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灰色の世界  作者: ken
第三章
46/139

第四十五話 =天才の逆鱗=

第四十五話です。よろしくお願いいたします。

 決着はつけど、優次郎の戦いは終わらなかった。より正確に言うならば、優次郎は終わらせようとしなかった。

 戦いという名の『遊戯』を。

 壊れず、倒れず、死なない。その存在は、彼にとって最高の遊び相手に他ならない。本来、人々を恐怖に陥れる側である筈の死霊が、今は彼に恐怖し、おののき、絶望し、一刻も早い終焉を望んでいた。

 早く殺してくれ、と心の底から願っている。

 そして、その願いが成就するかどうかは、彼女らの戦いにかかっていた。






 叶が構築した結界内部。外から見れば異世界とも言える場所。二人が元いたテトラポットから数十メートル離れた砂浜では、現在玲奈と叶の睨み合いが勃発していた。

 抉れた海岸、荒れ狂う海、今にも雨を降らせそうな雲を見ていれば、いかに激しい戦いが繰り広げられたかは、想像に難くない。

 睨み合う両者の表情は対照的だ。玲奈は飢えた獣の如くぎらついた瞳を輝かせ、その中にいる叶は静かな無表情で彼女を射抜いている。

 一陣の風が、足早に二人の間を過ぎ去っていった。

 先に動いたのは、玲奈だった。右手を前へ突き出し、魔術を発動する。『黒』の塊が、叶へ向けて放たれた。

 叶は表情を変えることなく、首だけを動かしそれを躱す。だが、間髪入れずに次が来た。玲奈の右手からは、黒い魔術が休む間もなく飛び出し、叶へと向かっていた。叶も当然当たる気はなく、身を翻し躱し続ける。

 

「ちっ……相変わらずちょこまかと、煩わしいなぁ!」


 苛立ちの声を上げつつ、最後の一発を叶へ向かわせた。


「アナタも、戦いの最中に随分と五月蠅いわね」


 ゆっくりと右手を上げ、最後の黒を指で弾く。弾かれたそれは行き場をなくし、上空へと飛んで行った。

 玲奈は、それを好機と見る。右手をそのまま上。叶の頭上へと向けた。掌が差す空を見れば、今まで叶が躱していた黒が集まり、巨大な一つの球を生み出している。


「お邪魔虫は、おとなしく消えなよ!」

 

 怒りを叫び、勢いよく右手を振り下ろす。黒塊は彼女の右手を連動したかの様に、叶へ向けてその巨体を落とした。

 対する叶は―――――何もしない。ただじっと、目の前に迫る黒塊を見つめる。直後、衝突。耳障りな衝撃と砂塵を残し、叶の姿は消えた。

 玲奈の表情に、笑顔はない。彼女は知っているからだ。この程度では、牽制程度にしかならないと。綾瀬川叶を仕留めるには至らないと。

 そして、その推察は残念ながら正しかった。


「相変わらず、口先だけは一人前ね」


 再び静寂が顔をのぞかせた時、叶は先ほどと寸分違わぬ姿でそこに立っていた。玲奈を見つめるその瞳が、どこか冷たい色を帯びている事も変わっていない。

 その姿に、玲奈は更に苛立ちを募らせた。


「叶ちゃんこそ、相変わらず魔術だけは一人前だね」


「誉め言葉と受け取っておくわ」


「ご自由に。手向けだと思ってくれれば、それで良いよ」


 あざ笑うかの様な言い草に、叶は目を細める。


「本当に、口先は変わらないわね。それに―――――扱う魔術の悪趣味さも」


 叶は、この戦いで把握していた。彼女の扱う魔術は、以前のそれと変わっていない。

 今しがた行使していた『重力魔術じゅうりょくまじゅつ』にしろ、優次郎達の相手をさせていた『死霊魔術』にしろ、精度が増している事は認めるが、どれも『暗黒魔術』と呼ばれる危険極まりない魔術や、禁忌認定されている魔術ばかりだ。

 

