↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/34

147話: 未知なる愛の境界

エリンはまだ帰ってこなかった。


静かな夜の帳が下りた部屋の中で、ヒナはリオンと二人きりのまま、考え込むように視線を落としていた。

リオンはソファに深く腰を沈め、片手に揺らすグラスの中で琥珀色の酒が微かに揺れている。


先ほどまでの会話が、まだ脳裏に残っていた。

天使の本能、性愛、本当の意味での「愛」とは何か──。


考えても答えの出ない問いを抱えながら、ヒナはそっと立ち上がり、リオンの傍を離れてベッドへと向かった。

ふわりと沈み込むその感触を確かめるように、そっと腰掛ける。


リオンはその様子を見ながら、ぼんやりと目を細めた。

何かを察するように、静かにグラスを揺らしている。


「…リオンさん、また頼っていいですか?」


ヒナの言葉は、いつもより少し強気だった。

それでいて、どこか覚悟が決まったような響きを含んでいた。

彼は、ふっと浅く息を吐き、グラスをテーブルに置くと、立ち上がった。


「…複雑だなぁ…」

短くため息をつきながら、リオンはベッドに座るヒナの隣へと腰を下ろす。

「エリンの気持ちが、初めてわかったかもしんない。」


ヒナは一瞬、不安そうにリオンを覗き込んだ。

その青い瞳に揺れる迷いに、リオンはわずかに口角を上げる。


「…嫌、ですか? ボクとするの…」


控えめな問いかけ。

少し自信のない声音。

それはヒナの素直な気持ちが滲んだ言葉だった。


リオンは少し笑い、ヒナの顎を指先で軽く持ち上げる。

「過保護エルフと一緒にしないでくれる?」

悪戯めいた口調で言いながら、赤い瞳を細める。


「オレは全然できるよ。たとえ血の繋がった家族でも。」

その言葉には皮肉が滲んでいた。

自分が過去にエリンへ魔力譲渡を行ったこと──

それを肯定するような響きで。


「天使って魔力が枯渇すると生存本能で愛を求める、らしいね。」

ゆっくりと、リオンの指がヒナの頬を撫でる。


「てっきりエリンにそれが向くと思ってたんだけど、譲渡による依存かなぁ…?」

意味ありげに唇を吊り上げ、ヒナの頬を撫でた手を顎へと滑らせる。

「オレにも尻尾 振ってくるとはね。」


ヒナはビクリと肩を揺らしたが、リオンは すぐに口を開いた。

「ご主人様のこと、まだ好きでしょ?」


その言葉に、無意識にヒナの体に力が入る。

見上げた視線は、潤んだ青い瞳のままリオンを真っ直ぐに見つめている。

まるで、何かを確かめるように──心細そうな表情を向けながら。


「ヒナって、わかりやすいよね。」


呆れたような、けれどどこか感心したようなリオンの声。

そのやり取りの中で、ふと脳裏に浮かぶ。


こんな奇妙な出会いって…アイツ(アリア)だったら運命だって言うだろうね


そんな言葉、信じたことはない。

けれど。


目の前にいるヒナに、

自分が知らないままの『愛』の意味を教えて欲しいと、

リオンはヒナに対する興味が以前より強くなるのを感じていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。