町に入るまで……
「何故やった!」
「太陽が眩しかったから」
「どこの小説の引用だ!死体に弾撃ち込んだんじゃねえんだぞ!」
「スライムに種撃ち込んだだけじゃん!何?ここじゃ、スライム殺したら殺人罪になんの!?」
「だから、あのオブジェがそうやって出来たか分からないから聞いてんじゃね~か!」
「まあまあ、隊長。落ち着いて。そっちも挑発しないで」
「ドウドウ、ドウドウ」
「テメエ!馬を落ち着かせんじゃねえんだぞ!」
「隊長!ここで剣を抜かないで!」
ワタクシ、アポ・ロンと申します。現在、町の入り口の詰め所で取り調べを受け取ります。
あんなもん数珠繋ぎに繋いで歩いてたら、不審者として警備してる兵士に捕まえられるの当たり前だよな。
そして、何か知らんがチョビ髭の偉そうな隊長さんにおちょくりをいれております。……人の事嘘つき呼ばわりですよ?何なのこのオッサン。
「隊長。あまり興奮すると血圧上がりますよ」
「そうそう。頭に血が上って頭が蒸れて只でさえ少ないモノが生えなくなるよ」
「こんガキは~」
「君も無闇に挑発しないで!」
顔を真っ赤にして怒る隊長を外に押し出し、目の前に座る、金髪碧眼のイケメン。
「すまないね。隊長は興奮すると――」
「頭が薄くなる」
「そうそう。……いや、そうじゃなくて」
「人の言う事を信用しないから」
「あの聖樹の森から来たって言われると、ほとんどの人が信じないと思うよ」
何でもあのドリアドの森は神聖視されているらしく、入る事ができないらしい。
「確かにあの森から来る平原にはスライムが湧いて出てくるけど、それに似た形のオブジェを引っ張って来てもそっから来たって事を証明出来ないしね」
ちなみにまだオブジェは繋がってます。
「出来ればそのオブジェをどうにかしてほしいんだけど?」
どうにかするにしても、植物還元しか……。そうだよ!植物還元だよ!
「戻れ!」
腕に付いたオブジェに魔力を流す。
オブジェが消え、手の中に種が15個ほど現れた。
最初からこうすれば良かった……。
俺が自分のバカさかげんに涙していると、イケメンがポカーンとしていた。
「消えたけど、これで良いですかね?」
はっとして気を取り直したイケメンが、
「これで、落ち着いて話が出来るね」
にっこりと笑った。白い歯が輝いています。
「それで、アポ・ロン、自分の身分を証明できる物はある?」
「無いです」
学生証は制服に入れっぱなしだし、そもそもこの服自体どっからきたのか……?
「無かったら、どうなるんでしょう?」
「町には入れないね」
野宿決定しました!俺は野生児として生きていきます。
「泣いている所悪いけど、犯罪歴とかを調べてなければ中に入れるから」
「本当ですか!?」
泣き顔から一転真顔になり、イケメンを見た。
「犯罪者だ!そいつは犯罪者に間違いない。ワシの頭をネタにする奴は犯罪者だ~!」
「隊長!止めて下さい!それより水晶体を誰かに持ってきて貰うように言って下さい」
水晶体?
しばらくすると、一冊の本を持ってきた隊長を中に入れ、二人の前に置かれたそれを見る。
「中を開けて見てくれ」
本を開くと中には鏡のようになっていて俺が写り込んでいる。
黒髪に黒目。いたって特徴のないフツメン。よくみれば、髪と目は黒に近い緑色だ。
「……反応なしですね」
「……くうっ!何で犯罪者じゃないんだ」
にっこりとしたイケメンとがっかりした薄らハゲ。ハゲの髪の毛引きちぎってやろうか!
「この水晶体は今までの犯罪歴を本人の記憶から浮かび上がらせる物なんだ。それに反応があれば赤黒く輝いて覗いた本人に麻痺の魔法がかかるようになっているんだ」
覗いて犯罪者だったら麻痺するって、コワッ!
「それじゃ、町に入れるんだね!」
「そうだよ。ようこそ聖樹の森の町へ」
イケメンスマイルきました!
「ふん、町で騒ぎを起こすなよ」
「隊長さんの髪の毛が後、数ヶ月の命たと噂を広めときます」
「ぶっ殺すぞコノヤロウ!」
いい笑顔で剣に手をかけるのは止めろよな!
イケメンに許可証をもらい町中へ……考えてみると金が無いんすけど。どうしましょう。