「しかも、全部ユー君が好んで使っていた魔術よね? そんなにも、ユー君に近づきたいのかしら」


「そうだよ? 当たり前じゃん。だって―――――私は優ちゃんのモノだし、優ちゃんは私のモノなんだから……ねッ‼」


 語尾を強く押し出すと同時に、玲奈は地を踏みつけた。砂浜が揺れる。まるで何かが動いているかの様に。

 玲奈の行使した魔術。それを察知し、叶はその場を飛びのいた。

 ほぼ同時に、砂の中から『何か』が飛び出す。


 それは、人の形だけ(・・)を残した、邪悪な『何か』。

 

 叶は着地した後も、ソレから目をそらさずにいる。目の前にいるモノが何か、叶は知っていた。そして、率直な思いを口にする。


「本当に、悪趣味ね」


 無意識なのか、先ほどより声のトーンを下げ、呟いた。表情は険しい。反吐が出る、とでも言いたげだ。

 比例して、玲奈の口角は吊り上がっていく。


「レイちゃんも、誉め言葉として受け取らせてもらうよ。さぁ……出ておいで」


 玲奈の言葉が合図だったかの様に、その『何か』と同じ形状をしたモノの群れが、一斉に砂の中から這い出て来る。

 手を伸ばし、叶を捉えようとするモノ達。 叶はそれを躱し、時にははじき返しながら立ち回っていく。


「ねぇ知ってる? 砂浜の中ってさ、死体が埋められる事もあるんだって。そして、そうゆう死体って……大体、隠蔽の為に埋められてたみたいだよ?」


 まるで喜劇を愉しむ観客の様に、玲奈は叶へ告げた。

 玲奈が使役している『モノ』の正体。それは―――――この砂浜と何らかの因果で結ばれた、元人間。

 どうやって使役したかと聞かれれば、答えは単純にして明快。『死霊魔術』を行使したのだ。


「ははは! レイちゃんってやっぱり優しいよねぇ! 一度終わった命に、またこうして使()をあげたんだからさぁ!」


「静かに眠らせて欲しかったかもしれないわよ」


 玲奈に言葉を返し、叶は魔術を行使して上空へ昇る。見下ろせば、いかに多くの命がこの場所に縛られているのかを、改めて見せつけられた気分だ。

 しかも、彼らは眠っていたにもかかわらず、玲奈の戯れに付き合わされ、死霊魔術という禁忌によって再び叩き起こされたのだ。

 

「可哀そうな子たち……大丈夫。私が連れてってあげるわ。此処よりもっと静かな、安心して眠れる場所へ」


 叶が両手を開き、まるで死者達を撫でるかの様に動かした。その表情からは、慈愛すら見て取れた。

 そして――――――彼女の手が通過したモノ達が一つ、また一つと、あたたかな光に包まれて姿を消していった。

 彼女が行使した魔術が何かは分からない。だがきっと、望まぬ蘇生を施された死者にとって、癒しを感じるものだったのだろう。死者の気持ちなど分からないが、きっとそうだと、叶は願った。

 そして、全ての死者が消えた後、自身を阻むものが一人だけとなった砂浜へ、再度降り立つ。目の前には、荒い体動を繰り返す海がある。

 全てが終われば、この風景いのちも必ず本来の場所へ還す事を誓うと、身体を反転させ、玲奈を見つめる。

 

「へぇーやるね。今、私の玩具を冥界に還したんでしょ? 一体どんな魔術を行使すれば、そんな芸当が出来るのか。ぜひ教えてもらいたいくらいだね」


「何度も言う様だけれど……本当に相変わらずね。何も変わっていなくて……虫唾が走るわ。反吐が出そうとも言えるわね」


「あれー? お淑やかな天才魔術師様が、そんな汚い言葉を使っていいのかなぁ?」


 ニヤニヤと笑う玲奈。自身の魔術が不発に終わったというのに、その表情は余裕に満ちていた。

 

