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時雨の焼印【通常盤】  作者: 太幽


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第三部・第四章「満開の桜と新たな出会い」


少し刻は遡る。


宇喜多秀家が馬を走らせていた。


数年前、彼の耳に一つの噂が届いた。枯れ木に花を咲かせた老夫婦がいるという。そして、その老夫婦が飼っていたという白い犬の話——それは、父・秀吉が愛した忠助に違いなかった。


胸の高鳴りを抑えられなかった。同時に、もう一つの思いが頭をよぎる。


城下町の片隅に広がる貧民街の噂。飢えと病に苦しむ人々がいるという現実を、この目で確かめねばならない。


二つの目的を胸に、彼はまず老夫婦のもとへと向かった。


---



善兵衛と花乃の家で、秀家はすべてを聞いた。


雪の中で倒れていた白い犬を拾い、「シロ」と名付けたこと。埋蔵金の奇跡。隣人の欲と愚行。そして、シロの無惨な死と、桜の奇跡。


「シロは、私たちに最後の贈り物をしてくれたのです」


善兵衛の指さす先には、満開の桜が咲き誇っていた。枯れ木だったはずの大木が、見事な花を咲かせている。


秀家はしばらく無言で桜を見上げていた。風が吹き、花びらが舞い落ちる。一片が彼の肩に止まり、はらりと落ちた。


「忠助……お前は、ここで幸せだったのだな」


彼の目に一瞬の哀しみがよぎった。しかしすぐに、穏やかな微笑みに変わった。


犬は、犬としての役目を、見事に果たしたのだ。


---



秀家は、老夫婦に告げた。


「そなたたちの正直な心と、シロの忠誠が咲かせたこの桜——これこそ、まさに奇跡じゃ。そなたたちに、褒美を与えよう」


秀家は、城下町の一角にある小さな店を老夫婦に授けた。かつて餅屋として栄えたが、今は空き家となっていた場所だった。


「聞いたぞ、お主が作る餅は絶品だとか。餅を作って暮らすがよい。そなたたちの作る餅を求める者も多いはずだ」


善兵衛と花乃は、涙を流して感謝した。


「そんな滅相もありませぬ、身に余る光栄……このご恩は、一生忘れませぬ」


---



老夫婦に別れを告げた後、秀家は貧民街の奥へと足を踏み入れた。


そこにあったのは、想像を絶する光景だった。


朽ちかけた家々の隙間から、かすかな呻き声が聞こえる。地面には汚水が溜まり、異臭が立ち込める。飢えに苦しむ子供たちが、虚ろな目で通り過ぎる秀家を見つめていた。病に倒れた老人が、誰に助けを求めるでもなく、ただ空を見上げている。


そして、その中で、彼らを食い物にする没落貴族たちがいた。飢饉の時代に農民を搾取したあの貴族の末裔が、今度は貧民街で新たな「鬼」となっていた。彼らはわずかな食料と引き換えに、人々から最後の尊厳までも奪っていた。


秀家は激怒した。彼らを捕らえ処刑したが、それで問題が解決するわけではなかった。残された者たち——生きる希望を失った者たちを、どうすればいいのか。答えは出せなかった。


