第4話 飾られていたのは
一度宿屋に向かい、アメルンを待つ事にした。
麻袋の中を確認すると、彼女は驚く。
一緒に確認すると金貨ばかり入っていた。
ベッドの上にばら撒き、枚数が幾つあるか確かめる。
なんと500枚以上も入っていた。
当分はなんでも買えるが、それだといつか尽きてしまう。
「ど…どうしようか」
『さっき行っていたところがあるだろ。登録はしてきたのか?』
「ま、まだだけど、何かいい事があるのか?」
『冒険者になれば、さまざまな恩恵が受けられるぞ。上位になれば王都に認められるかもしれん』
やる気が出てきたのか、外に飛び出してしまった。
全く騒がしい奴だな…。
遠くに見えている博物館を見つめていた。
暇を潰す為に収集魔法から筆記用具と書見台を床に置き、角度を調整する。
手帳を取り出して斜めに置いた。
インク瓶に浸し、書き始める。
昨日の事を書いていると扉が開く音が聞こえた。
横を見るとローブを纏ったアメルンが部屋に入ってローブを背もたれにかけて椅子に腰掛けている。
手は真っ黒になっており、爪は鋭く尖っていた。
足も同様であり、鳥の様な感じだった。
会話は無く、日記を書く事に集中した。
懐中時計は9時を指していた頃にシュラークは戻ってきた。
首にぶら下げられていたのは銅のギルドカードだ。
話を聞くと、最初は雑用をしていき、慣れれば青銅になるという。
すると彼女はアメルンの手足に気付き、じっと見つめ、ウロウロと動いていた。
ハテナマークが浮かんでいるのだろう、彼は困惑していた。
あぁ、こんな事をしている場合じゃない。
窓を指すと、二人は急いで外に出た。
◇
チケットを使い、中に入った時、私は圧倒された。
人の多さもあるが、見た目の美しさに見惚れてしまった。
建物の中は大理石で出来ており、天井にはシャンデリアがぶら下げている。
「ここに飾られているのは絵画や鉱物、更には魔道具とか魔導書もあるから、好きなだけ見るといい」
「へぇ、詳しいんだな」
「何度か家族と行った事があるから分かる」
ドレスを纏っている貴婦人や軍服姿の男性も来ていた。
アメルンが言うにはほとんどの物が本物らしい。
人混みをすり抜けて、壁に飾られてある絵画を見つめつつ、魔道具が展示されている場所に向かう。
ガラスの中には魔導書があり、中が確認できるような状態だ。
転移魔法はその名の通り、対象者を特定の場所に移動する魔法である。
白竜に教えてもらった魔法でもう既にあるらしいので興味ないらしい。
しかし、一度も行った事がない場所には移動できないという欠点があった。
隣には魔法陣が浮かんでおり、常に回っている。
プレートを見ると無限に続く鎖というらしい。
説明によると、これらはその名の通りどこまでも伸び続けるようで、先端は鉤爪のような感じで、しかも大きいらしい。
鎖の方は太めで頑丈であり、物理耐性が極めて高く、さらには魔法、魔術にも同じ耐性を身につけていた。
しかも切断しても自己再生可能である。
「...これだ、師匠が言っているのは」
「え?これが?」
「ああ。もう十分だ、外に出よう」
「えっ?早くないか?私は見て回るよ」
夕方になる頃、彼女は宿屋に戻って来た。
満足げな表情をしてベッドに腰掛ける。
白竜は宿屋でずっと待っていたようで、少し不満だった。
『遅い、何をしていた』
「美術品を見ただけださ、ほら」
手帳を見せにきて、羊皮紙には彼女が見てきた美術品がびっしり書かれている。
シュラークは白竜に絵画、魔導書や武器など語り尽くした。
『成程な、じゃあ、我は行ってくる』
彼女の制止も聞かず、外へ飛び立った。
美術館の扉を閉める人を見つけ、捕まえて場所を聞き始めた。
離れた場所に保管庫がある事を突き止めた。
人間を一瞬で灰にした後、そこへ向かった。
保管庫の前に辿り着き、入り口のドアを破壊する。
見つかってしまい何処かに連絡を入れようとした職員を捕まえて、生け取りにする。
拘束魔法で縛り付けて、身動きが取れない様にする。
棚には古い武器や魔導書など並んている。
しばらく見て回ると、ガラスに覆われている魔法陣が浮かんでいた。
開く魔法を使い、穴を開ける。
取り出して、じっと見つめる。
どれもこれも習得済みの魔法ばかりでつまらんな、まぁ強化するのも楽しそうだ。
念のためもう少し調べるか。
鉱物がある棚は全てガラスケースで密封されている。
奥に行くと、地面に直に置かれて鎖で支えている巨大な魔力石がそこにあった。
こんなデカいの持つと後から面倒だな、衝撃魔法で砕くか。
手を当てて、発動すると大きい音を立てて粉々に割れた。
全て拾い集め、男を拘束から解いた。
姿を現すと、眼前にいる奴は後ずさりをして尻餅をつく。
「なっ、なんでここにドラゴンが…討伐されたんじゃ…!」
