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自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!~平穏に過ごしたいだけなのに、周りが放っておいてくれません~  作者: ゆずこしょう
長期休暇はノヴァ辺境伯領で。

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収穫祭二日目。

エントランスに着くと、レナード様とデューク様、ビアンカが待っていた。


「おはようございます。皆さん、お待たせしてすみません」


階段を下りていくと、皆がこちらを振り返った。


「アナ!? いつもと雰囲気が違うから誰かと思ったわ!」


ビアンカが駆け寄ってくる。


「とっても似合っているわ」


「ありがとう。いつもの自分と違うから少し恥ずかしいんだけど、ビアンカに似合ってると言ってもらえて少し自信がついたわ」


ビアンカの顔がいつもより輝いて見えるのは、レナード様との恋が実ったからだろうか。


「ビアンカは今日も可愛いわね! 前から可愛かったけど、さらに磨きがかかった気がするわ。これもレナード様効果かしら」


レナード様をちらりと見ると、レナード様は恥ずかしいのか目を逸らした。


レナード様はすごい恥ずかしがり屋みたいだけど、ビアンカと二人の時はどんな感じなのか少し気になったので、収穫祭が終わった後にヘレナも呼んで女子会でも開こうと心に決めた。


そう言えば、デューク様がいつもより静かな気がするなと思い、デューク様の方を見てみると、なぜかこちらを見て顔を真っ赤にしている。


「あれ?? デューク様。もしかして熱でもあるんじゃないですか? 大丈夫ですか?」


おでこを触って熱を測るけど、熱はないみたいだ……


「だ、だ、大丈夫だ! 一時的なものだから気にしなくていい」


「ならいいんですけど……無理はしないでくださいね」


それでなくても今日はかなり気温が高い。


本当に無理だけはしないで欲しいなと思っていたら、


「わかった」


と、ぼそりと返ってきたので安心した。


話を聞くと、今日の昼間は四人で回ることにしたらしい。


昨日はずっと別々に回っていたので意外だったが、デューク様が二人に昨日の出来事を話したら、見てみたいと言うことだった。


「ビアンカも、レナード様も物好きですね……見てもあまりいいことないかもしれないですよ」


「むしろあそこまでできるのは一種の才能だと思うよ」


レナード様はまた思い出しているのか笑っている。


お母様たちを見かけないところを見るに、もう出かけているようだったので、私たちも早速外へ出た。


レナード様とビアンカが私たちの前を歩いているが、すごく仲睦まじい様子で見ていて微笑ましい。


まだ付き合い始めたばかりだが、うまくいっているみたいで安心した。


「あの二人、お似合いですね」


デューク様に話を振ると、


「そうだな……」


と返ってくる。


朝から少しデューク様の様子がおかしい気がして、本当に体調は大丈夫か聞いてみた。


「大丈夫だから、気にするな」


そう言って頭を撫でてくるデューク様。


そして、ぼそりと、


「今日も可愛いよ……」


と何か言っている。


町に近づいてきたこともあり、うまく聞き取れなかった私はもう一回聞いてみた。


「デューク様、聞き取れなかったです。なんですか?」


「今日も可愛いよ……」


「え? すみません。もう一度……」


「……可愛いよ」


本当に何を言っているかわからない。


「もう少し大きい声で言ってもらってもいいですか? 聞き取れないです」


デューク様は大きく息を吸い込んで、


「今日のティアナも可愛いって言っているんだ!!」


と皆に聞こえる大きな声で言い放った。


それを聞いたレナード様とビアンカはニヤニヤしているし、周りの人たちは、


「お二人さん、この暑さの中、お熱いねー! 俺たちが溶けちまいそうだよ!」


とはははと笑いながら揶揄ってくる。


私は不意打ちに名前を呼ばれたことと、「可愛い」という言葉に顔が真っ赤になってしまった。


デューク様も今の失態に気づいたのか、真っ赤な顔をしている。


それを見て周りの人たちが、


「茹で蛸が二杯上がったぞー!」


と言うので、私たちは急いでこの場を離れた。


「レナード様とビアンカを置いてきてしまいましたけど、良かったんですか?」


「構わない。昨日も二人で回っていたわけだし大丈夫だろう。それに俺はティ、ティアナと二人で回りたい……」


耳を真っ赤にしながら言うデューク様を少し可愛いと思ったのは、ここだけの話だ。


「じゃあ、二人で回りましょう!」


***


レナード視点


「レナード様。二人に置いていかれてしまいましたね。どうしましょう。追いかけますか?」


ビアンカはニコニコしながらデュークとアナが行った方向を見ていた。


俺もビアンカが見ている方を見ているが、かなり遠くまで行ってしまったのか、もう二人の姿が見えない。


人がたくさんいるということもあるだろうが……


「いや、大丈夫だろう。もしかしたらどこかで二人に会うこともあるかもしれないし、このまま二人で回ろうか」


ビアンカは頷いて腕に飛びついてきた。


昨日一日でだいぶ距離が縮まったような気がする。


まだ恥ずかしい部分はあるが、収穫祭はどこもカップルだらけで周りを気にしている様子はない。


そのおかげもあって、俺たちも伸び伸びと行動できるのがありがたいのだが……


収穫祭が終わったら王都に帰ることになるし、王都に帰ったら早速父上や母上にビアンカのことを伝えなくてはならないので、少し会える時間が減ってしまいそうだ……


今のうちにビアンカと羽を伸ばして、二人の時間を満喫しておこうと思い、ゆっくり歩き出した。

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