8話 交戦
ストックががが・・・
中央に集まったそれぞれのチームは今現在とんでもない激戦を繰り広げていた。たった数分前まで膠着状態だったのに、1人のプレイヤーが撃った銃弾が引き金となり今現在の状態に至っている。
始まって早々だが自チームがかなりの劣勢である。シーサーは戦いの中冷静に状況を分析していた。(まずいな、懸念していた通り、スナイパーがかなり厄介でまともに戦えない。それにこちらは1人欠けている状態なので一層キツさが際立ってるな。あいつが帰ってくるまではなんとか持ちこたえなきゃだな)「一旦、体制を整える。退けるか?」そう問うと「ええ、なんとかなるとは思いますが」とキザ野郎が言葉を返してくる。「他2人は?」「私もなんとか」「僕も〜」二人も同様らしい。「オーケー、なら一旦この中央から外に出たい。異論は?」ひとまずの行動目標を確認目的で問う。「異論は無いですが、この状況をどうやって切り抜けるおつもりで?」キザ野郎の当たり前の質問に「気合と根性。と言いたいところだが、音楽家にバフをもらって俺が奴らのヘイトを買う。その間に他の奴らは退くってのは?」と返してみるも、「こちらのチームは回復がいません。のでダメージを余り受けてほしくは無いのですが」とわかってはいたが改めてこいつに言われると何かなぁ。まあ今はそんな事考えてる暇じゃねぇな。「そこは俺自身がなんとかするこれでオケ?」と半ば無理矢理に承諾させ、早速行動に移ることにする。「《守りの歌》っとこれでオーケーかな〜」間延び声からバフをもらい傘を構える。「こっちはいつでも」短く吐いた言葉に「こちらも」と返され「んじゃ、後でな」と返しスキルを発動する。歌舞伎役者のスキルは目で捉えることができる相手なら誰彼構わず視線をこちらに向けさせることができるため、これで味方が逃げる隙を作る作戦である。「よし」スナイパーを除く敵全員の視線がこちらに向いたことを確認し、素早く和傘を展開する。この傘は開くとシールドになり閉じて振るえば武器になるため非常に使い勝手が良いのだがどうしても接近戦になるし、小間自体がそこまで耐久値が高いわけではない。せいぜいスナイパーの一撃を防げるくらいである。もちろんそれでも十分に強いのだが、如何せん小間が復活するまでが長いのだ。その時間なんと5分である。普通に考えても遅いのだがこと勝負において5分は隙を晒し続けるのには長すぎる時間なのでいかにして小間をもたせるかが大事になってきたりするのだが。影移動の最中にスキルを食らったであろう忍者が俺の方へと襲いかかってくる。開いた傘の小間で忍者の初撃を受け止めそのまま流すようにして攻撃をいなし、隙が生じた奴の脇腹目掛け回し蹴りを放つが後方に飛ぶことによって回避される。「チッ」当たったと思ったがどうやら甘かったようだ。傘をもう一度構え直し、逃走する方法を考えだそうとするが、先の攻防中に距離を詰めてきていた聖騎士と大剣士が左右同時に攻撃を仕掛けてくる。がその行動は読めていたので右の大剣士の剣撃を傘で受けつつ受け流しの体制をとり、左の聖騎士の視線から自分が見えづらいように傘の角度を調整し、右にステップし聖騎士の剣撃を空振らせる。そしてそのステップの勢いのままもう一度回し蹴りを大剣士の横腹に食らわせる。今度はヒットし、聖騎士方向に倒すことに成功する。「この隙に」そう思い移動しようとするが、ピュンと風切り音と共に弾丸が耳横と通り過ぎる。どうやら一筋縄ではいかないようだ。
スナイパーの矛先が別の方向に向いたってことはこれは大大チャンスじゃないか。スモーク地帯を抜け建物の影を経由しつつ目的地へ向っていたが、どうやら本格的にぶつかり合っているらしくスナイパーがあまりこちらを撃たなくなってきた。「この隙を逃すわけにはいかないよな」息を整え、建物の影から次の経由地へと駆け抜ける。終点のおおよその位置は掴めているが詳しい場所まではわからないため、相手側にたどり着いてもそこからさらに、探索するという危険と冒さないといけないのがほんとに辛いところではある。がしかし、味方が奴の注意を引いてくれているおかげでかなり難易度は下っている。
