と私は言った。「兄弟として。そして——いつか本当の家族として」



カイルが頷いた。


その顔には——長い間、彼を縛っていた兄への複雑な思いが、少しずつほどけていく安らぎがあった。


「……あなたと結婚して、本当によかった」と、カイルは言った。


「私も、です」と私は答えた。



フェンが窓辺で長い息を吐いた。


「……また惚気か」


「フェン」


「だが、悪くない」とフェンは言った。「家族が増えるのは——いいことだ」


その言葉に、私ははっとした。


フェンが「家族」と言った。



フェンも私の家族だった。


カイルも。ナーシャも。そして——今、アルヴィン殿下も、その輪に加わろうとしている。


七年前、一人だった私の周りに。


こんなにも、たくさんの家族ができた。


春の星が窓の外で優しく瞬いていた。


その光は——どこか、アンナさんが見守ってくれているようにも感じられた。


(第116話へ続く)

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