夜になり、秀家は一人、貧民街を見下ろす丘に立っていた。

見下ろす街には、わずかな灯りが点々としている。一つ一つの灯りの下で、誰かが今日も生き延びようとしている。

しかし、その灯りの数は、あまりにも少なかった。


「わしは……やはり、あの少年のようにはなれぬのか……」


脳裏に浮かぶのは、遠い日の記憶。


放浪の旅で立ち寄った山奥の村で出会った、真っすぐな目をした少年——桃太郎。

彼は武力ではなく、対話と共生で人々を救った。鬼ヶ島の者たちですら、彼の元で新たな人生を歩んだという。


それに比べて、自分は——。


秀家は深い絶望に落ち込んだ。風が冷たく、彼の袖を揺らした。


---



秀家は、答えを求めて馬を走らせた。


向かう先は、あの少年が暮らしていたという吉備の山奥の村。


かつて幼き日に訪れたあの場所。

老婆に頭を叩かれている少年たちを見て、腹の底から笑ったあの村。


道すがら、彼は何度も自問した。なぜ自分は桃太郎のようにできないのか。なぜ目の前の苦しみを救えないのか。


答えは出なかった。


村に到着すると、そこは静かで平和な里山の風景が広がっていた。

かつて鬼と呼ばれた者たちと、かつて鬼に怯えていた者たちが、共に畑を耕し、共に笑い合っている。

まさに、桃太郎が願った「安堵の光」そのものだった。


村人たちの笑い声が、風に乗って聞こえてくる。その笑顔の一つ一つに、桃太郎の理想が息づいているように思えた。


秀家はすぐにその光に影があることに気づいた。


「すまぬ、そこの者、桃太郎殿はいるか!」


村人たちに桃太郎のことを尋ねると、彼らは懐かしそうに、そして悲しげに語り始めた。


桃太郎は数年前、静かに息を引き取ったこと。

妻の時雨も、その後を追うように逝ったこと。

衛門も、十兵衛も、圓も、もうこの世にはいないこと。


ただ一人、弥助だけが村の奥で隠遁生活を送っているという。


秀家は、村はずれの丘にある二人の墓に手を合わせた。風が吹き、桜の花びらが舞い落ちる。


「桃太郎……お前は、立派にやり遂げたんだな」


秀家は声を震わせた。


「せめてあと一度、お主と語りたかった…酒を酌み交わしたかった…」


そして墓の前で両膝をついて懇願した。


「教えてくれ…桃太郎…」


墓参りのために持ってきた酒を、桃太郎と時雨の眠る墓にかけて泣き崩れた。

酒が土に染み込む音だけが、静かに響いていた。


---



その時、村の奥から一人の若者が現れた。


「綺麗な桜がだな——」


若者は満開の桜と、その前に立つ秀家の姿を見て、言葉を失った。


——その顔立ち、どこかで見たことがある。いや、見覚えがあるのではない。そこには、あの日の桃太郎の面影が、はっきりと刻まれていた。


目元の優しさ、口元のわずかな笑みの形——すべてが、記憶の中の少年と重なった。


「お前は……まさか……」


若者はゆっくりと秀家に近づき、深々と頭を下げた。


「宇喜多様ですね。父、桃太郎の息子、喜備丸と申します」


秀家の胸に、熱いものがこみ上げた。長年探し求めていたものに、ようやく出会えたかのような感覚だった。


「桃太郎の……息子……!」


秀家は立ち上がり、静かに歩み寄った。


---



二人は桜の木の下に腰を下ろした。花びらが舞い落ちる中、喜備丸は語り始めた。


父・桃太郎の最期のこと。

母・時雨が後を追ったこと。

そして、母から教わったきび団子の作り方を、今も守り続けていること。


秀家は静かに聞いていた。喜備丸の語る一つ一つの言葉が、彼の心に染み入っていく。


そして、すべてを聞き終えた後、深いため息をついた。


「喜備丸……私はな、先ほど貧民街という場所に行ってきた。そこには、飢えと病に苦しむ人々がいた。そして、彼らを食い物にする新たな『鬼』がいた。私は彼らを処刑したが、残された者たちを救うことはできなかった」


