第八十三話 =不安と恐怖、そして夕食=
第八十三話です。よろしくお願いいたします。
「―――――これで、僕の話は終わりだよ」
玲央が話し終えた後、食堂内は何とも言えない静けさに包まれていた。
優次郎は何も言わずじっと二人の事を見つめている。その顔は何かを考えている様な、どう話を切り出せばいいか悩んでいる様な、不思議な表情を浮かべていた。椎名は黙って煙草に火をつけ、逆に二人から目を逸らして煙を噴き出す。玲央はふぅ、と軽く息をつき、美沙子は黙って俯いてしまっていた。
不気味なほどの静寂。遠くで境子が調理を行っている音だけが、場違いに響いている。
それを切り裂いたのは、優次郎の一言だった。
「じゃあ、玲央先輩はその後は?」
「夜が明ける前に国を出たよ。別れは済ませていたし、もう用も無かったりしちゃったからね」
「そして、叶さんにスカウトされて魔術学院の保健医になったって事か」
優次郎の言葉を、首を使って肯定した。
「もう治癒魔術師ではいられないと思ってたんだけどね。あの国の人たちが黙ってくれていたってのもあるけど、カナエちゃんの口添えも大きかった。誤算だったりしちゃったね」
「それはどっちの意味でだ?」
椎名が久方ぶりに口を開けば、玲央も数刻ぶりに笑みを浮かべた。
「さぁね。解釈はシーナちゃんに委ねるよ」
「……そうかい」
無駄だと判断したのか、椎名がそれ以上追及する事は無かった。
玲央も、自分が話すことはもう無いという意思表示なのか美沙子へと視線を移す。それにつられる様に、優次郎と椎名もそちらを見る。
「人体蘇生魔術なんて、噂でしか聞いたこと無かったが……どうだ? その身で受けた感想は」
「何とも言えません……死の直前の事は覚えていますが、それから目覚めるまでの記憶はありませんから」
「玲央先輩の事だから、魔術で記憶操作でもしたんでしょうね」
「正解だったりしちゃうね」
流石は玲央、と言ったところか。死の記憶がどうだったかなんて分からないが、碌なものじゃない事は確かだろう。そんな記憶を持って生きるなんて、トラウマも良いところだ。こうして美沙子が治癒魔術師を続ける事も無かったかもしれない。
「実際、私は目覚めてから玲央の事は忘れていました。今の話に出てきたラウラさんやリックさんも、玲央の名前を出す事なく見送ってもらいましたしね。
『自分が一度死んだ』という事も覚えていなかったですし、その時の私は『戦場での治療中に重傷を負い、ラウラさんから治療を受け、眼を覚ました』と記憶していました」
「なら、どうして記憶が戻ったんだ?」
椎名に問われ、美沙子は再び過去について語りだした。
彼女が自身の死を、真実を、そして――――――玲央の存在を思い出した時のことを。
戦場医師を止めてから、もう一年も経つのかと、何となく感じる。
あの頃の私に、今は日本に戻って医師をしていると言って信じるだろうか。いや、きっと信じない。厄介払い同然の扱いを受けたのに、そんな訳ないと一笑に付すだろう。
あの国で死の淵をさまよった私だったけど、ラウラさんの適切な治療のお陰で無事に生き延びる事が出来た。眼を覚ました時、ラウラさんは泣いて抱きしめてくれ、リックさんは優しく微笑んでくれたのが忘れられない。数日しかいなかったのにあんなにも受け入れてもらえたのは、後にも先にもあの国だけだった。
そして、私の戦場医師としてのキャリアも、あの場所で終わりを告げた。
