【第21話】幻想の歌姫爆誕! 圧倒的熱狂のステージ
そして迎えた『辺境文化祭』の当日。
領民たちは自分たちの作った料理や小物を売り買いし、私の特設VIPブース(ルーファス様が騎士団を動員して完売させた)も大盛況の中、ついにこのお祭りのメインイベントの時間がやってきた。
「さあ皆さん、集まってください! これから、辺境初の『らいぶ』ステージを始めます!」
広場の中央に組まれた巨大なステージ。
私が両手を広げて魔力を解放すると、ステージの上に光の粒子が集まり、一人の『実体のない、可愛らしいアイドルの女の子』の姿が浮かび上がった。
前世の記憶にある、いわゆる『Vチューバー』の3Dモデルを、幻影魔法で完全再現したものだ。
『あー、あー、テステス。……えっと、その……み、みんなー! 今日は集まってくれて、あ、ありがと……っ』
光のアイドルが、少し照れたような、でも可愛らしい声で喋り出し、ぎこちなく手を振る。
その声と動きの主は、ステージの裏に設置した魔法陣の中で、顔を真っ赤にしながら歌って踊っているアイシャだ。
「アイシャちゃん、もっと元気に! 私が見てるから頑張って!」
「ア、アリアが見てるなら……っ! や、やってやるわよ! いくわよあんたたちーっ!!」
私の声援を受けたアイシャ(中の人)が本気を出し、光のアイドルがステージ上で激しく、そして可憐に歌い踊り始めた。
「うおおおおおっ!! なんだあの可愛い生き物はぁぁっ!!」
「俺の推しだ! 俺の生きる希望だぁぁっ!!」
ステージの下では、私が事前に『オタ芸』を仕込んでおいた騎士団の面々が、サイリウムの代わりに光る魔法石を両手に握りしめ、完璧な統率で激しい踊りを打っていた。
「タイガー! ファイヤー! サイバー! ファイバー!」という謎の呪文が響き渡り、領民たちも熱狂の渦に巻き込まれていく。
ここは剣と魔法のファンタジー世界だというのに、完全に『アキバの熱狂』が再現されていた。
「……すさまじい熱気だな。魔物との死闘の時よりも、騎士団の士気が高いのではないか?」
その後ろで、腕を組んで後方彼氏面……いや、後方旦那面をしているルーファス様が、ひどく満足げに頷いていた。
「アリア、君の生み出す文化は、常に俺たちの常識を破壊し、そして世界を豊かにしていく。君はやはり、神が俺に遣わした奇跡そのものだ」
「ルーファス様……だから大げさですってば」
私は熱狂するライブステージを見つめながら、彼の大きな手に自分の手をそっと重ねた。
「俺は、君が笑ってくれるこの辺境を、何があっても守り抜くよ」と囁く彼に、私は最高の笑顔で「はい!」と頷いた。
こうして、色々な意味で規格外すぎる私たちの領地は、ますますカオスで幸せな発展を遂げていくのだった。




