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スライム草よ!男らしく成る物を食え!

「待てや!ゴラァァァ!」

 追ってくる冒険者の声に押されるように更にスピードを上げる。

 なんだよ。ちょっとごめんよって言って前を横切っただけだろ? 何で追ってくるの? そりゃ、俺を捕まえる依頼できてるんだから当たり前だけど。ちょっとくらい見逃せよ!

 それにしてもしつこい。

 仕方がないので、わざと茂みの中に入る。

 俺は奇っ怪人の種族特性か茂みには足をとられない。普通に走れる。

 だが、

「クソ!こんな所入りやがって」

「剣で切っちまえ」

 剣を振り回し茂みを突破しようとしている。速度は半分以下だし、逃げられるがだめ押しでカラーメ草の種をばら蒔く。そして急成長。

「ウワァァァ!」

「クソ、絡み付いてきやがる。トゲもあるぞ!」

「身動きがとれねえ!誰か助けを呼んでくれ」

「縛られて、この痛み……あぁ、いいっ!」

 ……何か1人変な性癖に目覚めた者もいるようだが、これで安心して逃げることができる。

 小脇に抱えたスライム草を持ち直すと、奥へと走り続けた。

 何でスライム草を持ってるかと言うと、スライム草に『男らしさ』を成長させる物を食わせて葉っぱを煎じてモノグラムに飲ませようと思った訳。

 そのためにスライムを捕まえにいった帰りに、さっきの状況になったのさ!

「しかし、男らしく成るものねえ……」

 男性ホルモンとか筋肉つけるプロテインくらいしか思いつかない。それをどうやったら手に入れられられるかもわからん。

「スライム草よ。男らしい物を食え」

 そういって、地面に下ろす。

 こうなったら、スライム草が持つ野生の勘に頼ろう。ぶっちゃけ、匙投げたとも言う!

 ん? スライム草に動きがあります。

 土掘ってるんですけど? 何か埋まってんの?

 暫くすると、スライム草が掘った穴から出てきた。

 よく見ると、中に草が浮いている。いや、昆虫の幼虫に草が生えている物だ。

 冬虫夏草みたいなものだと思う。何か『元気』になる薬に入っていたかも。

 まあ、男らしくなるんなら何でもいいや。



 ……そんな事思ってた時もありました。

 只今、スライム草はウルフに取り付いています。主に下半身。さらに言えば、股の間。

 なさけない声をあげるウルフからスライム草が離れると尻尾を股の間に挟み、逃げていった。股下にあったバランスボールが無くなったみたいだな。過剰に腰振ってるし……。

 俺は、とんでもないスライム草を生み出してしまったかもしれない。ウルフのG ボールを喰らうスライム草。もし、人間に食指が向いてしまったら……。

 第2のカ〇バッカ王国ができてしまう!

 サ〇ジの恐怖があの町で!

 おっと、思考が危ない方向にいってしまった。

 いつの間にか目の前に冒険者達が立っていた。こいつらこの間のやつだよな?

 体のあっちこっちに草やら枝やらを付けた斬新なファッションをしている。あの時のままなのか、見つけたから藪を突き抜けて来たのかわからないが、1人だけカラーメ草で縛られて転がっているのがいる! 視界に入れたくはない。何か良い顔してる。良い顔してるから!

「ようやく追い付いたぜ」

 冒険者達も転がっているのは無視している。………いいのか? ツッコミ待ちだぞ。

「お前ら、足もーー」

「これで、お前に掛かった賞金は我々4人のものだ!」

「おい、お前らの足元に5人目gーー」

「クリス嬢には悪いがこのまま捕まえて森から降りさせてもらうぜ」

 無視すんな! 下! 下見ろ! 指差してやってんだ! 見ろ!

 地団駄踏む俺に顔をひきつらせる。チラッと足元見たぞ。ちゃんとしてやれ!

 そのまま奇妙な膠着状態に陥った俺達だったが、

「がっ?」

「げっ!」

「うぐぅぅ!」

「おごっ!」

「あひぃぃ!」

 冒険者全員がひっくり返った。股間を押さえて。

 彼らの所にはスライム草が! まさか、やっちまったのか?

 いや、彼らのGボールは無事だった。スライム草の一撃で痛みのためひっくり返っているだけだった。

 ……しかし、スライム草が彼らの股間へ興味を示しているように思えてならない。今も近づこうとしているから!

 俺はスライム草を抱え、町へ戻るため走り出した。

 モノグラムにこいつの葉っぱ喰わせるために!



「いたわ! あっちよ」

「クリスさん! 援軍もすぐ来ます。このまま追い詰めますよ」

 ……戻るのは、もう少しかかるかもしんない。







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