国を出る寸前、リックさんからもらった手紙。そこに書かれていたのは、日本への帰国命令が書かれた治癒魔術師連盟からの通知書だった。
何でも国王様が口添えしてくれたって話だけど……あの時の二人の表情がどこか引っかかる。まるで、何かを隠していた様な……。
まぁ、考えても答えが出る事では無いんだけどね。
「……よし」
午後の診察を終え、カルテを一通り整理し終えたところで、右腕の時計に目をやった。
もう四時を回った所だ。今日は当直でも無いし、早急に仕上げなければいけない仕事も無い。簡単な事務処理をして終わりかな。
最初はこの生活に慣れなかったけど、人間って言うのは不思議なもので、今となってはすっかり板についてきた。
ゆっくりと背伸びをして体をほぐしていた時だ。ノックの音が聞こえ返事をすれば、最近入ってきた新人ナースがいた。
「澄田先生、回覧資料がありましたのでお渡ししに来ました」
「うん、ありがとう」
資料を受け取ると、ナースは会釈をして退出していく。
「自分を助けてくれる人が常にいるっていうのも、慣れたもんだなぁ」
戦場にいた頃は、一人の事が多かったもんね。
そんな事を思いながら、資料に目を通す。院長の言葉なんかの聞き飽きた言葉を眺めていると――――――――ふと、ある人物の名前が目に留まった。
「え―――――……?」
思わず、声に出てしまった。
書かれていた内容は、先日の治癒魔術師連盟の理事会議録。どうやらある人物が何かをやらかしてしまったらしく、彼の今後について話し合った、という内容だった。
議題に上がった人物の名も記載されている。
記憶を掘り起こしてみるが、聞いたことの無い名前だ。だが、何故か私はその名前から目を離せずにいた。
「黒岩……玲央……」
ぽつりと呟いた名は、私しかいない室内にわずかに響いて消えた。
今日の仕事を終え、帰路につく間も、私は黒岩玲央という人物の事を考えていた。
「何なんだろう……会ったことも無い人なのに……」
どうして、こんなにも脳裏にこびりついて離れてくれないのか。
どうして、こんなにも胸が締め付けられるような思いになるのか。
分からない。いくら考えたって、答えは出ない。きっと今の私には、その答えに辿り着くすべはないんだろう。
黒岩玲央。アナタは、一体誰なの?
「…………おめでたい事ね」
不意に私の思考を遮る声に、はっとして顔を上げた。
既に大通りを外れており、私の住むアパートは目と鼻の先にある。薄暗く街灯の少ない裏道に、その人は立っていた。
この人を――――――私は、知らない。
「……誰ですか?」
私が問えば、その女性は顔を顰めた。思わず肩が震える。怒らせてしまっただろうか? でも……こんな妙な格好をした人、知らない筈なんだけど……。
「大橋真衣」
「…………え?」
女性の言葉に、思わず声が漏れだした。
「私の名よ。大橋真衣。アナタは忘れているだろうけれど、私達は会った事がある」
「え? あ、その……すみません」
しまった。まさか会ったことある人だったなんて……そりゃ、怒って当然だよね。
「まぁ、それについては構わないわ。流石は玲央君、と言ったところね。アフターケアも万全なんて」
玲央君。
何故だか分からないけど、私はそれを聞いて確信した。この人はきっと、黒岩玲央という人物の事を言っているのだと。
「大橋さんは、黒岩玲央を知っているんですか?」
「えぇ、よく知っているわ。それこそ小さい時からね。でも――――――アナタも、知っている筈なのだけど」
知っている? 私が?