「でも良いよ。レイちゃんは今、最っ高に気分がいいからさ。その位の戯言は許してあげる」


「アナタに許されなければいけない程、私も落ちぶれたつもりは無いけれど」


「あっそ」


 一瞬不快に染まった顔も、すぐにまた笑顔に変わる。

 この世の邪悪なものを全て詰め込んだような笑顔に。


「それより、ありがとう叶ちゃん。キミが玩具を還してくれたお陰で―――――もっと愉しい事になりそうだよ」


 玲奈はコートを翻して見せる。彼女の高くない身長を覆う程度のコートは、そう大きなものでは無い。

 だが今、翻されたコートはじわじわと拡大していき、やがて空を覆う程のものとなった。


 そして直後、叶を悪寒が襲う。


 目を見開き、コートの奥の漆黒を見据えた。比喩でも何でもない、吐き気を催しそうな邪悪な気配が、そこからなだれ込んでくるのを感じた。

 出てきたモノ(・・)を見て、叶は玲奈が行った禁忌こういを理解する。


「冥界の門……」


「ご名答。ホント、感謝してるんだよ? 叶ちゃんのお陰で―――――コレクションが増えたんだから」


 玲奈が行った事。それはコートを媒体にして、死者達の住まう世界と自分たちの世界を繋げる事。

 そんな事は、普通の死霊魔術では行使し得ない。規模が大きすぎる。ならば、これは死霊魔術ではない。とすれば―――――――。


「それがアナタの……先天性魔術ね」


 考え得る可能性を口にすると、玲奈は高々と笑った。


「アハハハハハ‼‼ そうだよ? これは私だけの、私の為の魔術! 知ってる訳ないよねぇ? だって、今まで行使した事なんて無いもん! よく言うでしょ? 切札は最後まで取って置けって!」


 思わず、心の中で舌打ちをした。

 玲奈が先天性魔術を持っている可能性は考慮していたが、まさかここまで巨大な力だったとは。

 冥界と現実を繋げるという事は、今や冥界にいる死者達全てが玲奈の玩具しもべとなった事を意味する。命ある者と命なきモノ。どちらが多いかなど明白だ。しかも冥界と直接繋がっているという事は、先ほど行った死者を冥界へ還す魔術はもう意味をなさない。還したところで、再びコートを通して現実ここへやって来るだろう。


 ()自分・・たちの(・・・)同類・・にする(・・・)()


