ミニ龍
ピーチチチッ…ピピッ…
遠くで微かに小鳥の囀る声が聞こえる
まだ早朝なのか少し肌寒く、かけていた毛布に包まるようにもぞもぞと動く
湿った土の香りと植物特有の優しい空気が心地よく、また深い眠りに落ちていく
それからまた暫く眠っていたのだろう
暖かな日差しが顔に当たり、少しだけ意識が戻る
そうだ、昨日は見知らぬ土地、しかも異世界で、喋る巨大な龍とか、視界に映るメニューとか、兎に角色々あったんだ
目が覚めるとそこは異世界でした、なんて、きっと誰も信じてくれないよな
「……ろ」
でも、なんだか毛布がふかふかでもう少し寝ていたい
「お…、……ろ」
心なしか、枕にしている木が暖かく、深い眠りに誘っているようだ
「おい!起きろ!!」
「うわぁ!?」
突然、顔を叩かれ沈んでいた思考が一気に覚醒する
何事かと振り返ると思考が停止した
そこには、自分の腰くらいの大きさの緑のトカゲがいたのだ
クリッとした大きな瞳は金色で、全身を覆う鱗は透き通るような翡翠色をしている
そして何より、全体のフォルムがまるく、デフォルメされたマスコットのようでとても可愛らしい
「な、なに?これ?」
「むっ
なにこれとは失礼だな!
我がわからぬと言うのか!
お前は無礼にも程があるぞ!!」
そう言うなり緑のトカゲのようなものはまばゆい光に包まれた
光が消えたあと、目の前にいたのは昨日と対峙した巨大な龍、ヴァルギアスだった
「え、え、ヴァルギアス??
もしかして、あのトカゲが…?」
「誰ガトカゲジャ!!
無礼者メ!」
「うぇ!?
す、すまない!!いや、すみませんでした!!」
その後小一時間ほど土下座せんばかりに謝り倒した
「全ク、今回ダケハ許シテヤルゾ」
気が済んだのか、また小さな姿に戻った
「お前は我を枕にした上にトカゲなどと…
いいか、今回だけだぞ?わかったな?」
そう言って半目でこちらを睨んでくるヴァルギアス
「わかってる、悪かったよ…」
「ふんっ!
分かれば良いのだ」
なんとか許してもらうことができたようだ




