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短編 イチゴとバナナ



「直くん、イチゴとバナナどっちが好き?」


唐突な彼女がまたしても唐突に口を開く。

俺は学習済みだ。これはストレートな質問ではない。





「…イチゴとバナナ?」


きっと食べ物に見せかけて食べ物ではない。


「そう。イチゴとバナナ。」


そして質問の意図は教えてもらえない。


ここでまた、単純に果物の好物を聞かれていると勘違いして回答すると、彼女とは永遠に話が噛み合わない。


きっと何か食べ物ではない何かが質問の意図だ。

そして俺はそれが思い浮かばない…


「んもう、直くんったら、こんなに分かりやすく聞いてるのに。」


いや、それは百子の頭の中だけでのわかりやすさだ。俺は全く分からない。


「イチゴかバナナだよ。」


だから連呼されても意図が分からないというのに。


…駄目だ。降参だ。今の俺には難問だ。


「……イチゴ?」


AかBかの選択問題において解答が見出だせない時、取り敢えずAを選ぶのは俺の癖だ。

この選択問題。イチゴがA、バナナがBだろう。


頼む。当たってくれ。





「イチゴね!分かった!」


彼女はとても満足そうだ。

…もう当たっていなくてもいいと思えてくる。


「はい!直くん!」


彼女から渡されたのは…クレープ…。


「どうしても、どうしてもクレープが食べたくて、

だけどダイエット中だから1つにしようと思ったんだけど、気づいたらに二つ頼んじゃってて。」


「…。」


「“ヨシ!直くんを道連れにして太らせよう!”と思って。」


これは…もしかして…


「イチゴチョコとチョコバナナだよ!」


眩しい笑顔で答える彼女が…かわいい…。

じゃなくて、今回はストレート問題だったのか…。

疲れた。なんだか考えた時間がものすごく長く感じる。


「あ、ありがとう。」


しかし、せっかくの善意だ。頂こう。






…視線を感じる。


並んで座って食べようとしたところ、百子の視線をものすごく感じる…


「どうかした?」


尋ねる。そんなに見られては落ち着かない。


「え?私そんなに見てた?」


無自覚?


…あー。分かった。


「食べる?イチゴ。」


無意識にイチゴも気になってたんだよな。


「ダメ!ダイエット中!」


…。


しかし、やはり視線が気になる。


「百子、食べる?半分。」


もはや半分どころか俺は百子の気持ちが分かり食べる気はしない。


「いい!直くんを太らせるの!」


…。


「イチゴもバナナも食べたいから買ったんだろ?」


「…………………うん。」


ものすごく小さな声で拗ねたように呟く彼女がかわいい。笑ってしまいそうになる。笑っては駄目だけど。


「二つ食べて、運動しよう。付き合うから。」

また食べ物ネタです(〃艸〃)

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