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自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!~平穏に過ごしたいだけなのに、周りが放っておいてくれません~  作者: ゆずこしょう
長期休暇はノヴァ辺境伯領で。

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恋する男たちの夜。

***


デューク視点


ろうそく流しを見るために川沿いを歩いている時、今なら伝えられると思った俺は、思わず「好きなんだ」とティアナに伝えていた。


もっといいシチュエーションを考えてから伝えようと思っていたのに、理性よりも気持ちが勝っていたみたいだ。


今日の雰囲気ならそんな悪い返事ではないだろうと、ティアナからの返事を待つ。


返ってきた言葉は、


「すみません。最後の方の言葉が聞き取れなかったです……」


だった。


なんだか以前もこんなことがあったな。


もしかしたら神様が「告白は今じゃない」と言っているのかもしれないと思った俺は、一度深呼吸をしてから、


「明日、伝えたいことがあるんだ。」


と伝える。


幸い明日もティアナと収穫祭に出かける予定だったし、それまでに静かに話せるところを探しておこうと心に決めた。


それから二人で下流まで進み、ろうそく流しを見る。


「ろうそく流しは下流で見るのが一番綺麗なんです。遠くから流れてくる姿も綺麗だし、少しずつろうそくの火が消えていくところも見られます。色々な形が見えるので、みなさん大体下流に集まるんですよ。」


ティアナが色々教えてくれることもあり、飽きることもない。


それにティアナとは、同じ空間にいてそれぞれ別々のことをしていても苦にならない。


今日、服飾屋で色々見て回る時は、それぞれ別に動いていることが多かったが、全く苦にならなかった。


こういう日常がすごく幸せだと感じると同時に、ティアナとの日常を大切にしていきたいと思う。


ティアナが途中、向こう岸にいるレナードたちを見つけて手を振っていたが、レナードとビアンカは俺たちが腕を組んでいる様子を見て勘違いしているような気がした。


二人が耳打ちしているところを見ると、何を話しているのかなんとなく想像ができる。


ティアナはティアナで、二人の距離が縮んでいることを喜んでいるようだ。


不思議とこちら側の岸で知り合いに会わないなと思っていたが、皆反対側の岸にいたようだ。


アランやアレク、ティアナの父君や母君も向こう岸からろうそく流しを見ていた。


ろうそくの火が消える瞬間、キラキラと空に向かって光が残る。


最後のろうそくが流れてきて、少しずつ火が消えていく瞬間、皆上を見て何かを祈っているようだった。


その姿がまた神秘的だった。


帰り道は所々にホタル石が置かれていて、それを頼りに元来た道を戻っていく。


「すごく綺麗でしたね。」


「ああ、初めて見たよ。この二日間は今までにない体験ばかりで、**とてもいい経験になった。**一緒に回ってくれてありがとう。」


「それはよかったです! こちらこそありがとうございました。でもまだあと一日残ってますからね。楽しみましょうね。」


二人で話しながら歩いていると、あっという間に邸へ着いた。


邸に着いたのが結構遅めの時間だったこともあり、そのまま


「また明日、おやすみなさい」


と挨拶だけ交わして、それぞれ部屋へ戻った。


それから部屋に戻り、湯浴みなどを終えたあと、俺はレナードの部屋へ向かった。


「レナード、まだ起きてるか?」


扉の向こうからレナードが歩いてくる音が聞こえる。


ガチャリと扉が開き、


「起きてるよ。」


と少し眠そうな顔で中へ通してくれる。


「こんな時間に何かあったのか?」


俺は手土産に持ってきた果実水を渡し、相談があることを伝える。


レナードは何かピンと来たんだろう。


「お前たち、とうとう恋人同士になったんだな! ろうそく流しの時はびっくりしたよ。おめでとう。」


俺の肩を叩きながら祝福してくれる。


これだけ祝福されていると言いづらいが、俺は小さい声で、


「……いや、まだ違うんだ……」


と言うと、レナードは


「は?」


と返してきた。


その顔がどうにも間抜けな猿のようで、俺は思わず笑ってしまう。


「だから、まだ恋人にはなってないんだ……」


そこから今日あったことを話した。


二日間恋人として過ごしてみないかという提案にティアナが乗ってくれたことや、二人で服飾屋に行き、卒業パーティーで着るドレスやスーツを選んだことなどを話した。


「お前たち、そんなことをしていたのか。俺もビアンカもてっきり恋人同士になったのだとばかり思っていた……」


傍から見たらそう見えていたということは、きっとアレクやアラン、ティアナの父君や母君も同じことを思ったのではないだろうか……。


これは話が広がる前に、きちんと気持ちを伝えなければならないと思う……。


「ろうそく流しの時に気持ちを伝えたんだけど、まさか他の人の声でかき消されてしまって……アナには聞こえてなかったんだよ。」


顔を手で隠しながらレナードに話すと、レナードは笑って、


「デュークは何でも卒なくこなすけどさ、肝心なところで失敗すること多いよな。なんか同じようなこと前にもなかったか?」


レナードの言う通りだ。


気持ちが焦ってしまう時に限って空回りをしてしまう。


「まずはその場のノリで言わない方がいいな。そこは慎重に行こう。で、明日もう一回気持ちを伝えるんだろ?」


「あぁ……できれば卒業パーティーはティアナと一緒に参加したいと思っている。それに学院だとおさげにメガネだけど……周りにバレたら絶対人気が出ると思うんだ……ティアナが他の人に取られるなんて、考えるだけでも嫌なんだ……」


レナードに自分の気持ちをぶつける。


レナードはため息をつきながら、


「なんでそんなに弱気になっているんだ? 取り敢えずまずは気持ちを伝えないと何も始まらないだろう。それに選ぶのはアナ本人だ。俺はそんなに気にしなくても大丈夫だと思うぞ?」


レナードの言う通り、ティアナはティアナの中身を好きになってくれる人を好きになるだろう……。


それにティアナの場合、見た目と中身のギャップが激しい。


見た目はおとなしそうなのに、魚釣りをしたり、乗馬をしたり、狩りをしたり……お嬢様っぽくないところも俺は好きなのだが……それでも不安は不安だ。


「デューク、お前にはビアンカの時に世話になったからな。俺からいい情報をやろう。ホタル石で同じ色が出ると願いが……」


「……それは知っている。」


「じゃ、じゃあ、これは知らないだろう。遠乗りでビアンカと行ったんだが、山からこの街全てが一望できるところがある。そこから海に沈む夕陽がとても綺麗なんだ。そこなら告白の絶景スポットだと思う。二人で行ってみたらどうだ?」


同じ場所で告白するのはどうかと思うが、たしかにティアナもその景色が好きだと言っていた気がする。


「レナード、話を聞いてくれてありがとう。明日頑張るよ。もしダメだったら慰めてくれ。じゃあ、おやすみ。」


ヒラヒラと手を振りながら、俺はレナードの部屋を後にした。


このままずっと話していても後ろ向きになる可能性があったからだ。


ティアナに想いを伝えるのは怖い。


でも、明日こそきちんと想いを伝えよう。


そう心に決めた。


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