「アナタ、昔戦場医師をしていたわよね?」
「え? えぇ……」
「アナタが戦場医師として最後の仕事を行った国。そこで、私達は出会った。その場に、玲央君もいたわ」
最後の国と言えば、あそこだ。リックさんやラウラさんがいたあの国。
でも、そこで黒岩玲央なんていなかった筈だ。絶対に……。
「本当に、覚えていないの?」
無意識に後ずさりしてしまった。大橋さんの体から、何かが放出されるのを感じる。
殺意や危険性は感じないけど……怖い。魔術の様で、魔術じゃない。そんな力の気配だ。
「アナタは……知っているんじゃないの? 玲央君を……黒岩玲央という『戦場医師』を」
必死の思いで記憶を掘り返していくが、やはり分からない。戦場医師なんて多くないし、もし本当に会ったことがあれば絶対に覚えている筈だ。
黒岩玲央なんて人間会ったことは――――――。
『うわ……美沙子さんまたいるの?』
「っ、」
突然、脳内に聞こえて来る男性の声。聞いたことが無いのに、確かに覚えている声。
矛盾の塊のようなその声に、私の思考は奪われた。
『まるでストーカーだね。そんなに俺の事付け回して楽しい?』
『美沙子さんって、本当に面白い反応してくれるよね。こっちも揶揄い甲斐があるよ』
…………そうだ。
『美沙子さんは、優秀な治癒魔術師だと思うよ。俺はそう思うけど』
何で、忘れていたんだろう。
『そのまま動かないで。じゃないと美沙子さん―――――死ぬよ』
憎たらしくてうざったい後輩。そして底なしに優しく強く、そして危うい――――――――私の、大好きな人。
「玲……央……」
思い出した。全て。
私の隣には、確かに玲央がいた。いつもいつも生意気で意地悪ばかりしてくる、そんな愛しい後輩が。
「どうやら、思い出した様ね」
私の記憶は、いつから違っていたのだろうか。
全部、思い出した……。
私はあの時、真衣さんに出会って、玲央の優しさを知って、彼に会おうと走り出して、そして―――――――――――。
「アナタが……澄田美沙子が、一度死んだ日の事を」
身体が震え、汗が噴き出す。必死に両手で止めようとするけど、無意味だった。
今になって、あの時の恐怖が、絶望が、やっと思い出したかと嬉々として私の中を駆け回っている。
「これで、やっと私も本題に入れるわね。今日アナタに会いに来たのは、アナタ死んでいた時の事を教えてあげる為よ」
私が……死んでいた時……?
確かに、その間の記憶は私には全く無いけど……。
「まず、アナタを殺した男の顔を覚えているわね?」
当然だ。
あの時の、フードの下から覗いた時の、悪魔の様な気味悪い笑顔は、鮮明に覚えている。正確に言えば、思い出した、だけど。
「あの男を嗾けたのは……私。アナタを殺して欲しいと、あの男に頼んだの。
アナタが――――――――邪魔だったから」
何も、言葉を発せない。
もう何もかもぐちゃぐちゃになってしまって、声の出し方を忘れたんじゃないかとさえ思う。
「そして私の望み通り、アナタは死んだ。その後――――――――玲央君はあの男を殺したの」
え――――――……。
「玲央が……人を……?」
「えぇ、そうよ。嘘なんてつかないわ。玲央君は確かに人を殺した。治癒魔術師としてではなく、黒岩玲央と言う一人の人間として、あの男を許せなかったから」
それって、つまり――――――私の為に、殺人なんて『禁忌』に手を出したって事?
「そして、玲央君はアナタを国へと連れ戻した。その後は……もう言わなくても分かるわよね?」
大橋さんの言う通り。私がいくらバカでも、それぐらい分かる。
玲央は、私を生き返らせたんだ。
医師という肩書を持つ人間にとって、最低で最悪な、世の摂理に反する行い……『人体蘇生魔術』を行使して。
「じゃあ……玲央は今……」
「医師は続けているわよ? 玲央君の同級生である、綾瀬川叶。彼女の口添えによってね。でも、彼が犯した『禁忌』は、彼の故郷である日本の治癒魔術師連盟にも知られる事にはなった。殺人を犯した事は、伝わっていない様だけど」
そして、大橋さんは一歩、私に近づいた。