秀家の声には、重い後悔がにじんでいた。彼は自分の無力さを、初めて誰かに打ち明けていた。


喜備丸は何も言わず、ただ秀家の言葉に耳を傾けていた。


「そなたの父は、こんなにも平和な村を根幹から解決して作り上げた。だが私は、ただの枝切りしかできていなかった……」


秀家の声には、深い無力感がにじんでいた。


喜備丸は立ち上がり、村の奥へと走っていった。しばらくして、彼は手に何かを持って戻ってきた。


「これを、どうぞ」


彼が差し出したのは、きび団子だった。


「母から教わった、父の大好物です」


秀家は団子を手に取り、じっと見つめた。掌に伝わるわずかな温かさ。それは、遠い記憶の中の温もりと同じだった。


そして、一口かじった。


——その瞬間、時が巻き戻った。


脳裏に浮かぶのは、あの日の記憶。老婆が作ってくれた素朴で温かい団子の味。少年たちが客人の団子を当たり前のように食べて、老婆に頭を叩かれている光景。そして、その少年たちの真っすぐな瞳。


「この味だ……!」


秀家の目から涙がこぼれ落ちた。涙は止めどなく溢れ、彼の頬を伝って団子に落ちた。


喜備丸は静かに言った。


「殿が動き出したから今があるのです。殿がいなければ、父が目指した平和は百年遅れていたでしょう。殿にしかできないことを、貧民街の荒地のような場所は本来、見向きもされない。でもあなたは今、向き合ってるではありませんか」