『貴様には分かるまい。我ら同族達の怒りや憎しみがどれほどのものか…』
この建物には用は無いな、砕く魔法を四方八方に展開しする。
外に出て発動すると大きな音が聞こえ、建物は跡形も無く崩れた。
翌朝、目を開けると「おはよう、白竜」と声を掛ける。
身支度を着替え、宿屋を出て歩き出す。
人混みを避けるように森の中に入る。
透明魔法を解いて、大きさを元に戻す。
30m以上になり、二人を見下ろせるくらいになった。
口を開けて火球を撃つ、着弾したと同時に気化した。
『何処かに隠れてろ』
アメルンに手を引かれ、木の側に体を隠れた。
飛び立ち、火球を撃つ。
市井に降り立ち、尻尾で建物を破壊する。
街の人々はいきなり現れた我に驚いて逃げていく。
そんな事はどうでもいい、この結界を破壊しないと自由に行き来できないからな。
氷属性で氷塊を生み出し、鋭く尖ってから撃ち出す。
それでも貫通は出来なかった。
後ろから足音が聞こえて目線を向けると、討伐隊が大勢現れる。
先頭にいるのはカスパーが立っていた。
「昨日の夜、美術館の保管庫に侵入したのは君?粉々になっていたよ』
『さぁ、何のことやら』
「それより、どうやってここに入ったのかな?まあ知らないけど、君はここで捕まるんだよ」
魔法使いが前に出て、杖を前に出す。
攻撃魔法を撃ち出してくるが右ステップで避ける、馬鹿が、殺気が丸見えだぞ。
弓矢が放たれ、それらを防御魔法で受け流す。
隙を見て、雷魔法を討伐隊に向ける。
大半が灰なったがまだ生きていた。
カスパーが接近し、剣を振るう。
バックステップで回避しつつこちらも攻撃魔法を繰り出す。
弾きつつ、味方の兵士と連携を取っていた。
一瞬で奴の背後に周り、体を上に打ち上げる。
矢が放たれるが、跳ね返す魔法で相手にそのまま跳ね返る。
上に飛び、空中戦になる。
火球を撃ち、回り込む。
相手も回避して衝撃波を飛ばす。スラリと回避して、貫通魔法を放った。
カスパーは受け流せると思ったのか受け流す姿勢を取り、剣が折れた音が聞こえた。
笑顔のまま我を見つめる。
「....へぇ、凄いね、それ」
『ここを壊さんと同族と連絡が取れんからな』
「壊せると思ってる?これは賢者様が貼ったから無理だよ。無駄な足掻きはよしてさ、大人しく殺されてよ」
『...やはり人間は理解できん生き物だ』
拘束魔法を発動し、カスパーの動きを一瞬で封じた。
続けて、威力を上げた切り裂く魔法で奴を袈裟斬りにする。
血飛沫が飛び散り、解除すると地面に向かって落ちた。
魔法使いが受け止めて治癒魔法をかけた。
女が持ってる杖を狙い、粉砕する魔法を掛けて使えなくした。
地面に着地し、人間を見下ろす。
女の魔法使いは目に光が無くなり、絶望している。
くくっ、その顔が見たかったのだ。
その瞬間女はカスパーを連れて逃げ出した。
まあ人の死にはどうでもいいが。討伐隊に絞り込み、殲滅魔法で周囲を切り刻んだ。
土煙が晴れると辺りは何も残っていなかった、一度魔力を回復するか。
この魔力結晶は純度が非常に高く、魔力が戻っていく感覚がした。
これらは我の携帯食にするか。
欠片を三つ食べ、全快になった後手のひらに魔力を集めて球体にする。
空に向けて、雲を切り裂いたのと同じ貫通魔法をぶん投げる。
対魔法消滅を施しているのは分かっている、結界の強度がどれ程か見てやろうじゃないか。
レーザー線状になり、命中すると後ろに下がっていく。
貫通は出来ず、後ろに下がっていく。
そこへ、最大火力の攻撃魔法を放ち、ヒビ割れ、ようやく割れた。
森の中に戻って二人を呼び、荷物も背中に乗せて飛び立つ。
バラバラと崩れていく結界を見つめながら、専用の思念を飛ばす。
これで同族達を探したり、連絡を取れる。
東に向かい、山に降りる。
連絡を取れた同族は山にいるとのことだ。
洞窟に行き、シュラークが呼ぶ。
広い場所に出ると巣には頭部が5つの同族がいた。
鞄を下ろして、奴と話をするが先にシュラークが話しかけた。
『あ?何者だおめぇ』
「あ、あの初めまして!自分シュラーク・ブリッツと言いま―」
するといきなり一つの頭が彼女に噛み付いてくる。咄嗟に前に出て防御魔法で防ぐ。
『その反応速度嫌いじゃねえ。おめぇ、名前は?』
『白竜だ』
『はっ!だせぇ!!俺はアーケルってんだ!!』
体が宙に打ち上がり、外に出た。まずい、二人が。
『どこ見てんだ?』
尻尾で勢いよく叩きつけられ、地面に叩きつけられ、跳ねる。
地響きがして着地する、大きさは我の倍で60mもあった。
起き上がり、相手を見つめる。
『立てよ白竜、お前の強さ、俺にぶつけてこい。勝てたら仲間に加えてやる』
『...後悔するなよ』
脚を2度地面に蹴り、勢いよく踏み出した。




