【続編・第5話】:交錯する思惑と、新たな旅立ち
リュシールの呪いを解き、二人の未来を繋ぐ――。
その決意を固めたエスタロッサは、かつて共に戦った信頼できる仲間たちへ、秘密裏に招集をかけた。
エスタロッサのかつて住んでいた国(グラスハート王国)において、男同士の恋愛は絶対の禁忌。もし二人の関係や今回の動きが察知されれば、魔女よりも先に追討を受けかねない。
夜陰に紛れ、指定した人里離れた隠れ家に現れたのは、予期せぬ顔ぶれだった。
「……久しぶりだな、エスタロッサ」
そう声をかけたのは、エスタロッサの元妻であるフローネと、かつて共に戦場を駆け抜けた信頼厚い剣士、ロメオだった。
ロメオの眼光はどこか険しい。かつて妻子を置いて自ら姿を消したエスタロッサに対し、男としての割り切れぬ想いを抱いているのは明白だった。だが同時に、剣士として彼の実力を誰よりも認め敬意を払っていたこと、そしてフローネが過去に犯した過ちや自業自得な側面も知っているため、その感情は非常に複雑だった。
「エスタロッサ……お願い、私も旅に同行させて。……ロメオと出会い、新しい幸せを得たからこそ、過去に自分が二人を切り裂いてしまった罪の重さに耐えられないの。あなたとリュシール様に対する贖罪として、手伝わせてほしいの」
必死に頭を下げるフローネ。しかし、その肩をロメオが強く引き寄せ、静かに、だが制するような声で言った。
「駄目だ、フローネ。お前は残れ」
「ロメオ……っ、でも私は……!」
「……お前のお腹には、俺たちの新しい命が宿っているんだぞ。そんな状態で魔女討伐の危険な旅に行かせるわけがないだろう」
ロメオの言葉に、フローネは言葉を詰まらせ、愛おしそうにお腹へ手を添えた。
ロメオは、愛する妻と我が子たちを守るため、エスタロッサをまっすぐに見据えて低く告げる。
「お前が家庭を捨てて去った過去やその選択に、思うところが無いと言えば嘘になる。……だが、仲間としての義理はある。お腹の子供のためにもフローネは残す。代わりに、俺が一緒に行く」
二人のやり取りを静かに見守っていたエスタロッサは、深々と肯いた。
「助かる、ロメオ。頼む」
「がはは! 相変わらず湿っぽい空気は苦手だなぁ、お前たちは!」
重苦しい雰囲気を吹き飛ばすように、豪快な笑い声を上げたのはドワーフのロッソだった。かつての戦友であるエスタロッサからの頼みとあれば断る理由はない。
「まあ、魔女を無事に倒した暁には、エスタロッサが隠し持ってるっていう秘蔵の極上酒をたらふく振る舞ってもらう約束だからな! そのために命を張ってやるさ!」
豪快に笑うロッソのおかげで、場の緊張が少しだけ和らぐ。
それぞれが過去の葛藤、愛、新たな命、そして絆という複雑な思いを胸に抱きながら――。
リュシールを魔女の呪いから救い出すための、命がけの新たな旅がいよいよ幕を開けた。




