25 精霊のお裾分け2(結)
「なにっ!?」
ドラハンが、はじかれたように空を見上げる。
そこにあったのは、青空。そして、太陽を背にした人魚たちの姿だった。
彼女たちは十字架のように大きく両手を広げ、後光をまとっている。
「私たち精霊にも、神はいます……!」
「なんだと!? ま……まさかっ!?」
「いまこそ見なさい。ユニバス様の、愛の奇跡をっ……!!」
人魚たちが一斉に、祈りのポーズを取る。その身が光に包まれ、ひときわ強く輝きだした。
彼女たちが放つ光、その筋が海原に落ちると波と化す。それは巨大な白波の道となり、まっすぐに最寄りの国の浜辺めがけて伸びていく。
そして、次の瞬間。
……どごっ……しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!
海が、まっぷたつに割れた。
これぞ『海割りの奇跡』。しかも、かつてホーリードゥームに強いられていたような、小規模なものではない。
人魚たちは『精霊のお裾分け』によって大幅にパワーアップしていた。いまや、ユニバスにも引けを取らぬほどの海割りを成し遂げたのだ。
真っ二つに裂けた船も、溺れかけていた炎の精霊たちも、羽毛のような白波に包まれ、割れゆく海の底へと下ろされていく。
水の失せた海底に尻もちをついたブレイズは、間違って天国に招かれた亡者のように、きょとんとしていた。
「す……すげぇ……!」
船員たちも、口をあんぐりと開けている。
「な……なんだこれ……! う、海が、割れちまってる……!」
「これってまさか、『海割りの奇跡』……!?」
「そ、そんなわけあるか! 『海割りの奇跡』は、精霊に愛された勇者だけができる離れ業だぞ!」
「でも実際に、こうして起こってるじゃねぇか!」
「ユニバスの愛の奇跡って言ってたよな!? まさかユニバスって……!」
「そんなことより、逃げるならいまのうちだ!」
だが、我に返るのはブレイズのほうが早かった。
逃げ出そうとする船員たちの前に、すばやく回り込んで立ちはだかる。拾った長い巻き貝の切っ先で、手のひらをぴしゃぴしゃと叩いていた。
「地に足が付いてりゃ、こっちのもんだ。一匹残らずぶちのめしてやるから、覚悟しな」
「ひっ、ひぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」
















