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ACT.33 革命軍解散?!

 古株が話題を変えた。

「あいつらは、とりあえず去っていった。俺たちが一番知りたいのは、これからどうなるかだ。この後、あいつらは戻ってくるのか、戻ってくるとしたらいつ頃か。戻ってこないとしたら……我々は自分らだけでやって行かなくてはならないことになる。当面は何とかなるかもしれないが、やがて行き詰ることになる」

 中年女が続けた。

「食べるものは何とかなるかもしれません。ですが、お薬や、お塩をはじめいろいろな調味料とか、農機具とかは、そのうち尽きます」

 髭面も続けた。

「あんたは、『お前たちは飼われていただけだ』といった。全くその通りだよ。あいつらの言うがままに生きてきた。あんたに言われて初めてあいつらに腹が立った。だから、俺自身は、あいつらがあんたらにボコボコにされて逃げていったとき、ざまぁ見ろって思った。ところが、どうだ。あいつらがいないと、俺たちはどうしていいかわからず、町を回していく見通しが立たない」


 アコが町の連中の問いに答えた。

「まず、あいつらがすぐ戻ってくることはないというのが我々の見立てだ。少なくとも三か月は戻ってこないと思っている。その先、戻ってくるか来ないかについては、今の時点では見当がつかない」


 沈黙が落ちた。


 俺はパソコン画面の中のカネを見た。カネは腕組みをしている。ほぼ無表情だ。

「カネ……この状況をなんとかしてやれないのか?」

「すぐにはどうにもなりませんね。社会の仕組みが根底から変わるときには、必ず、それまで通りにはできないことが沢山出てきます」


 古株が呟く。

「町の住人は混乱して分裂している。この町を出て、エルフが支配する別の町に移りたいという連中もいれば、自分たちだけで、この町を何とか回していこうという連中もいる。中には、あんたらの革命軍に加わって、自分の手でエルフやオークを痛めつけてやりたいと言い出すものまで出てきた」

 髭面が続ける。

「町の連中の心情が混乱して分裂しているんだ。あんたらが現れるまで、皆、エルフに這いつくばってオークに脅されながら、ただ辛い仕方がないとだけ思って生きていた。それ以外に生き方があるなんて考えたこともなかった。あんたらは実力でそうじゃない生き方を示した。すごいことだ。ただ、それを自分もやれるかというと……。とにかく、生き方を自分で決めるってことをやったことがないんだ」

 中年女も口を開いた。

「そう……私たちは、自分で生き方を決めないといけないのは次第にわかって来たところなの。ただ、皆がわかってきたわけではないし、考えたくないと思っている人も多い。だから、しばらくの間、皆を導いてくれる人が欲しい。いろいろな方向を示してくれるだけでもいいから」


 アコがチョーハを見た。チョーハがアコを見て小さくうなずいた。

 アコが町の連中に告げた。

「いろいろと話を聞かせてくれてありがとう。エルフの連中の話も、町が今、どういう状況にあるのかもだいたい分かった。我々は、この後、革命軍の中で話し合う。何とか町も我々も、いい方向に向かえる答えを探す。しばらく待ってくれ」


 町の連中は顔を見合わせ、お互いにうなずき合って立ち上がり、帰っていった。

 アコとチョーハが俺がいる部屋にやって来た。


 アコが腕組をして言う。

「頭の中ではわかっていたつもりだったけどな……。ぶち壊すのは大変だが、再構築して、また動くようにするのはとんでもなく大変だな。カネ、お前、わかってたんだろう?こうなることは」

 カネはにこりともしない。

「ええ、わかってました。社会というのはシステムです。本体に触らず小さな改変をするだけなら影響教は少ないですが、仕組みを根底から変えれば、それまで通りにはできないことが沢山出てくるのは当然です」

 アコが応じる。

「多くの革命政権が旧体制派にひっくり返されてきた理由が体感できるな」

「さすが、カクガクドー書記。勉強してますね」

「無駄口はいいから、なんか提案しろ」

「そうですねえ。チョーハさんが暫定的に町の指導者になるのがいいでしょう」

 俺はびっくりした。

「えーっ?チョーハが抜けると革命軍はまとまらなくなる恐れが高いよ」

 カネは平然として答える。

「第一次革命軍はここでおしまいです。解散するのがいいです」

「そんな……ここまでやっといて」

「この革命軍が果たすべき役割が終わったからです」

「果たすべき役割?」

「髭面男が言っていたでしょう。エルフやオークに支配されない、依存しない生き方があることを行動で示すことです」

「でも、奴らはまだ支配者だろう……それに、革命軍は山中のワンダラの村を目指すって言ってなかったか?」

「はい。言いました。ここで、あらためて第二次革命軍を編成します」

「はあ?元のメンバーじゃあダメなの?」

「果たすべき役割が違うので、それに必要なメンバーで編成します」

「どんな役割?」

「エルフ支配体制を終わらせることです」

「ええっ?奴らと全面戦争するの?」

「そんなことはしません」

「でも、兵士は多い方がいいだろう?」

「作戦に必要なメンバー以外は、抱え込むと大変です。食べさせなきゃいけないし、秘密保持も難しくなりますから」

「じゃあメンバーは……」

「アコとタケと私。それとタフで、弓が使える者が五人」

「たったそれだけ?」

「はい」

「俺は要るの?」

「要ります。キーマンです」


「なるほどな。ようやく見えてきた」

 アコは笑った。

「面白くなりそうだ」 


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