仲立ち
数日後、アルヴィン殿下から手紙が来た。
短いが丁寧な文面だった。
——カイルと話がしたい。でも、どう切り出せばいいかわからない。力を貸してほしい。
その手紙を、私はしばらく見ていた。
あの完璧な王太子が——弟との話し方がわからない、と書いている。
それは何より、本物の心の証だった。
◆
私はすぐに返事を書いた。
——では機会を作りましょう。私が間に立ちます。
そして、その夜カイルに話を切り出した。
「カイル。——お兄様と会ってみませんか」
カイルがはっとした顔をした。
◆
「兄と」
「はい」と私は言った。「お兄様が、あなたと話したいと言っています」
「……兄が、そう言ったのですか」
「ええ。手紙をもらいました」
カイルがしばらく黙っていた。
信じたい気持ちと、まだ怖い気持ちが揺れていた。
◆
「カイル」と私は言った。「無理にとは言いません。でも——一度だけ会ってみませんか。何も起こらなくてもいい。ただ顔を合わせるだけでも」
カイルがゆっくりと頷いた。
「……わかりました」と、彼は言った。「兄が、その気なら。——俺も向き合います」
◆
会う場所は——あの墓地にした。
アンナさんの墓の前。
二人の思い出が始まり、そして途切れた場所。やり直すなら、そこがふさわしいと思った。
私は二人をその場所に導いた。
そして少し離れた場所で見守った。
◆
春の午後だった。
墓地に二人の兄弟が立っていた。
アルヴィン殿下とカイル。
久しぶりにちゃんと向き合う兄と弟。
最初は——二人とも何も言えなかった。
◆
長い沈黙があった。
先に口を開いたのは、アルヴィン殿下だった。
「……カイル」と、彼は言った。「久しぶりだな」
「……はい」とカイルが固い声で答えた。
まだお互い距離があった。当然だった。長い年月の溝があった。
◆
アルヴィン殿下が墓石を見た。
「……アンナの墓だ。覚えているか」
「覚えています」とカイルは言った。「子供の頃、よく一緒に来ました」
「ああ。——アンナは、お前のことも可愛がっていた」
「はい」
◆
また沈黙があった。
アルヴィン殿下が深く息を吸った。
そして——絞り出すように言った。
「……カイル。すまなかった」
カイルがはっとして兄を見た。
◆
「お前に、ずっとひどいことをしてきた」とアルヴィン殿下は言った。「冷たくして、突き放して。お前の妃を陥れようとした。——本当にすまなかった」
「兄上……」
「アンナが死んでから、わたしは心を閉ざした」とアルヴィン殿下は続けた。「もう誰も失いたくなくて。誰も愛さないようにした。——お前のことも、その中に含めてしまった」
◆
カイルが何も言えずに立っていた。
その目が潤んでいた。
「お前は」とアルヴィン殿下は言った。「ずっとわたしを待っていてくれたそうだな。昔のわたしを。——エリーゼ妃から聞いた」
「……はい」とカイルは震える声で言った。「ずっと待っていました。兄上が戻ってくるのを」
◆
「待たせて、すまなかった」とアルヴィン殿下は言った。「こんなに長く——待たせて」
その時。
カイルの目から涙がこぼれた。
いつも冷静なカイルが——子供のように泣いていた。
「兄上!」と、カイルが言った。「俺は——俺は、ずっと兄上が好きでした! 変わってしまっても、ずっと——!」
◆
アルヴィン殿下が一歩近づいた。
そして——昔のように。
弟の肩に手を置いた。
「……知っている」と、彼は言った。「お前は優しい子だった。昔から、ずっと。——わたしが、それに応えられなかっただけだ」
◆
「兄上」とカイルが言った。「もう一度——もう一度、兄弟に戻れますか」
アルヴィン殿下がゆっくりと頷いた。
「……ああ」と、彼は言った。「時間はかかるかもしれない。すぐには元には戻れないかもしれない。——でも、やり直そう。少しずつ」
「はい!」
◆
二人が墓石の前で向き合っていた。
二十年近い溝が——今、少しずつ埋まり始めていた。
完全には元通りにならないかもしれない。長い年月の傷は簡単には消えない。
でも——二人は、もう一度歩き出した。
兄と弟として。
◆
私は少し離れた場所で、その光景を見ていた。
胸が温かかった。
誰も傷つけずに。誰も貶めずに。——ただ、しまい込まれた心を取り戻す。
それができた。
ざまぁでも復讐でもなく——救済が。
◆
その時、後ろから声がした。
「……よくやった」
振り返ると——フェンがいた。
私が墓地に来ることを知って、ゆっくりと後を追ってきたらしかった。
「フェン。来ていたのですか」
「ああ。——お前の晴れ舞台を見逃すわけにはいかん」
◆
「晴れ舞台、ではありません」と私は言った。「主役は、あの二人です」
「いや」とフェンは言った。「あの二人を引き合わせたのは、お前だ。——お前は、また一つ凍った心を溶かした」
春の風が墓地の花を揺らしていた。
兄弟の新しい一歩を祝福するように。
アンナさんの墓の上で、供えられた焦げた菓子が春の日差しを浴びて、静かに温かそうに見えた。
(第115話へ続く)




