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【コミックス8巻、発売中!】無能と呼ばれた『精霊たらし』 実は異能で、精霊界では伝説的ヒーローでした  作者: 佐藤謙羊
第3章

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25 精霊のお裾分け2(結)

「なにっ!?」


 ドラハンが、はじかれたように空を見上げる。


 そこにあったのは、青空。そして、太陽を背にした人魚たちの姿だった。

 彼女たちは十字架のように大きく両手を広げ、後光をまとっている。


「私たち精霊にも、神はいます……!」


「なんだと!? ま……まさかっ!?」


「いまこそ見なさい。ユニバス様の、愛の奇跡をっ……!!」


 人魚たちが一斉に、祈りのポーズを取る。その身が光に包まれ、ひときわ強く輝きだした。

 彼女たちが放つ光、その筋が海原に落ちると波と化す。それは巨大な白波の道となり、まっすぐに最寄りの国の浜辺めがけて伸びていく。


 そして、次の瞬間。


 ……どごっ……しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!


 海が、まっぷたつに割れた。


 これぞ『海割りの奇跡』。しかも、かつてホーリードゥームに強いられていたような、小規模なものではない。

 人魚たちは『精霊のお裾分け』によって大幅にパワーアップしていた。いまや、ユニバスにも引けを取らぬほどの海割りを成し遂げたのだ。


 真っ二つに裂けた船も、溺れかけていた炎の精霊たちも、羽毛のような白波に包まれ、割れゆく海の底へと下ろされていく。

 水の失せた海底に尻もちをついたブレイズは、間違って天国に招かれた亡者のように、きょとんとしていた。


「す……すげぇ……!」


 船員たちも、口をあんぐりと開けている。


「な……なんだこれ……! う、海が、割れちまってる……!」


「これってまさか、『海割りの奇跡』……!?」


「そ、そんなわけあるか! 『海割りの奇跡』は、精霊に愛された勇者だけができる離れ業だぞ!」


「でも実際に、こうして起こってるじゃねぇか!」


「ユニバスの愛の奇跡って言ってたよな!? まさかユニバスって……!」


「そんなことより、逃げるならいまのうちだ!」


 だが、我に返るのはブレイズのほうが早かった。

 逃げ出そうとする船員たちの前に、すばやく回り込んで立ちはだかる。拾った長い巻き貝の切っ先で、手のひらをぴしゃぴしゃと叩いていた。


「地に足が付いてりゃ、こっちのもんだ。一匹残らずぶちのめしてやるから、覚悟しな」


「ひっ、ひぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」


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