多分、彼女が持つ最大限の怒りを携えて。
「だから玲央君は、治癒魔術師として活動する事は出来なくなってしまった。綾瀬川叶という『監視者』の元以外わね……どう思う?」
突き刺すような彼女の鋭い言葉が、私の心を抉っていく。
「あんな事が無ければ、玲央君も今頃は世界的に名の知れた治癒魔術師になっていたでしょうね。そんな彼の未来を奪ったのは誰だと思う? 彼にそうさせたのは誰だと思う? ――――――答えなさい」
身体の震えが大きくなっていく。
彼女が言いたい事は分かる。それに……それが正しいという事も。
玲央が禁忌に手を染めたのは。
玲央が未来を捨てる選択をしなければいけなかったのは。
全部――――――――私のせいだ。
「あ……あぁ……」
とうとう足に力が入らなくなり、私はその場にへたり込んだ。
そんな私を、大橋さんは嘲笑う様に見下している。
「哀れよね、本当に……。分かっているかもしれないけど。もしアナタが彼に会いに行けば、彼を裏切る事と同意よ? 彼はアナタに対し、幸せを望んでいた。
自分を忘れ、一度体験した死を忘れ、女として医師として幸せを手にして欲しい。
そんな想いでアナタを生き返らせたと言うのに……アナタが彼に会いに行けば、玲央君はアナタが全てを思い出した事を知って、きっと哀しい想いをする事になるでしょうから」
玲央には、もう会えない―――――。
その事実が、驚くほど重く私に圧し掛かった。
「玲央君にとっても、アナタは大切な人だったでしょう。自分との関係を捨ててでも生きて欲しいと願う程に。
でも、アナタ達はもう会えない。玲央君が治癒魔術師として大きな舞台に上がる事も、もう殆ど無い。
それは全て、アナタが招いたことよ?」
あぁ……私はなんて哀れな女なんだろう。
玲央の優しさを知って、危うさを知って、支えてあげたいと願って、意地を通して会いに行って、挙句の果てに殺されて、そして―――――――玲央から輝かしい未来を、夢を奪った。
「…………本当に、哀れな女」
吐き捨てる様な大橋さんの言葉が、私の耳に届く。
「さぁ、用は済んだからもう帰るわ。もう二度と、アナタと会う事も無いでしょう――――――――さようなら」
そして、大橋さんはその場から姿を消した。
「う……あ……」
私は、何のために走ったんだろう。
ただ、玲央に会いたかっただけなのに。玲央を支えたかっただけなのに。
その答えすら……死ぬ直前まで分からなかった。
あぁ……私は、何も変わっていないんだ。
「うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ‼‼‼‼‼‼」
私は――――――弱いままだ。
「…………胸糞悪い話だな」
美沙子が話を終えた後、真っ先に椎名が口を開く。吸い終わった煙草を乱雑に灰皿へ押し付けた。
「結局いつの時代でも、戦争の裏にゃ女の嫉妬か」
「……真衣の真意は分からないけど、話を聞く限りじゃ、もうミサコちゃんに手を出す事も無かったりしちゃうかもね。まぁ、また僕と関わりを持ったと知ったらどうなるかって言う不安もあるけど」
玲央のいう事は最もだろう。結果論を言えば真衣の思惑は外れ、玲央と美沙子は再び顔を合わせる事となったのだ。当時の関係性では無くなってしまったが。
「…………私も、しばらくご飯も食べられない程弱り切ってしまいました。でも、病院の同僚の方々や患者の皆様に励まされ、立ち直る事が出来たんです」
「今じゃ治癒魔術師連盟の理事会入りしてるくらいですもんね。凄いですよ!」
「いえ……ただ、夢中で仕事に打ち込んだだけですから」
その言葉の裏に隠れる真意を知っている玲央は、ただじっと美沙子の目を見つめたが、やがて前へ向きなおる。
「とにかく、星の下僕って言うのはそういう連中の集まりだよ。そして大橋真衣は、その教団に与する呪術師……犯罪者だ」
「そして、芽衣ちゃんの姉って事ですか」
「……まぁ、元だけどね」
大橋家に何が起こっていたのかも興味はあるが、今ここで玲央に聞くのは芽衣に申し訳ない。優次郎も椎名も、そして美沙子も聞こうとは思わなかった。
