直くんは人気者
ザワザワとしたお昼時の社食。来る人来る人覗くように直くんを見て行く。
「CEOの弟がいるって」
「今は営業だって」
「え?どこどこ?」
「あ、あそこ!」
「あー、あれが噂の弟」
…ボソボソと声が聞こえる。
「な、直くん…」
直くんが好奇の目に晒されている。何とかしてあげたい。
「モテ男は大変だなー。」
「塚本部長!」
助かった!
「直くん彼女いるんだっけ?」
いきなり塚本部長が直くんに尋ねる。
「…はい。」
うふ。直くん大好き。
「まぁ、こんなにイケメンなら彼女くらいいるわな。
だけど、気をつけろ〜。直くんはCEOの弟、社長の甥。つまり、エグゼクティブだ。CEOも独身だけど、なんせ女性を上手くかわすからなー。それより、いずれ重役になるであろう直くんを今のうちにって思う女性は多いぞ〜。」
なんだって!
「えー!!困ります!!」
私の直くんが狙われている!!
「お、本田さんも直くん狙いか?」
フフフ、よくぞ聞いて下さいました。塚本部長!
「私、彼女です!」
ビシ!決まった!
「え?……えーー!!直くん、本当?」
またしても塚本部長が直くんに尋ねる。
うふ、直くんお答えをどうぞ!
「はい。そうです。」
直くん大好き!嬉しい〜。
「本田さん、女子には気をつけろ!」
なんか、力がこもってる!
…はっ!分かりました。塚本部長、これは戦いなのですね!
「はい。私が全力で直くんをお守りします!」
本田百子、直くんを思う気持ちは誰にも負けません!!
「ま、守るって?」
あ、直くんが動揺してる。さては狙われているのに怖気づいたのね。
「大丈夫よ。直くん、私がついてるから。心配しないで。」
「いや、そういうことじゃなくて。」
「あははは!これは面白いのが入って来たわ!頑張れ、本田ちゃん!」
塚本部長が大笑いしてる…なんか塚本部長と打ち解けた気がします。
「すごいね。三井くん。」
新入社員の一人が話しかける。
「俺、CEOに憧れてこの会社に入ったんだよ。いいよなー。あんなすごい人が兄で。」
あー。直くんが苦手な話だ。
「伝えておくよ。」
…お兄さんの話になったらいつも直くんはそう言って受け流す。
「え!?本当に!?じゃあ三井くんと仲良くなったらCEOと会うこととかも出来る!?」
は!?おい、私の直くん利用するつもり!?
「…。俺と兄貴…あ、CEOは仕事とプライベート分けてるから。」
「えー。いいじゃん。少しくらい!俺CEOと喋ってみたいんだよー。」
これは…私が直くんをお守りしないと!
「新入社員は新入社員同士で仲良くしようよ!」
ニッコリ。どうだ!私に惚れたか!
「…そうだね。」
うわーん引かれた。
「百子、じゃないや。会社だから、本田さん。」
「え?」
「あくまで、ここは職場だから、公私の別は着けよう。」
「えー!!!」
なんてこったい!
「俺はここでは名字で呼ばれる事の方が少ないみたいだからいいけど、俺は〝本田さん〟で。」
そうだよね。直くんは真面目だし…
「色々と気遣って助けてくれて、ありがとう。」
きゅん!きゅーん。
直くん大好き。午後からも頑張ろう。