「術者が悪趣味なら、先天性魔術ですら似てしまうのね」


「何とでも言いなよ。その減らず口も、もうじき聞けなくなっちゃうからね。今のうちに聞いておいてあげる」


 吐き捨てる様な言葉にも、玲奈は動じない。彼女にとって、叶はもはや餌に過ぎないのだ。いくら天才と謳われる魔術師でも、この数の死霊を一気に相手取るなど不可能だ。

 叶の死。それは決定したも同然なのだと、玲奈は感情の昂ぶりを抑えずにはいられなかった。

 やっと自分と優次郎を邪魔する最大の敵がいなくなるのだから。


「さぁ、これで最後だよ? もう言い残す事は無いの?」


 こちらを睨む叶をしっかりと見据え、玲奈は言葉を続けた。



「優ちゃんをえなかった(・・・・・)、哀れな天才魔術師さん」



 パキン、と。何かが音を立てて崩れ落ちた気がした。玲奈には、聞こえていない。叶の中でなった音だ。

 叶は俯いてしまい、言葉を発することも無かった。

 降参。

 無言をそう捉えた玲奈は、一層笑顔を深めた。そして死者たちは、叶の返答を待つ気など当然なく、無数に折り重なり、我先にとコートの深淵から飛び出そうとしていた。


「アハハハハハハハハハハハハハハハ‼‼ こうなっちゃえば、天才も形無しだねぇ‼ 優ちゃんを救えない処か、最後に遺したい言葉すら選べないなんてさぁ‼‼」


 勝ち誇った様に笑う玲奈に、叶は―――――――。


「もう、良いわ」


 一言、そう告げた。

 何を言いたのか分からず、玲奈も笑顔を消し、いぶかしげに目を細めた。


「もう、喋らなくて良いわ」


 先ほどより少し声を張り、再度そう告げた。

 玲奈の表情は、今度こそ憎らしげに歪んでいく。


「何? 突然。負け惜しみにしても、もっと言葉を―――――」




「黙 り な さ い」





 静かに放たれた言葉に、玲奈は初めて、背筋を凍らせた。

 全身から汗が噴き出る。自分の身体なのに、言う事を聞かない。まるで叶に縛り付けられた様に、目も離せなくなってしまった。


 それほどまでに、顔を上げ自身を見つめる叶の瞳は――――――見るモノを射竦める、静かな怒りと恐怖を宿していた。


 まずい。玲奈は直感的にそう感じる。 

 状況は変わっていない。自分が有利の筈だ。叶の命は、このままでは数分ともたない。だが、それでも。玲奈は目の前の魔術師に恐怖を抱かずにはいられなかった。

 こんな叶は、見たことが無い。


「知り合いだと言う事もあるし、捕縛で済ませてあげようと思っていたけれど……それも無理のようね。でも、アナタが悪いのよ? 私を怒らせたんだもの。だから――――――


 もし死んでも、恨まないでね」


「っ……やれるもんなら、やってみなよ!」


 ジワリと迫る恐怖の中、何とか自分を奮い立たせ叫ぶ。そして、その言葉を合図に、那由多の死者達が叶へと迫った。


「何を言ったって、レイちゃんの玩具は止められないんだ! だからさっさと……さっさと死んでよ‼‼」


 玲奈の声に、叶も反応した。

 ただ、右手をゆっくりと動かし、向かい来る死者達を指さす。


「あぁ、そうだったわね。この子達にも、還ってもらわないと――――――邪魔だもの」


 直後、玲奈にとって不測の事態が起こった。

 死者達が、その動きを一斉に止めたのだ。獲物かなえを目の前にしているというのに、である。

 その原因を知り、玲奈は戦慄する。


 深淵の奥から、ナニカが伸びていた。

 それは、巨大な『腕』。数本の腕によって死者達は抱え込まれ、前へ進めずにいた。


「ほら、さっさと還ってちょうだい。私はその子に用があるの。アナタ達なんて、お呼びじゃないわ」


 死者達の悲痛なコエが轟く。『腕』はお構いなしと言わんばかりに、ズルズルとそれらを引きずり、やがて深淵の奥底へと、一つ残らず連れ戻した。

 ―――――再び、辺りを静寂が包む。玲奈は、自分の身体が震えだすのを感じた。

 そして、理解する。自身の先天性魔術が、行使できなくなっている事を。


「さて、玲奈ちゃん」


 声を聞き、玲奈はそちらを見た。そこにいるのは、叶。

 蔑み。嫌悪。怒り。そして、殺意。

 それら全てを隠す事無く解き放った叶が、彼女に言葉を放つ。


「もう一度言っておきたいのだけれど、良いかしら。アナタ、私を怒らせたわね。此処からは、アナタを(・・・・)すつもり(・・・・)()くわよ(・・・)

 私はユー君やアナタと違って、こんな事に時間を取られるのは嫌いなの。さっさと終わらせるわ。一刻も早く、ユー君の顔も見たくなっちゃったし」


 叶の身体から、膨大な魔力があふれた。

 同時に、今日最大の悪寒が玲奈を貫く。そして――――――大地が揺れた。


「っ!?」


 揺れた大地は砂塵の竜巻となり、玲奈を襲った。咄嗟に玲奈も飛びのく。だが――――意味をなさない。

 着地の瞬間、待っていたかの様に大地は再び竜巻と成った。


「っ、鬱陶しいなぁ!」


 忌々しく吐き捨て、玲奈は竜巻を蹴り飛ばす。すると、竜巻は形を崩し、元の砂浜へと戻った。

 しかし、不安定な態勢で蹴り等繰り出したのだから、玲奈もその場に仰向けに倒れる。瞳には、黒く塗りつぶされた空。そして―――――――自身の真上で、ちらりと光を放つナニカが映った。

