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冬晴るる日⑥

 クレアを支えながら、何とか立ち上がらせる。苦しそうな様子のクレアだが、立ち上がった後は自力で何とか歩けていた。


 歩いていると、見えてきた屋敷の裏。そこではクレリデイラの兵士と予想通り、ジェニーロスト国の兵士が戦闘を繰り広げていた。真正面から通り抜けるのは無理だと抜け道を探す。


 そんなふうに気が抜けていたからだろうか、自分の首に迫った刃に直前になって気づいた。


「ッ、」


 クレアの腕を引っ張り後ろに跳ぶ。着地してから首に手を当てると生暖かい血が滲んでいた。剣が首にかすったのだろう。


「避けたか」


 冷徹にそう言った人物に目を向ける。そこに居たのはカーティス兄さんだった。ふっ、ふっ、と浅く息をする。向けられた殺気に体が反応している。カーティス兄さんがクレアに目線を向けたのを見て、庇うように前に立つ。再び向けられた剣先を防ぐために短刀で応戦しようとするが、その動きを読まれ柄の部分で殴られた。


「わかりやすい弱味を作るべきではなかったな。剣の動きがあまりに分かりやすすぎる」


「ッ、かは……ッ」


 カーティス兄さんの剣先がクレアの心臓に向けられた。視界に映るすべてがゆっくりと動いている。剣先がクレアの心臓を貫いた。


「クレアッ!」


 クレアを抱えて瓦礫の裏に隠れる。カーティス兄さんから居場所はバレているが、襲いかかってこない。勝ちを確信しているが故に、私たちを泳がせるのだ。瓦礫にもたれ掛かるクレアを横目で見る。


 心臓部を刺されて即死した奴らなんて数え切れないほど見てきた。私が殺したこともあったし、それよりも悲惨な死体を見た事だって一度や二度じゃない。見慣れてるはずなのに、クレアからとめどなく溢れる血に冷や汗が背を伝う。


 助からない。その言葉が脳裏をよぎる。


 胸を貫かれている。心臓の真横、わざと即死させない為にここを刺したのだろう。カーティス兄さんが獲物を仕留め損なうはずがないから。


 殺してあげた方がいいのかもしれない。こんなに苦しみながらも死にきれていない。急所から少しズレたところを刺されたから、即死できずに苦しんでる。


 どうせ、この怪我では出血多量で死んでしまう。目を閉じてヒューヒューと弱々しい呼吸を続けているクレア。苦しみ続けて死んでしまうのなら。私が、トドメを刺して、楽にしてあげよう。

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