三日だけ光る石。
デューク様と二人で歩いていると、シンプルなアクセサリーなどが売っているお店を見つけた。
「デューク様。少しあちらのお店を見たいのですが、いいですか?」
デューク様に声をかけてからお店の近くまで行くと、たくさんの人がいる。
「このアクセサリーは三日だけ光る石なんです。この近くの鉱山で取れるんですよ。」
三日しか光らないことからホタル石と呼ばれる石だ。そして面白いのが、全てが同じ色に光るわけではないということなのだ。
永遠に光り続けるともっといろいろできそうだけど、光らないからと言って使えないわけではない。
「お祭りの間はこの石をいろいろなところに吊るしておくんです。色とりどりの星が散りばめられているようで、とてもきれいなんです。」
「光らなくなったらもう使わないのか?」
「光らなくなった石は不思議なことに消えてしまうんです。」
いまだにどこへ消えてしまうのかは解明されていない。
中には、今までに亡くなった方々の魂が一時的に戻ってきて、この石に宿っているのではないかとも言われている。
三日間アクセサリーを身につけて一緒に楽しむ人も多い。
「光らせるには石同士を擦り合わせるんです。火打石の要領ですね。アクセサリーを二つ買って、同じ色に光った時は両思いなんて言い伝えもあるんですよ。すごく素敵ですよね……」
私はアクセサリーを見ながら、この石について話した。
「じゃ、じゃあ、俺たちも一緒に買ってみないか?」
デューク様が少し顔を背けながら話す。
「もう二日目だけど、あと二日は楽しめる。もし同じ色が出たら、二日間恋人として楽しむのはどうだろう。」
確かに、私たち二人とも恋人や婚約者がいないし、デューク様が相手なら嫌な気持ちはない。今後の参考にもなるかもしれないし、少し恥ずかしいけど、
「周りはカップルだらけですもんね! 二人で少し恋人気分を味わってみるのもいいかもしれません。ぜひよろしくお願いします。」
と伝えた。
まぁ、あくまでも同じ色に光ったらという前提だから、必ず光るとは言い切れないけど。
「ティアナ、約束だからな。」
「はい。」
「今はまだ、疑似恋愛で許してやる……」
という言葉が聞こえたけど、私は聞かなかったふりをした。
***
デューク視点
アナから呼び名をティアナに変えてみたが、呼びにくいなんてことはなく、思っていたよりもすんなり馴染んだ。
今日のティアナの格好を見た時、どこかの天使が舞い降りたのではないかという衝撃を喰らった。昨日、ムーランがニーナのことを妖精だとか言っていたけど、ティアナの方が儚げで、どこかに飛んでいってしまいそうな妖精を彷彿とさせる。
元々色白の肌だったが、髪色がピンクゴールドに変わったことで透け感が増したような気がした。
そして、昨日とは違う服装。恐らく髪の色に合わせたんだろうが、とても似合っていた。編み上げブーツに膝丈の青いスカート。中にパニエを履いているのか少しふわっとしていた。
白のブラウスにベストを羽織っていて、スカートとベストには赤と黄色の刺繍が施されていた。
始めはレナードたちと回ろうと思っていたが、いつの間にか逸れてしまい、二人で回ることになった。俺が正直に気持ちを伝えると、ティアナも「二人で回りましょう」と返してくれて嬉しかった。
所々で見せるティアナの笑顔に、好きな気持ちがどんどん抑えられなくなっていく。可愛らしいティアナも、学院にいる時のおさげ姿も、男より勇敢なティアナも、すべてが好きだ。
でもきっとまだ、ティアナはこの気持ちがわからないだろう……それにニーナのこともある。できれば今後のことを考えると、そろそろニーナのこともどうにかしなければならない。
恋人ができたら少しは変わるかと思ったが、そんなことはなかったようだし……この収穫祭が終わったら、一度ティアナとニーナのことについて話さなきゃならないと思っている。
ティアナは面倒臭いから自分が我慢すればいいくらいに思っていそうだけど、俺はいろいろなティアナが見たい。
ティアナを見ながらいろいろ考えていると、一つのお店でティアナが立ち止まった。
アクセサリー屋さんらしい。そこで売られているのは、三日しか光らないホタル石と言われるものだそうだ。
昨夜は、いろいろな色に光っていると話していたことを思い出し、この石が光っているのだと知った。
昨夜ティアナと出かけた時は、いろいろな色に光っていて、とても神秘的な世界だったのを覚えている。ティアナが石について説明してくれる。
「光らせるには石同士を擦り合わせるんです。火打石の要領ですね。アクセサリーを二つ買って、同じ色に光った時は両思いなんて言い伝えもあるんですよ。すごく素敵ですよね……」
アクセサリーを眺めながら話すティアナも素敵だ、と心の中で思いながら、俺はあることを思いついた。
この二日間ティアナと恋人として過ごすことで、少しは俺のことを気にしてくれるんじゃないかと考える。
「じゃ、じゃあ、俺たちも一緒に買ってみないか?」
少し顔を逸らしながら話を続ける。ティアナがどんな顔をしているのか怖くて見られない。
「もう二日目だけど、あと二日は楽しめる。もし同じ色が出たら、二日間恋人として楽しむのはどうだろう。」
次第に言葉が早くなってしまったが、なんとか話すことができた。内心バクバクだ。
すると、少し考えたティアナから、
「周りはカップルだらけですもんね! 二人で少し恋人気分を味わってみるのもいいかもしれません。ぜひよろしくお願いします。」
と返答が来た。
頭の中の俺が天使の格好をしてラッパを吹いている。
取り敢えず一歩前進ということだ。
二人で石を選び、火打石の要領で石を擦り合わせると、少しずつ光ってきた。
「私の石は水色でした。デューク様は何色でしたか?」
「まだ目を瞑っていて見ていない。」
怖くて何色か見られないでいると、ティアナがクスクスと笑い始める。
「見ないと何も始まらないですよ。取り敢えず手を開いてください。石が割れてしまいます。」
いつの間にか手に力が入っていたらしい……ゆっくり開くと、俺の石は青に近い紫に光っていた。
違う色に光ったことに思わずショックを受ける。
「デューク様がせっかく恋人気分をと言ってくださいましたし、青に濃い紫と水色。元の色は両方とも青ですから、同じ色ということでいいんじゃないでしょうか?」
まさかティアナがこんな提案をしてくれると思っておらず、
「いいのか?」
と聞き返してしまった。
ティアナが、
「そ、その、デューク様なら嫌じゃないです。」
と少し顔を赤くしながら言うものだから、思わず抱きしめてしまった。
あぁ、早く本当の恋人にしたいな。
そのためにも、そろそろ動かないといけないなと思った。
取り敢えずこの二日間は、この二日間でたっぷり堪能しようと心に決めた。