その言葉が、秀家の心に深く染み渡った。長年探し求めていた答えが、ようやく見つかった気がした。


---



その夜、秀家は村はずれの丘に立っていた。月明かりが、桃太郎と時雨の墓石を静かに照らしている。


背後から、かすかな足音が聞こえた。振り返ると、弥助が立っていた。


「弥助……お主、まだ生きていたのか」


弥助はムッとした顔になった。


「まだって何だよ!いきなり失礼だな!生きていたよ。」


秀家は声を出して笑った。


「ははははは!あれから随分と経つのに変わらんな!」


「桃太郎との約束を守ってな。『必ず生きて帰る』——あの約束を、俺はまだ守り抜てるんだ、どうだ!参ったか!」


秀家は深く頭を下げた。


「ありがとう。お前たちがいたから、この国は平和になった」


弥助は何も言わず、ただ静かに桃太郎の墓を見つめて一言つぶやいた。


「…女房が欲しかったなぁ…」


弥助は秀家が持っていた酒を当たり前のように取り、飲み始めた。


「…」


「ん?どうした?秀家?」


「…いや、本当に相変わらずだなと思ってな、貴様を殴りたくなったわ」


「はははは!悩むのが馬鹿らしくなったろう!泣こうが笑おうがやるべき事は変わらん!ならば笑え!」


秀家は弥助の言葉を聞き、吹っ切れたような表情を見せていた。長年抱えていた重荷が、少しだけ軽くなった気がした。


「その酒、請求するならな」


その言葉を聞いた瞬間、弥助は消えた。


「…本当、相変わらずだ」

しかし、その口元には笑みが浮かんでいた。


---



翌朝、秀家は喜備丸に告げた。


「喜備丸、私と一緒に城下町へ来ないか」


「え?」


「実はな、先ほど訪れた貧民街で、一組の老夫婦に出会った。彼らはシロという犬を愛し、その犬の奇跡で桜を咲かせた。私は彼らに、褒美として店を与えた。餅屋の店だ」


喜備丸は、静かに耳を傾けていた。


「しかし、彼らは年老いている。店を長く続けられるかどうか……そこでだ。お前に、その店の跡取りになってほしいとは思わないか?」


「跡取り……?」


「お前の母から教わったきび団子の味を、あの店で広めてみないか。老夫婦の餅の技と、お前の母の団子の味が合わされば、きっと素晴らしいものになるだろう」


喜備丸は一瞬ためらった。村を離れることへの寂しさが、胸をよぎった。


しかし、すぐに力強く頷いた。


「はい。父の夢を、私が叶えます」


武力ではなく、団子で人々の心を繋ぐ——それが、父の本当の夢だったのだと、今ならわかる。


秀家は、その決意に満ちた目を見て、確信した。この若者なら、きっとやれる。


---



喜備丸が村を旅立つ朝、村人たちが集まって見送った。


その中に、弥助の姿があった。彼は喜備丸の旅立ちを静かに見守っていた。


「行け、喜備丸。お前の父も、時雨も、きっと喜んでいる」


彼の目に、涙が光っていた。


喜備丸の姿が山道の向こうに消えていく。風が吹き、桜の花びらが舞い散る。


弥助は静かに呟いた。


「桃太郎……時雨……衛門……お前たちの夢は、確かに受け継がれたぞ」


彼はゆっくりと山の奥へと戻っていった。その後ろ姿は、まるで山の精霊のように静かで、そして力強かった。


---


十一


宇喜多秀家が連れて行った先は、城下町の一角にある、小さな店だった。


「ここだ」


秀家が指さしたのは、通りに面したこぢんまりとした店構え。表には、まだ看板もない。


店の中では、善兵衛と花乃が待っていた。


「おお、これが噂の若者か!」


善兵衛が、喜備丸を見て目を輝かせた。


「よろしくお願いします。私は喜備丸と申します。母からきび団子の作り方を教わりました」


花乃が、優しく微笑んだ。


「まあ、しっかりした方じゃ。私たちも、餅作りの技を伝えることができる。これで店も繁盛するじゃろう」


三人の間に、新たな家族の絆が生まれようとしていた。


---


十二


店の準備が整うまで、数か月を要した。


喜備丸は、母・時雨から教わった記憶を頼りに、何度も何度も団子を作り直した。時には失敗し、時には焦がし、それでも決して諦めなかった。


彼の手は、母の手の動きを覚えていた。粉を捏ねる指先の力加減、火加減を見極める目の使い方——母の横顔を思い出しながら、一つ一つ丁寧に再現していく。


善兵衛と花乃も、餅作りの技を惜しみなく伝えた。


「ほれ、こうやって捏ねるんじゃ。力加減が大事なんじゃぞ」

「良い餅は、良い材料からじゃ。手を抜いてはいかんよ」


喜備丸は、二人の教えを必死に吸収した。母の団子と、老夫婦の餅。二つの味が、彼の中で融合していく。


ある日のこと。ようやく納得のいく団子ができた時、喜備丸は焼印を押すことを思いついた。


「母の名を、刻もう」


喜備丸が作った焼印には、こう彫ってあった。


「時雨」


その文字を初めて団子に押した時、喜備丸は母の笑顔を思い出した。あの日、母が教えてくれた温かさを、今、自分が紡いでいる。


「母は、私にこの味を教えてくれました。父は、この味を愛しました。ならば、この団子を食べる人々にも、母のことを知ってほしい——そう思ったんです」


