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【第15話】完璧な辺境の妻と、愚か者たちの末路

「どうして……どうして私がこんな目に遭わなきゃならないのよぉぉっ!!」


王都から遠く離れた、太陽の光すらろくに届かない北部の巨大な魔石鉱山。

薄汚れ、ボロボロになった粗末な囚人服を着たエリーゼが、泥だらけの手でツルハシを投げ捨てて泣き叫んでいた。


「私の綺麗な爪が割れちゃったじゃない! お肌もボロボロ! 私は王子殿下に見初められて、王妃様になるはずだったのに!! お姉様が、あのアリアのせいよ! あいつが素直に王都に戻ってこないから……っ!」


「うるさい、黙れ!! お前のその金切り声を聞いていると頭がおかしくなりそうだ!」


その隣で、泥と煤に塗れたレオンハルトが、うつろな目で怒鳴り返した。

彼もまた、かつての華やかな貴族の面影など微塵もない、ただの惨めな罪人へと成り下がっていた。


辺境の武力とアリアの力を恐れた王室は、すべての責任をアリアの実家に押し付けたのだ。

「国家の至宝を隠匿し、あまつさえ不当に追放した大罪」として、彼らは全財産を没収され、平民以下の身分に降格。一生出られないと言われるこの鉱山での強制労働を言い渡された。父親は早々に過労で倒れ、今は寝たきりとなっている。


「お前が『アリアより私の方が可愛い』なんて唆さなければ! 俺はあのままアリアを妻にして、一生楽をして暮らせたんだぞ! お前のせいだ、お前という疫病神のせいだッ!」

「なんですって!? 元はと言えばレオン様が不甲斐ないから……っ!!」


泥水の中で取っ組み合い、醜く罵り合う元婚約者と妹。

もう二度と這い上がることのできない絶望の底で、彼らは一生、自分たちが手放したものの大きさを呪いながら生きていくのだ。


***


一方、その頃。

光と緑に溢れる、豊かな辺境の公爵領にて。


「アリア! ああ、なんて美しいんだ……! 君こそが世界で一番の光だ!」


領民総出の盛大な祝福の中、私は人生で一度も着たことがないような、最高級の純白のウェディングドレスに身を包んでいた。

鐘の音が鳴り響き、色とりどりの花びらが舞う中、ルーファス様が蕩けそうな笑顔で私の手を取る。


「私、幸せすぎてバチが当たりそうです……」

「バチなど当たるものか。俺がすべての神に代わって、君を永遠に甘やかすのだから」


彼は私の腰を引き寄せると、集まった何万人もの人々の前で、堂々と、そしてひどく甘い誓いのキスを落とした。


実家を追い出された不遇な令嬢は、最強で最愛の旦那様に見初められ、規格外の力で辺境を最高の楽園へと作り変えた。

今さら王都が泣きついてきても、もう遅い。


だって私は、ここで一生、この重すぎる愛に溺れて生きていくのだから!


(第一部・完)

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