第一発見 過疎化が進む山村にトカゲ犬を見た! ②
日本においてUMAの発見報告の少なさは、いったい何に原因があるのか。
そんな中で、まさにその発見報告をネットの怪談よ中で見つけたと語る隊員のジョニーは、どうようなUMAをそこに見たのか。
謎を探る旅路は、この男、日本UMA発見隊の隊長である、【野木原・鉄人】の一歩に寄って始まると言って良いでしょう。
「ジョニーが持ち帰って来た情報は、一見すればただの怪談です。話を聞いたり見たりした人間にも、語り手同様の呪いが降りかかるという内容も、典型的と言えます」
見るからに偉丈夫である身体に反して、丁寧な口調や物腰で語る鉄人ですが、バス停を降りてから歩き始めたその姿は、逞しいという言葉でしか言い表せないものです。
その逞しさはきっと、歩く先にUMAがいるという確信から来るものなのかもしれません。
「我々が今、向かっている山村は、まさに件の怪談で語られたものの可能性が高いでしょう。ジョニーが投稿者に接触して得た情報ですので」
どの様な伝手か、ネットの怪談の投稿者に接触出来る隊員ジョニーの手腕にも驚きますが、その話がいったいUMAとどう関わるものなのか。
鉄人は山村への道中で語り始めました。
「投稿者自身は神様の呪いに随分と怯え、数多くの人間に話を振りまくことで、自分への呪いを拡散しようという意図があったそうです。随分と非科学的な話ですが、実際に体調や様子がおかしそうだったとジョニーも語っています。怯えていたのは事実でしょうね。実を言えばUMAに出会うと、慣れていない人間は警戒心を抱き、次に恐怖を覚えるものなんです」
UMAを見かけても、それをUMAだとは気づかない。日本においてはその傾向が強いのだと鉄人は言います。
「幽霊の正体見たりという言葉がありますが、その正体が枯れ尾花では無く、UMAであると考えた事はありませんか? こう問いかけると、多くの人間は首を傾げたり、鼻で笑ったりします。だからこそ、UMAはなかなか発見されないのだと私は考えます」
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「UMAを見つける際に重要なのは、先入観を捨てる事でしょうね」
通称、日本UMA専門家、【大盛・千草】氏の言葉を借りると、その気になり、行動さえすれば、UMAというものはすぐに見つける事が出来るものなのだそうです。
「存在する証拠はそこら中に、幾らでも転がっています。ただ、それを石ころだと見てしまう。私達の目や……意識の部分にこそ、問題があるのではないでしょうか」
では、我々がUMAを見つけるためには、いったい何から始めるのが重要なのでしょう。
未確定新種動物に詳しい日本の研究家である【後藤・大二郎】氏は、こう助言してくれます。
「見聞を広げる事でしょう。多くの場所へ、実際に足を運び、そうして様々な物を見る。そこには行けない。入っちゃ駄目だろうという気持ちを、勇気を振り絞り、耐えるわけです」
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四国南部の山中にある村へとやってきた日本UMA発見隊は、村と山の境界にあるやや拓けた土地を拠点に定め、キャンプ地とする事にしました。
「使用の許可が出て幸いでした。村には民泊の様なものもありませんでしたから。それだけ、小さい村という事なのでしょう。人口も少ない」
村長との交渉が終わった鉄人は、UMA発見のための準備をテント設営と同時に進めていきます。
中でも重要となるのは、暗視機能が付いたカメラです。
「このカメラで常に特定の場所、発見報告のあった神社の境内へと登る階段を撮り続けます。一日中です」
ネットにあった話の中で、ジョニー隊員がUMAの発見情報としたのは二つです。深夜にこっそり神社の境内に侵入した報告者は、その中でUMAらしきもののミイラを見たというのが一つ。
逃げ帰ろう神社の境内を出て、その階段の途中で、ミイラではない動くUMAを見てしまったというのがもう一つの発見報告になるというわけです。
「神社は山村側ではなく、山側にあります。恐らく、縄張りが山の中にあるのでしょう。境内や、神社に納められた御神体というのも気になりますが、そこまでは許可が降りませんでした」
UMA発見のための活動というのは地道で根気を必要とするものです。時に現地の住民の協力を得られない時もあります。
だとしても、赴く場所が人の住む場所であれば、根強い交渉を続ける必要がありますし、また、目の前の環境に即した努力というものを続けなければならないのです。
「カメラは壊れたり電池が切れたりしない限りは動き続けます。この位置で……あの山の神社への階段付近に動く物があれば、自動的にその光景を撮ってくれるでしょうね。だから我々は何もせずにいられる、なんて単純なものでもないわけですが」
神社内の詳しく探索する許可はまだ降りていませんが、一方で、立ち入りが禁止されていない場所もあります。山の周辺や時に中へと入り込む一般道です。
この近辺にUMAを発見した報告者の体験を元に考えれば、その様な場所にもUMAが現れる可能性は十分にあるでしょう。
「それがどういう動物であれ、例え警戒心が強い動物であったとしても、そこを移動した場合は痕跡を残します。この近辺の観察は他の隊員やカメラに任せて、私は周辺の調査を続けようと思います」
鉄人はそう告げると、疲れ知らずの足で再び歩き始めます。
彼の足は、UMAを実際に見つけるまで止まる事はありません。