善兵衛と花乃は、顔を見合わせ、優しく微笑んだ。


「良い名前じゃ。きっと、時雨さんも喜んでおられるじゃろう」


---


十三


桃川喜備丸の「きび団子」は、あっという間に城下町の名物になった。


素朴で、優しい甘さ。食べると、どこか懐かしい気持ちになるその味は、老若男女を問わず愛された。


旅人が食べては、故郷の味を思い出した。

親に連れられた子供が食べては、満面の笑みを浮かべた。

疲れた商人が食べては、ほっと一息ついた。


そして、団子に刻まれた「時雨」の焼印を見て、誰もが不思議がった。


「時雨って、誰なんじゃろうな」

「きっと、この店の昔の主か、あるいは——」


真実を知る者は、誰もいなかった。


しかし、団子を食べた者の心には、必ずどこか温かいものが残った。それが、時雨が遺したものだった。


---


十四


それから幾年かの月日が流れた。


弥助は、村の奥で隠遁生活を続けていた。時折、猿たちが遊びに来て、彼の孤独を慰めた。


ある日、弥助は山の頂上に登り、遠くの城下町を眺めた。


「喜備丸……元気にやっておるかな」


彼の目に、かすかな笑みが浮かぶ。


その夜、弥助は静かに息を引き取った。


翌朝、猿たちが彼の遺体を発見した。彼らは、哀しげな鳴き声を上げながら、弥助の遺体を山の深くへと運んでいった。


弥助は、誰にも知られず、山の精霊となって眠りについた。


---


十五


喜備丸は、店を守り続けた。


彼は結婚し、子供にもきび団子の作り方を教えた。


「この味はな、お前の曾祖母から受け継いだものなんじゃ」

「曾祖母って?」

「川のほとりで団子屋を営む老夫婦だ。その味を俺の母、お前の祖母の時雨が受け継ぎ、俺に紡がれた。ここだけの話、あの伝説の桃太郎はお前の祖父だ。そして、この店をくれたのは、宇喜多秀家様。この店の始まりには、シロという忠犬の物語もあるんじゃ」


子供の目が、好奇心で輝いた。喜備丸は、その目を見て、父や母が自分にそうだったように、優しく語り続けた。


こうして、「時雨」の焼印が押されたきび団子は、代々受け継がれていくことになった。


---


十六


さらに時は流れ、戦乱の世は遠く昔の話となった。


ある旅人が、この土地を訪れ、団子屋に立ち寄った。


「この焼印は、何と読むんですか?」


店主が、誇らしげに答えた。


「『時雨』と読みます。私の祖母の名前でしてね。彼女が、この味を残してくれたんです」


旅人は、団子を一口食べて、目を細めた。


「美味い。どこか、懐かしい味がする」


店主は、静かに微笑んだ。


「そう言ってくださる方が、たくさんいらっしゃるんです。この味が、誰かの心の安らぎになるのなら——それが、私の誇りです」


風が吹き抜ける。


その風は、遠い日に吉備の村で四人がきび団子を囲んだ夜を、そして血と泥にまみれた戦場を駆け抜けた一匹の犬の物語を、静かに語り継いでいるかのようだった。


---


十七


宇喜多秀家は、現役を引退してからも、時折こっそりと城を抜け出しては、喜備丸の団子屋を訪れていた。


しかし、そのたびに護衛に見つかり、団子を一口もかじれぬまま連行されるのがお決まりの光景となっていた。


「次こそは!次こそは!」

「おのれ貴様ら!食べる直前を狙って来やがって!」

「我を誰と心得る!団子くらい食わせてたもーーーー!」


その叫び声が、夕暮れの城下町に響き渡る。


陽気な元お殿様は、現役引退後は都の名物として、別の意味で人気が出たらしい。


喜備丸は、その背中を見送りながら、くすくすと笑った。


「父上も、きっと笑ってるだろうな」


---


結び


かつて、とある山の集落にあった庵で、老婆が子どもに食べさせた伝説の団子があると聞く。


その老婆は嫁いできた嫁に作り方を伝え、またそれを子へ伝授した。


継承された伝説の味は、とある都の城下町で名物となった。


店に並んだ団子は、職人の父が仲間たちと共に旅に出た時に腰に下げていたものと同じ、素朴で力強い団子だった。


そして、この物語は、勧善懲悪の心と善ある行動を教える道徳として、桃から生まれた英雄の勇敢な御伽話、そして貧民街の老夫婦をモデルにした花咲か爺さんとして、教科書に語り継がれることになる。


遠い昔に語られた、一つの物語。


この物語が、豊かになった時代にも、見捨てられた人々がいることを、そして、正直で温かい心が、時代を超えて安堵の光を灯し続けることを、あなたの心に静かに語りかけることを願って。


------


『次回予告』


こうして、桃太郎と時雨の長い物語は、静かに幕を閉じた。


しかし——彼らの想いは、決して消えることはない。


時雨の焼印が押された団子は、これからもずっと、誰かの心を温め続ける。


喜備丸の子、そのまた子へと受け継がれていく味。



【第四章・完結】

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