23 精霊のお裾分け2(中編)
「こ……これが……『精霊のお裾分け』……! ユニバス様の御寵愛が、私の中にも……! しゅ、しゅてきぃぃ……! はぁぁ、ユニバスしゃまぁぁぁ……!」
何度も絶頂に達したかのような、恍惚に満ちた表情……!
「なっ……!?」
その声に、水の精霊美女は我に返る。
「せ……せっかく、最高の気分だったのに……!」
ギンッ! と鋭い眼光を放つと、その全身が総毛立ち、膨れ上がった。
「じゃまを……するなぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
バキィィィィーーーーーーーーーーーーーッ!!
水の精霊美女は磔台を土台ごと引きちぎると、それを旋円を描くように大きく一閃させた。
目の前にいた人間たちを、まとめて吹っ飛ばす。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」
その光景に、他の精霊美女たちは目を丸くしている。
「う……うそ……!? あなたまさか、『精霊のお裾分け』を……!?」
「ユニバス様の御寵愛を分けてもらったの!?」
「い……いいなぁーーーーっ!」
「そんなことより早く、これをほどいて!」
水の精霊美女は手枷をやすやすと引きちぎると、仲間たちの拘束を解いていく。
それから先陣をきって拷問部屋を飛び出し、牢屋部屋の鉄格子をひん曲げ、中の精霊たちを次々と解放していった。
そこへ、騒ぎを聞きつけた船員たちが牢屋へなだれ込んでくる。彼らは海賊同然に武装しており、腕っ節も強い。
数の差も歴然で、精霊たちの不利は明らかだった。
しかし、助けられた精霊の中に、褐色の肌をした炎の精霊美女たちがいた。
そのリーダーらしき、快活そうな美女が声を張りあげる。
「助かったぜ! 俺はブレイズ! ここからは俺たち紅蓮隊に任せな! 野郎ども、かかれーっ!」
ブレイズと名乗った女は、五人組の褐色の精霊美女軍団を率いていた。紅蓮隊というらしい。
その身なりは、まるで女山賊のようだった。
紅蓮隊の面々は、精霊美女軍団に負けない美しさを持ちながら、男まさりのパワーで大暴れ。
掃除道具の棒を棍棒がわりに振り回し、最後は口から炎を吐いて、船員たちをまとめて火だるまにした。
「あちちちちちーーーーーっ!!」
甲板に飛び出し、自ら海へ飛び込む船員たち。
その後を追うように、一団となった精霊たちも甲板へ躍り出た。
大空の覇者のごとく飛び回る人魚たちに向かって、ブレイズが叫んだ。
「恩に着るぜ! 助かった!」
「私たちは、『ユニバス・マーメイズ』! ユニバス様を海溝より深く愛し、ユニバス様への愛の歌を海原に轟かせる者!」
「ともにユニバス様のために、悪しき人間を懲らしめましょう!」
「よおし、いくぜっ! 挟み撃ちだっ、おりゃぁぁぁぁーーーーっ!」
遅れて甲板に這い出てきたドラハンは、ユニバス・マーメイズの人魚たちと、紅蓮隊の炎の精霊たちが、ともに戦っているのを目にした。
クロスボウを構えて人魚を撃ち落とそうとする船員を、炎の精霊が後ろから殴りつける。
押し負けて倒され、トドメを刺されそうになった炎の精霊を、人魚が尾ヒレの一撃で薙ぎ払って助ける。
その見事な連携に、ドラハンは我が目を、そして我が耳を疑っていた。
「炎の精霊と水の精霊が、お互い背中を預けている……!?」
なぜだ。水の精霊と炎の精霊は、本来、仲が悪いはずなのに。
それなのにヤツらは、まるで十年来の友のように、互いを信頼しきっているなんて……!?
