走っていると左手に大きな時計台が見えてくる。あの時計台はマップの中央を示すオブジェクトで、マップに計4箇所置いてある。ここは北側に置いてある時計台のためその時計台の向こう側が相手陣地ということになる。そしてそのまま時計台を通り越し相手陣地に侵入する。ここからは、終点を素早く探し出し荷物を渡すことが任務になる。できれば、そのままスナイパーの撃破まで行ければ最&高なのだが。
自分が走ってきた通路をそのまま真っすぐを見てみるが終点らしき場所は見つからないということは、このまま南下しつつ探すことになるのだがそうなるとやはりスナが怖くなってくる。そのため、ここからは警戒をより強くしつついかなければ行けない。「はぁ~、味方には申し訳ないがもう少し待てってくれないかな」時間が惜しいのでとっとと捜索に移ることにする。
そのまま南下しつつ探していると、ふとこのマップに似合わないような真新しい感じの店が目に入った。ということはつまり「キターーー」テンションマックスでその店に近づくと、
「へい、いらっしゃい。今日はどんな御用で?」とやけに明るい声色で60歳くらいのエプロンを着た漫画とかでよく見る感じのおっちゃんが立っており、「とある奴に頼まれたものを持ってきた」そう言い背負っているカバンから例の物を取り出すと、「お〜こいつはもしや」と疑うことなく手に取り数秒くらい眺めたあと、「確かに受け取った」というセリフを吐き店の中に引っ込んでしまう。が、俺の目の前に《仕事完了》という文字と共にいくつかの項目が書かれたウィンドウが出現する。仕事を完了したことにより、”覚醒”という強化状態になる。この職業での強化は、ステータスの上昇と投擲武器の所持数増加、そして投擲武器の強化である。この投擲武器の強化がとても強く、閃光弾が忍者のスキルを阻害できる様になったりなどの恩恵があり、この職業を扱う上で先ず真っ先に仕事をするべき理由である。
さて、ここからどうするかだが、3つの選択肢がある。まず1つ目、位置のアドバンテージを捨て味方との合流。2つ目、俺1人でスナの撃破又は妨害。3つ目このまま単独で相手を撹乱する動き。1つ目はこの相手陣地というアドバンテージを捨てる代わりに味方の今現在不明の状況などの確認ができ、人数を互角にもどす。この場合こちらは、強化状態が1人いることになる。推測でしかないが相手に聖騎士が居る都合上ダメージを与えすぎると覚醒させる恐れがあり、膠着状態なのではないかと思う。なので今向ってもあまりメリットが少ないのではないかと思う。つまり、1つ目はない。次に2つ目のスナへの突撃だが正直気乗りしない。というのも上手い人の場合近距離の対処法ぐらい心得ているだろうし。スナへ向かう最中に抜かれて終わりというのがとんでもなく不味い。だが、このまま放置というのもなあ・・・。よし、一旦保留。
最後3つ目の単独で相手の撹乱だが、相手チームの位置の把握が出来ていないところからのスタートという点を加味して見て、こいつも結構キツイ。特に探す所からなのが痛く、その最中になにかヘマをして、スナにパーンが一番面白くない。とは言ったものの、相手の位置は中央でほぼ間違いないのでこの心配はいらないのだが。ではなぜこんな悩んでいるのか、それはそろそろ盤面がうごくから。実はさっきからスナイパーがやけに静かになっており、結構きな臭い。そのため、俺が思っている状態に敵がなっていない可能性があるのだ。色々考えてみたものの今結局俺がしなければいけないのは、スナの撃破もしくは妨害であるといえる。「よし。作戦は決まったから、あとはやるだけだな」意識を切り替え、スナイパーが居るであろう場所に向かい走りだした。