「昨日ミナセ君から聞いた話じゃあ、真衣はオーハシちゃんに接触したみたいだから、向こうも心配だね。カナエちゃんにも話して、今後の事は検討する必要があるかな」
「ボクも同感です」
「そうだな」
再び、沈黙が場を支配する。
玲央も美沙子も、ただ事実のみを淡々と伝える様に話したため、その時の互いの心境や細かな部分は椎名も優次郎も分からない。
だが、またこうして会えたのだ。どうかいい方向に進んで欲しいものだと、心から願った。
「さて……終わったみたいだな」
今度は椎名が沈黙を破り、美沙子に目を向けた。
「澄田。色々と思う所はあるだろうし、不安や恐怖もあるだろう。だが、今のお前にはコイツ等や叶たちもいる。ひとまずは安心して良いと思うぞ」
「しーちゃんもいるしね!」
「お前はまたうちに戦わせようってのか? 専門外だっつってんだろ……まぁ、相談にはいつでも乗るし、腹がへりゃ飯食いに来てくれりゃいいさ」
「……ありがとうございます」
美沙子が頭を下げれば、椎名も頷き、そして振り向いた。
「古谷。もう出来たんだろ?」
「まぁね……話は終わったの?」
「うん! お待たせしちゃってゴメンね!」
優次郎がニコリと笑えば、境子は「別に」と一言返し、四人の前にそれぞれ皿を置いた。
中に入っているのは、湯気が立ち込める野菜炒めだ。
「じゃあ、どうぞ。味の保証は出来ないけど、今の私が出来るだけの事はしたつもりだよ」
「じゃあ、さっそく……」
「「「「いただきます」」」」
そして、四人がそれぞれ料理を口に運んでいく。境子からすれば、この一瞬が永遠の様に感じられた。
椎名に味を見てもらう時もそうだが、最初の一口を食べてもらう時がこんなに緊張するとは思わなかった。
そして、最初に口を開いたのは。
「…………おいしい!」
優次郎だった。
「しーちゃんに習ってるって聞いてたから、味も似てるのかなーって思ってたけど、しーちゃんとは違う感じだね!」
「そうだね……フルヤちゃんらしい味って言うのかな? 優しくて温かい味がするよ」
とりあえず、胸を撫でおろす。どうやらこの二人は、それなりに美味しいと思ってくれているみたいだ。
それを見ながら食べていた椎名だったが、ここで口を開く。
「澄田は、どうだ?」
名を呼ばれた美沙子はしばらく俯いたままだったが、やがて顔を上げ、境子を見つめた。
「……美味しいよ、とても」
思わず、四人とも笑ってしまった。
先ほどまで暗い顔をしていた美沙子だったが、今の言葉を告げる時、かすかに微笑んでいたのが見えたからだ。
四人の話は全く聞こえていなかったが、美沙子が落ち込んでいる事は分かった境子にとって、自分の料理で少しでも元気が出たのだと感じれば、自然と笑みも零れるというものだ。
「…………三木さん、どう?」
そして、最後。境子にとって最大の壁とも言うべき椎名へと問う。
「ん? そうだな……」
バクバクと破裂しそうな心音を感じながら、境子は椎名の言葉を待った。
そして。
「…………金は出せねぇな」
飛び出して来たのは、辛辣な一言だった。思わず表情が歪む。やはり自分はまだ、椎名に認めて貰えるほどの料理は作れていない様だ。
しかし。
「でも、ちゃんとお前の味にはなってる。人に食べてもらうには申し分ないと思うぞ?」
次に出てきた言葉に、境子は顔を上げた。
椎名はそんな彼女を一身に見つめ―――――――笑った。
「こりゃ、新学期からは本格的に教えていかねぇとな。今まで以上に厳しく行くから、覚悟しとけ」
「…………望むところだよ」
そう言って、境子も笑った。
本当に、素直じゃないな。
三人とも同じ事を考えながら、笑っていた。
今回もありがとうございました!
回想はこれにて終了しまして、次の話で第五章は終わりとなります。
そんな感じの八十三話です。
二人の過去回想、そして境子ちゃんの料理修行の区切りを何とか書く事が出来、一応ホッとしています。第六章へ向け、執筆意欲は満タンですので、これからもよろしくお願いします。
では今回はこの辺で
また次回もよろしくお願いします!




