オーランド村
すみません、大変遅くなりました!!汗
小部屋を出てすぐに先ほどの門番が声を掛けてきた
「手続き、終わりましたか?」
「はい、お陰様で
冒険者ギルドに入ることになりました」
「これからギルドへ?」
「いえ、6時にカードができるみたいなので、それまでは村の中を散策しようかと
食料や今晩の宿の事もありますので」
「成る程
宿は1つしかありませんのでギルドに行くなら直ぐに見つかるかと
食料は丁度明日の朝、村の中心にある広場で市がありますので、それに参加してはどうでしょう?
週に一度開催してるんです」
朝市か、面白そうだな
この世界にどんな食べ物があるのかも気になるし、行ってみよう
「楽しそうですね、行ってみます」
そうして門番と別れた俺はいよいよ村に入る事にした
この世界に来て初めての村だ、色々見て回ろう
――――――――――
村に入って正直驚いた
道は舗装はされていないが等幅で綺麗に均されている
家も木製ではあるがロッジの様な清潔感のある綺麗な建物だ
そこかしこに見える畑には植物が青々と実っている
トマトの様なものやナスの様なものもある
門から真っ直ぐに続く道の先には石畳の広場がある
広場の奥には門の正面になる位置にギルドの看板のついた煉瓦造の建物があった
村の中は建物1つ1つは大きくないが等間隔に綺麗に配置されておりまるで絵画の様だ
「これは、すごいな
想像以上に綺麗な村だ」
「そうだな
辺境の村にしてはかなり綺麗だと思うぞ」
「そうなのか…うおっ!?」
予想外の景色に圧倒され門の前で突っ立っていると背後から声をかけられ思わず間抜けな声を上げてしまった
「おっと、すまない、驚かせたな」
そう言って笑うのは全身を銀の鎧で固めた大柄な男だった
正確には顔も表情も見えないので声と雰囲気だけで判断した訳だが
「この村は職人が多く資源も豊富なのだ
だが辺境の村だから街からも遠くて外の人間は滅多に来ない
来るのは行商人くらいだな」
勝手に話し出す鎧の男に呆気にとられ何も言えずにいた
「で、お前はどこから来たんだ?」
突然、その様な疑問を投げかけられた
ここはどう説明すべきか悩む
記憶喪失だから知らないと言っても信じてもらえるかわからないからだ
「俺は『よっ!ゼダン、取り込み中か?』
口を開こうとした瞬間、金髪の男が鎧の男に声を掛けた
鎧の男はゼダンと言うらしい
「む、マートスか
どうしたんだ、さっき別れたばかりだろう」
マートスと呼ばれた男は金色の髪に濃いオレンジの瞳をした40代くらいの男だった
革の鎧を着ており身軽ではあるのだが、鍛え抜かれた身体が猛者であると伝えている
「いやぁ、ギルマスからお前と俺に通達があったんだよ
新人の教育をしてくれってさ
って、もしかしてこいつじゃねぇのか?」
マートスが俺の顔を覗き込む
まぁ、滅多に他所者が来ない村ならどう考えても俺だろう
「多分、俺のことだと思います
さっき手続きして冒険者ギルドに入ることになったんで
名前はルギアスです
よろしくお願いします」
「おー、最近の若者にしては礼儀正しいな
ルギアスか、宜しくな!
俺はマートスだ
これから暫く一緒に行動するんだ、冒険者についてみっちり教えてやるよ
なっ、ゼダン!」
「あぁ、わからない事があれば何でも聞くと良い
俺の名前はゼダン
元々帝都で騎士をしていたが去年引退してこの村に来た
薬学や動物学には自信がある」
一通り自己紹介が終わったところで、この村に来たばかりで村の中を回りたい事を話すと2人は快く案内してくれることになった
「ここが村の中心の広場だ
週に一度、朝市をやってる
俺のオススメはアーサーのとこの串焼きだな」
この広場、門から見ていたより少し広く感じる
石畳みの綺麗な円形の広場と、それを囲む様に建てられた村の主要な建物
建物は全てレンガと木でできている様だ
「そうか?
俺はマルダさんのシチューが一番上手いと思うぞ」
「ふんっ、あんなの野菜ばっかで食べ応えがねーよ
ルギアスは若いんだ、あんなシチューより香草を振りかけたジューシーな串焼きの方がいいんだよ!」
「へぇ〜、そうかい
マートスはあたしのシチューが気に入らないって言うんだね?」
突然背後から声をかけられ振り返ると恰幅のいい女性が怒った様に腕を組んで立っていた
多分この人がマルダさんなのだろう
「げ、マルダ…!!
違うんだ!これは、その、あれだ!
新人の為にだな!『へぇー?
新人の為にあたしのシチューを貶すって言うのかい?』
マートスは顔から冷や汗を流しながら弁明するが、火に油を注いでしまっている
「あー、これは暫くマートスは動けなくなるな
俺たちだけで次に行くか?」
「出来れば、そうして頂けると有り難いです」
正直、マルダさん超怖いと思っていたのでゼダンの言葉は本当に有り難かった
マートスには悪いがここは逃げる事にする
「マルダさん
俺は新人に村を案内するので、先に失礼します
マートスも依頼があるので、6時には一旦ギルドへ連れてきてください」
「あぁ、わかったよ」
マルダさんの了承を得たので俺たちはそそくさとその場を後にする
なんだか後ろの方から引き止められている気がするが気のせいだろう
次に案内されたのは広場を抜けて直ぐにある通りだった
武器が沢山置いてある建物や木が沢山並べられている建物など4軒ほどある
「ここは辺境の村としてはかなり珍しいが、職人街だ
ここでこの村の職人達が武器や防具なんかを作って売っている
あそこの木が沢山置いてある店は木工職人で、家具を作ってくれたりする
まぁ、村の人達はあまり必要としてないみたいだから、行商人が来たら買い取って貰うんだ」
「そうなんですね
でも、それならもっと需要のある街とかで売ったほうが良いんじゃないですか?」
そう、店をするのなら人の多い都市部の方が儲かるはずなのだ
「それは最初に言ったこの村には資源が豊富なのが要因だ
細かいことは明日の仕事で教えてやろう」
「はい、お願いします」
「そろそろ日が暮れるな
ギルドへ行くか?」
そう言えば、空が赤く染まってきている
時間はわからないがもう6時になるのではないか
「そうですね、ギルドに行きましょう」
俺たちはギルドへ向かうことにした
一週間ほど実家に帰るので、次回も少し遅めかも…




