俺のために勝手に宇宙を征服してきて、維持費と胃痛が限界突破
「銀河共和国第一星系はあれから数百年で崩壊か」
「銀河共和国は成立しなかったのです。超光速機関の独自開発まではたどり着いて、星系内国家の統合に失敗して全面戦争が発生。他星系へ入植できたのは、ほんのわずかの生き残りだったみたいなのです」
「……奴はどうなった」
俺が聞くと、ギョーショーは肩をすくめ、エイル陛下が悲しげな表情になる。
「それから数千年は墓守をしていたようなのです。契約国連合の調査チームによると、現在の地表は無人でリゼさんの姿はなく、光の翼っぽいものが惑星を守っているらしいのです」
「そう、か」
俺は、ため息を我慢できなかった。
「あっちの銀河だと人類が何度か絶滅している時間が経過してるのです。銀河共和国、びっくりするくらい長く続いた国だから、そっちが専門の研究職が悔しがっているのです」
「それはソールにでも聞いてくれ。養う必要がある奴らが多いから、金を積めばなんでも話すだろう」
「古代人は貴重な研究対象なので、護衛が大変かもなのです!」
既に帝位を譲った俺と、もともと好き勝手に生きているギョーショーは、宇宙帝国唯一の領土である宇宙港の一室でのんびり話していた。
なお、エイルは俺に帝位を返したいらしいが、リゼと出会ってから休みなく走り続けてきた俺は、もう二度と皇帝をするつもりはない。
「ポーター! 今戻った!」
「少し見てくる」と言い残して宇宙に飛び出したリゼが、輝くような笑顔で、輝く光の翼を広げて戻ってきた。
「ずいぶん……大きくなったな」
翼が大きく、華麗に、複雑になっている。
理由は予測できるが、確かめる気はない。
リゼはリゼだ。
俺にとってはそれでいい。
「ふふん、いいだろう。それよりなかなか良い状況だぞ。この銀河にはまだ、契約国連合からの入植者が到着していない。今のうちに要所を抑えてしまえば以前より有利に立ち回れる。既にみっつほど話をつけてきたぞ!」
リゼが俺のARメガネにデータを送ってくる。
見慣れない文化に、見慣れない技術。
しかし暮らしているのは人間だ。
圧倒的な力を持つリゼという個に魅せられ、全てを捧げてしまうほどに人間だった。
「そういうわけなので統治を頼む」
リゼは俺を信頼しきっている。
俺は微笑んで、エイル陛下を見た。
「銀河帝国はギョーショーさんの会社と一体化してやり直し予定ですわ! 今の国民の数で複数星系の統治は無理です!」
涙目で断られてしまった。
俺も泣きたい。
「安心するがいい! 遺伝子を預けて貰えば銀華議員など比較にならないパーフェクトな人間を作って……何をするやめろー!」
突然テレポートしてきたハカセが、待ち構えていたセンパイ大使や大使館員の機械人間に捕縛封印されて連行される。
「とりあえずエルザを派遣する。大仕事だ。エルザがやる気になるよう、直接励ましてやってくれ」
「うむ!」
リゼは楽しそうだ。
俺も楽しくなる。
統治のために巨額の借金を背負う必要があるし、既に皇帝ではないので使える艦は『フリーキャッスル』のみ。
それで十分だ。
俺にはリゼがいるんだから。
「もうちっとだけ、頑張るか」
これが、銀河ひとつを支配する国の、はじまりだった。
ここまで読んで下さり、本当にありがとうございます!
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