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スライム草欲しいんですけど!

 暇潰しにギルドでコーヒーに似た飲み物を飲んでいた時、かけ込んできた奴に突き飛ばされた。

「依頼をお願いしたい!」

「ちょっと待ちなさいよ!突き飛ばしたの謝りなさい!」

 さすが、ギルドの受付嬢クリスさん……と、言ってやりたいが、

「突き飛ばされて転がってる人を踏みつけながら言うのは止めろ!」

「アレ?いたの」

 いるの確認して、踏んだよな!わざわざカウンター回って。

「そっ、それはすまなかった」

 瓶底メガネにボサボサ頭のローブを着けた男がこちらを向いて謝った。

「そうそう。謝ればいいのよ」

「そうだな。クリス、お前も謝れ!」

 今も踏んでるからな!

「ここで、運動不足解消の足踏みしたいんだけど」

「そうか。ギルマス見ている前で大変だな」

「えっ?」

 クリスの後ろに鬼が立っていた。ナンマイダブ。

「それで、依頼とは?」

 クリスがギルマスに奥に連れてかれた代わりにミランダさんが相手をする。

「スライム草を集めて欲しいんです!」

 ……ミランダさん。こっち見ないで下さい。



「僕は、薬師のモノグラムと言います」

「俺はアポ・ロン。挨拶は済んだことですし、ここで解散と言うことで。さようなら」

「そうですね。さようなら?……いや、違うでしょ!」

 ちっ。ごまかされなかったか。

 ミランダさんの依頼を受け付ける現場にいたことだし、隊長に知られると死ぬまでしごかれかねないから受けたけど……。

「えーと、それでスライム草の種が欲しいの?」

 ぶっちゃけそれで済むなら、魔力で作ってやっちゃうけどな。

「スライム草その物がいるんです」

 スライム草の種は手にいれたが、普通土に植えたのでは生えもしないらしい。

 スライムが養分だからか?

 そこで、実験的に植物魔法でスライム草の種を成長させてみる。……雑草になりました。

「やっぱ、スライムに寄生させないとダメみたいだな」

「そうなんです。川の水とかで水栽培してみたんですけど、同じ結果なんです」

 この人も色々やったのね。

「それなら、行きますか」

「行くって?」

「スライム狩り」

「それじゃ、お願いします」

「えっ?」

「えっ?」

「一緒に行くんじゃないの?」

「一緒にって……」

 ミランダさんにスライム討伐依頼の受付をしてもらうと、有無を言わせずモノグラムをギルドから連れ出した。

「待って!僕はほとんど町から出た事が……」

「ハイハイ。いいから、いいから」

 そう言って、町から外へ出た。



「で、クリスが何でいるの?」

 じいさんに説教受けてたよな?

「モノグラムさんが初クエストになるから、確認のためよ」

「……それを口実に抜け出して来たわけじゃ無いよな」

「……」

 クリスさんこっち見て下さい。

 回り込んで目を見ようとすると更にそらされる。

 ……まあ、いいか。

 しかし、クリスとモノグラム並べるとダブル眼鏡でおぎやはぎかと思ったわ。

「失礼な事考えてない?」

 クリスさん相変わらず鋭い。知らんぷり。

 それとモノグラムさん?人の服ちょこっとつまんでおどおどと周りを見るの止めてくれません?怖がりの女子かお前は!

「今日も町をうろちょろするか、クリスおちょくって暇潰しするつもりだったのに……」

「少しは働きなさいよ!」

「金が半分以下になるまでしない」

「なら、奢りなさいよ!」

 何でだよ!

 クリスのこめかみをグリグリしてやる。クリスが涙目になった。

「二人とも仲がいいんですね」

 そう言って笑うモノグラムのこめかみもグリグリしてやる。

「しくしく……痛い」

泣き崩れるモノグラムさんあんた女の子か!よく見る顔付きも女の子っぽい。

「クリスさん、性別交換しない?」

「前歯折って良い?」

 土下座しましたけど、何か?

 だって、目がマジだもん!

「あの~、スライムはまだ、見つからないんですか?」

ーージロッ、

「ああ~ん!」

「ご、こめんなさい」

 モノグラムさんの土下座入りました!生まれたての小鹿の様に震えています。

「初心者を睨むな。怯えてちゃスライム狩り出来ないだろ?」

「チッ、命拾いしたわね」

 それ、受付嬢の言う台詞じゃないからな。それとモノグラム君の俺への依存度が上がっちまった!何で女の子じゃないんでしょう。



 スライムはそれから暫くして見つかりました。

「それじゃ、そこのクリス(ゴリラ)に絡まれないうちに種をぶつけて下さい」

「はい」

 なんか、ヘニャってした投げ方だよ。何とか当たったけどね。

 そして、スライムはオブジェに、なってねえ!

 スライムの中に根っ子がはってるが吸収せずに残ってます。何で?

 頭には葉っぱ付いてるけど……そんなスライムどっかで見たような……。

「これですよ。スライム草」

 無防備にスライムに近づくモノグラム君なんかいい予感がしない。

 予想通りスライムにベッタリとくっつかれ、

「へ?」

 何の捻りもなく、ローブが溶かされていく。

「イヤァァ!」

 ……モノグラム君、胸を隠すのは止めようね!

「離れろ!」

 モノグラム君の声にスライムが離れる。

 そして、その場に待機。……あれ?

「どうしてくれんだよ!謝れよ~!」

 涙目のモノグラム君の声にべちゃっとなるスライム?謝ってる?みたいだな。

「モノグラム君、ちょっと『命令』してみて?」

「ひれ伏せ!」

「俺じゃねえよ!そこのスライム!」

 なに、どや顔で言ってんだよ!張った押すぞ!

 それから実験でスライムが言う事を聞くか試してみた。結果は種を植え付けた本人の言う事を聞くとわかった。

 それからスライム狩りとヒル―草集めをサクッと終わらせて町にもどった。

 まあ、町の入り口で葉っぱ付きスライムをモノグラム君が連れていくのにひと悶着ありましたがね。








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