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【コミックス8巻、発売中!】無能と呼ばれた『精霊たらし』 実は異能で、精霊界では伝説的ヒーローでした  作者: 佐藤謙羊
第3章

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100 決着(後編)

 ――『精神安定の環』において、銘に刻まれている製作者は最上位の権限を持つ……。

 そして出力を最大にした場合、環の装着者の精神は完全に支配され、製作者の意のままになってしまうんだ……。


 『精神安定の環』の中にいる金の精霊に頼めば、環を外せるかもしれない……。

 しかしイドオンとテマリを人質に取られている以上、迂闊なことはできない……。

 どうすれば……いったいどうすれば、みんなを助けられる……!?


 ついに、クロスボウの引き金に指がかかる。

 最期の時を前に、ユニバスは……。


「なにも……思いつかない……。万事……休す……か……」


 ついにうつむきかけた、その時……。


「きゃはっ!」


 場違いなほどに明るく、それでいて挑発的な声がした。


「そんなクソザコに負けるなんて、ユニバス様らしくないじゃん。困ってるなら、助けてあげよっか?」


「ケッパレ……!? 何者だっ!?」と、あたりを見回すアパーレ。


 と、アパーレが見たのは背後。

 バッ……! と荷車の布をはね除け現れたのは、そう、ガミメスであった……!


「ざぁこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」


 ガミメス史上最大の爆炎が、口から放たれる。

 全身全霊をもって放たれたそれはドラゴンのブレスにも匹敵し、アパーレだけでなく兵士もまとめて炎に包んでいた。


 アパーレは最初こそ炎に驚いて目をきつく閉じ、顔を覆っていたが……耐炎装備を身につけていたことを思い出す。

 まわりの者たちもみな耐炎装備で無傷だったので、アパーレはニンマリ笑った。


「アッパレ、心地よい……! 耐炎装備で受ける、小さき者の炎の吐息が……こんなにも心地いいとは……! まるでキミの舌で、全身を舐め回されているようだったよ……!」


 ガミメスは「キモ」と言って、んべっと舌を出す。


「もしかしてわたしが、アンタたちの耐炎装備のことを知らないとでも思ってる? 言っとくけど、アタシが狙ったのは、アンタたちじゃないから」


「ケッパレ?」とアパーレ。


 するとまわりで、小さな炎があがっているのが見えた。それは、兵士たちの首筋。

 なんと『アパーレ製』のシールが燃えて灰になり、その下から……。


 『ユニバス製』の文字がっ……!


 兵士たち、ナナホシ、ワルメシアンの瞳にあった黒いハートが裏返り、桃色のハートに変わる。


「ゆ……ユニバスさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」


 兵士たちは我先にと駆け出し、ユニバスにスライディング土下座をする。


「わん! わんわん! 私はユニバス様の忠犬ですぅ~~~!」


 空気の読めないバカ犬のごとく、四つ足でユニバスの足元に飛びつくワルメシアン。

 唖然とするアパーレ。


「えっ……な……なん……で……? なんで……あの男に……? ええっ……? あ……あの男……って……まさ……か……?」


 アパーレと目が合うと、ユニバスは頬の傷に指を当て、塗りのばすように動かした。

 すると『目くらましの薬』の効果が薄れ、アパーレは衝撃に包まれる。


「ゆっ……ユニバスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」


「ぎゃあぎゃあ、うるさいのだ……!」


 ふと抱っこしていたナナホシと目が合う。

 ナナホシはすでに、小さな拳を振りかぶっていた。


「虫さんが……走るのだぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


 ガンッ!


 強烈なストレートがアパーレの顔にめりこむ。

 鼻血を撒き散らしながらブッ倒れるアパーレ。


 ナナホシは華麗に着地を決めると、吐き捨てるように言った。


「お前は花でも、鍵でもない……! ひたすら醜く、汚いだけのものだ……!」


 そしてイドオンとテマリ、そして最後に合流したガミメスとともに、とてとてとユニバスの元へと走っていく。

 兵士たちは、ユニバスに泣きすがっていた。


「ユニバス様こそが、我らの真の王ですぅ!」


「それなのに命を狙うなんて、なんたる無礼を……!」


「お許しください、お許しくださぃぃ~~~!」


「かくなる上はこの命を持って、ユニバス様に忠誠を……!」


 人間たちにグイグイこられてタジタジのユニバス。たまらず叫んだ。


「金の精霊たち、たのむ! みんなを自由にしてやってくれっ!」


 すると、その場にいる者たちがしていた『精神支配の環』がすべて外れ、音をたてて地面に転がった。


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― 新着の感想 ―
そういえばシールで上書きしてたんだったな… ゴーツアンは焼きごてで上書きしてたから面倒くさかったけど、これなら簡単に上書きを消せるのか。これは形勢逆転で一気に畳み掛けだな。
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