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 不穏

天気が曇りがちになりそうです。


 夕暮れの日が差し込む、放課後の教室。普段ならばガランとしているはずが、今日は珍しく1人の少女がいる。


 少女は、よく染めていると勘違いされるサラリとした美しい金髪を耳へとかけながら、机に広げた教科書に熱心に見入っていた。勉強しているのだろうか……否。彼女の脳裏は、教科書の内容とはまるで関係ないことに埋め尽くされていた。


 先程、教室から去っていった2人の男女。男の方はよーく知っている。片時も忘れることのできない相手だ。

 だが、女の方は……。


(何なのよ、あの女)


 シャーペンの動きを止め、彼女は考える。もちろん相手が誰であるかは知っている。1組の高橋だ。以前に彼女の友人が会話の種にしていたことがある。

 だが相手が誰であるかなんてどうでもいい。


(龍星くんとどういう関係なのよ……)


 チラリと見たところ、かなり親しい間柄らしい。明らかに友人のそれではない。もっと親しい、例えば彼女のような──


「……クッ」


 彼女。

 その言葉が脳裏をかすっただけで、彼女がシャー芯にかける力は一気に強まった。


(いや、そんなわけない、あるはずがない……)


 一瞬頭に湧いたネガティブな考えを、彼女は頭を振って追い出す。

 だって龍星くんと釣り合うのは、私だけなんだから。


 フーッと息を吐き、彼女は思考を整える。そうだ、あんな根暗ちゃんに龍星くんがなびくはずがない。当たり前のことじゃないか。

 だがもし、もしだ。あの女が龍星くんを横取りしたというなら……。


「……痛い目に遭わせてやるんだから」


 音も立てずに、シャー芯が粉々に砕けた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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