 玲奈は確信する。その光は、自身を射抜こうとしていると。

 悪い予感はよく当たるもので、光は雷へと姿を変え、彼女の胸目掛け降り注いだ。


「っ! ぐっ!?」


 素早く立ち上がり躱すが、雷は人の限界をはるかに超える速度を誇る。躱しきれるはずも無く、右腕をかすめ、激痛となって玲奈の身体へ入り込んだ。

 だが、痛みを感じる暇も無く。今度は無数の雷となり、再び玲奈の元へ降り注ぐ。


「あぁ、もう‼」


 まだ使える左腕を掲げ、結界を張る事で辛うじて防いだ。だが、雷はその勢いを緩めず、結界を破壊しようと振り続けた。

 だが、休む暇など与えられない。

 今度は防波堤が崩れ、崩れた岩石は腕へと姿を変え、玲奈へ殴り掛かった。気付いた時には既に遅く、その腕は玲奈の小さな体を軽々と吹き飛ばした。


「―――――ッ‼‼」


 あまりの激痛に、声にならない声を上げた。

 何度か砂浜を転がり、仰向けに倒れる。体中の痛み。使い物にならなくなったと自覚し、動く事を拒否する身体。

 うぅ、と唸りながら、玲奈は目を開けた。


 そして、映ってしまう。

 まるでゴミでも見るかのように、自身を見下ろす叶の姿を。


「か……な……」


 絞りだす声にも、叶は反応を示さない。ただじっと、使い物にならなくなった玲奈ゴミを、無感情に見つめていた。

 玲奈は、まだ活動を続ける脳を必死に動かし、何とか答えにたどり着く。

 大地の竜巻。

 空の雷。

 陸の岩石。

 そのすべてが今、彼女を仕留めようと襲い掛かって来た。

 原因は考えるまでも無い。叶だ。叶が魔術を行使したのだ。

 一つ一つを操る魔術は、確かに存在する。だが、一度にここまで行使できる人間など、聞いたことも無い。

 これでは、まるで――――――――。

 その答えに辿り着いた時、玲奈は抱いたことの無い感情を覚えた。先ほど、自身の先天性魔術にまで影響を及ぼした事を含めると、もう他の解答など残されていない。


 これが、これこそが天才かなえの持つ先天性魔術。

 その効力は―――――世界そのものを操る事。


 突拍子もない、バカげた答えだ。だが、信じるしかない。

 今まさに、玲奈は世界そのものから敵と認識されていたのだから。


「玲奈ちゃん」


 もはや世界の主となった叶の口から、彼女の名が告げられる。

 そして、その後ろからは――――――――海が玲奈に牙を向けていた。


「私、アナタと違って優しくないの。だから、選ばせるなんて真似は出来ないわ。

 

 ――――――――さっさと眠りなさい」


 叶を避ける様に巨体を倒す海を見れば、嫌でも分かる。海ですら、彼女の支配下になっていると。

 そして、自身のテリトリーであった筈の冥界すらも。


「綾瀬川……叶……ッ‼」


 恐怖を目の前に、尚も恨みと憎しみを込めた瞳と声を残し、玲奈の身体は圧し潰された。

 大地が揺れ、岩は流され、それでも街に手を伸ばさないのは、叶がまだ慈悲を完全に捨てきっていない証。

 彼女の敵は―――――――天ヶ崎玲奈だけだったのだから。






 数刻の後、再び世界は何事も無かったかの様に姿を戻した。

 穏やかに流れる波、ただじっと佇む防波堤、月が顔をのぞかせた空。そして――――月明りに照らされた、倒れて動かない玲奈の身体。

 それを見つめる天才かなえの表情は、やはり変わってはいなかった。

今回もありがとうございました!

叶と玲奈の戦いを描かせて頂きましたが、やはりこちらも一話完結でした。戦闘描写うまく書けない……もっと精進します!


そんな感じの四十五話です。

叶と玲奈、二人の先天性魔術も明らかになり、叶の天才たる所以も判明しました。この設定は最初から考えていたので、ようやく出せたなと一人安心してます。

此処で、戦闘は終了。次回からは今章の結末へと向けて書いて行きたいと思います。


では今回はこの辺で。

また次回もよろしくお願いします!


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