第一発見 過疎化が進む山村にトカゲ犬を見た! ①
日本UMA発見隊の隊長、【野木原・鉄人】は山道を歩きながら語る。
「やはり、ここで正解だったようです」
本来は補装されるべきアスファルトの道が、両脇から、苔や雑草の侵食を受け、もはや前人未到とすら言えてしまうかもしれない道を、鉄人は汗を掻きながら進んでいた。
そんな中で、スタッフに語りかけた一言がこれだった。
「トカゲ犬は恐らく、この道の先にいるはずです。間違いありません」
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人口減少が続く我らが国、日本。
一方都市への人口流入は続いており、地方の人口減とそれに伴う地方自治体の過疎化は、激しさを増し続けている。
人が住める場所ではなく、もはや魔境となっていく事が決まったその領域に、新たに住まう者、そうしてその存在を感じ取った者達がいた!
日本UMA発見隊は、そんな今まで日本の奥底に潜んでいたはずの存在を見つけ出し、諸君に報告する番組である。
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通称、日本UMA専門家、【大盛・千草】氏は語ります。
「UMA、いわゆる未確認生物は、陸上動物に水棲生物、果ては宇宙から来た何かしら等、種類は幾つもありますが、その種類は関係機関が調べたところ、世界平均で一国に500種類という値が既に出ています。一方、日本において現在、その数は50種程度、都道府県に一つずつ置いたら、余りが少しだけになってしまいます。残りは精確な発見報告すらないんです。いったい彼らはどこに居るのでしょう?」
ツチノコにクッシー、ヒバゴンなど、日本在来のUMAが存在しないわけではありません。
まだ実際に捕まえられては居ませんが、確かに発見報告が多数存在しているのです。
では、何故、ここまで日本のUMAの数は少ないのか?
【土師・秀俊】氏は、日本における新しいUMAの発見報告の少なさに対して、有力とされる仮説の提唱者です。
「彼らは本当にいないわけではありません。自然豊かな本邦です。彼らが暮らせる場所というのは幾らでもあります。また、それらの第一発見者となりえる人々も、これまでは少なくありませんでした。山や海、拓けた平原地帯。UMAが存在するであろう場所に、人もまた住んでいるのですから」
では何故、日本で見つかるはずのUMAが発見されないままなのか。我々はいったい何を見落としているのか。
「身近にあり過ぎたのです。例えば本邦近海に生息し、良く見られていた魚類が、調べてみたら遺伝系統的に新種であったという発見が、最近にもあったりします。新しいUMAの発見も、誰もがそれを既存の……例えば妖怪とかタヌキが化けたものであるとか、そういうものの発見として処理してしまいがちなわけです。本当はそれは、UMAであるのに」
もしそれが真実であったとして、発見隊はいったい何を目指せば良いのか。
「鍵は、今の時代そのものにあります。過疎化というものは、つまり環境の変化です。これまで普通だったものが、そうでは無い環境へと変わる、一つのベクトルと言えるでしょう。そんな中で、異質なものは、より一層、目立つ事になります。それを見つける事こそ、新しいUMAの発見に繋がる。私はそう考えています」
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日本UMA発見隊員の一人であるジョニー・キタガワ(本名:佐々木・望)は、土師氏の仮説を受け、新たなUMA発見報告を見つけるため、日夜、奔走を続けています。
「今、情報を集めようと思ったら、ネット空間だね。数あるSNSや動画配信サイト、個人のブログに至るまで、情報というのは山盛りにある。この机の上のフライドポテトの様に。だが、情報はこのポテトみたいに、均質な塩味をしていない。それが問題なんだ」
日本UMA発見隊本部近くにあるファミリーレストラン。その窓際から離れた席が、彼の最近の仕事場である。
彼はその店でドリンクバーとフライドポテトだけを注文し、ラップトップパソコンに長時間向かい合っていました。
睨む先は、流れて行くSNSのタイムラインです。
古くより、ネット空間にはUMAの情報が溢れていたというのは、もはや定説になっています。
一方、その情報の真偽については玉石混交、十に一つ価値があれば良い方であると、ジョニー隊員は語ります。
「そのため、僕達隊員の多くはネットサーフィン、いや、もはやネット探検と言える行為を続けてる。それはなかなか大変なものだけど、それでも、まったく無意味というわけじゃあない」
特に、ジョニー隊員程のベテランともなると、価値のある情報というものへの嗅覚が鋭くなるのだそうです。
「見て欲しい。これだ。四国地方の南部の某県について、個人の体験談が数多くまとめられたサイトで語られている」
それは世間においては怪談と呼ばれるものを収集しているまとめサイトでした。
体験談であるもの、他のSNSで語られていたとされるもの、いわゆるモキュメンタリーに近い、創作物にも溢れていましたが、そこには時に、得難い情報も転がっているのだそうです。
「このページの……そう、この話。四国の某県のとある山村において、古くから崇められている神様についてがこの話では語られているだろう?」
それは大学生の体験談に基づく話です。
語り手は大学の夏季休校期間を利用して、友人と共に友人の故郷へ旅行に出かける。
その故郷の山村では、丁度お祭りの時期だったらしく、村の神様を祀るその行事に大学生は参加することになったらしい。
さらにそのお祭りで興味を持ってしまったのか、大学生は肝試しがてら、深夜に神様を祀っていた神社へと赴くことになる。
そこで奇妙な御神体を見てしまった大学生は、神様の呪いを受けてしまい、這々の体で村から逃げ出す。その様な筋書きが投稿されていました。
「一見、良くある怪談だ。だけど、ほら、この御神体の描写部分。犬のような、トカゲのような、そんなミイラがあったと書かれているだろう? 河童とか天狗じゃないんだ」
河童や天狗もまた日本由来のUMAである可能性もあるとジョニーは語りますが、それ以上に、このサイトにあった体験談は、彼にとって特別である様子です。
「もうちょっと詳しく調べてみるが、隊長に報告を上げてみよう。ネットの中に存在するUMAの発見情報は、案外、こういう形である場合が多いからね」
経験豊富な隊員ジョニーは、ネットの中の怪談に、UMAの臭いを嗅ぎ取ったということでしょう。
そうして、彼の判断はすぐさま、日本UMA発見隊を動かすことへと繋がっていくのです。




