表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/166

---75--- 精神世界内 強襲者 1

 邪眼物体拘束移動と言う邪眼の力でシアキは少し宙を浮いた状態になっている。

 身を動かそうとするが、全くピクリとも動かない、正に何か見えないものに全身を拘束され持ち上げられている様だ。


「もういいぞ、降ろしてくれ」

 

 そっとシアキを地面に置くイメージをしながら目線と下げ全ての眼をフェンラは閉じる。すると拘束が嘘のように解け自由になった。

 先程エラルを移動させたときのようなズシリと眼に質量が圧し掛かる事もなければ、疲労感も感じなかった事にフェンラは驚きを隠せないでいる。


「凄いのじゃ、浮かせたはずのに、質量を感じなかったし、全く疲れないのじゃ」


 邪眼で物体等を拘束し移動させるものを使用しても、一切体力、精神力が減らない事が分かり、邪眼とは魔法ではないのかもしれないと思う。

 そこでアイに同じ事をさせ、アイ自身を魔聖素で体を包み込み無効化状態にし出来るかの実験をし魔法なのかを確かめる事にする。


「アイ、すまんが、少し実験したい事があるんだ。


 今、フェンラがやったのと同じ事を、俺にしてくれるか?。

 俺を邪眼で拘束し目線だけで移動させられるって思いながらすれば出来ると思うから、やってみてくれ」


 言われた通りシアキを目線だけで縛り拘束するイメージをし、目線を一気に上げる。

 先程のフェンラの時とは違い、目線を上げ過ぎたせいで勢いよく天高く上昇していく。


 その間先程と同じく全くもって身動きが取れない。

 上空高い位置まで、一気に上げられた為、気圧の変化を受けて、少し耳に痛みを感じ、耳貫をする。

 そして今度は自身のステータスを開き見る。備考欄に「視線により身を拘束されている」と出ている。


 ここで、アイを魔聖素で包むが変化はない、自分自身にも同じように魔聖素で包み込むが、拘束が無くなり落下する事は無かった。

 次に単純に魔素で自分の姿が隠れる程の板状の物質を生成し視界を遮ると拘束がすぐ解け、落下し始めた。

 勢いよく地面に落下し土埃が舞う。本来なら死んでいておかしくない高さからの落下だが、シアキは何事も無かったかのように、起き上がり服に付着した土を払う。

 これで、邪眼の技は、魔法では無いという事が立証する事が出来た。オマケで視線を遮ると拘束が解けるという事も判明した。


「よし、邪眼について大体理解出来たし、一応の対抗策も一つ見つけられたな。

 結構便利な反面、敵が使うととんでもなく厄介そうだな・・」


 玄関前の階段に座っていた、レレが腰を上げ、ピョンっと一段飛び降り、拍手をしながら笑顔を見せ、こちらに近づいてくる。


 眼前迄来ると、顔を覗き込むようにし、シアキを一度覗き込み表情を確認した後、少し離れ、目線の先に何かあるのではないかと、手を振り何かを探る仕草を見せた。


 自身のステータスを出している画面の真ん中をレレの手が何度も行ったり来たりし探っている。

 的確にソコに何かあると知っているかのような仕草だと感じ、レレの観察能力の高さを知り少し背筋に冷たい物を感じる。 


「レレ、何をしてるんだ?」


 再度覗き込まれニターっと悪戯っ子がするような微笑みを向けてくる。


「ふふ、何でもありませんわ。気にしなくて良いですわコレは・・」


 目線を外す事なく真剣に見つめながら、手だけは、ステータス画面の真ん中を的確に行ったり来たりし探っている。

 ゴクリと生唾を飲んでしまう。


 この行動を見逃さず、ココには何かあると確信する。


「ふふ、やはりそのお義兄様の特殊能力は凄いですわね。

 情報の少なさから邪眼の特性に気づき、対抗策をやってのけるとは正直感動を覚えましたわ」


「そっか!そう言ってくれると何だか照れるな~・・どうだ何か分かったのか俺の特殊能力について?」


 少しシアキの態度がギコチナイとフェンラは感じる。


「いえ全く理解出来ませんでしたわ。

 でも、お義兄様が特殊能力を使い思考する所をこの眼で見られて、(わたくし)は今もの凄く好奇心が掻き立てられてますの・・。


 それに一つだけ不思議に思っていたのですが、先程から何度もこの辺りに目線を送り何かを読むような態度をされていますわよね?それは何ですの?何か隠していますよね?お義兄様」


 的確に自身のステータス画面が出ている辺りに掌をかざし左右に振って見せる。

 ここで下手に隠しても仕方ないので、その正体を教える。


「俺の使う特殊能力の一つで、相手の強さを見るという能力を発動させてるんだ。

 その手がある位置に、俺しか認識出来ない紙みたいな物があってだな、そこに相手の強さとかが色々表示され分かるんだ。

 これはこの世界で俺しか使えない能力らしい、お前には使えない代物だってルルもそう言ってたしな間違いないと思うぞ」


 それを聞き、手を振って何か術の気配がないかを探る。


「そうですの・・・・ここに・・・・やっぱりあるのですのね、ココに・・。 術の気配は何も感じとれませんわね。

 だとすると、その眼の方ですわね」


 両手で頬を抑えられ、眼球を覗き込むように、レレは視線を合わせてくる。

 不意を突かれる形でやられた為、シアキは恥ずかしさが込み上げてきて視線を逸らす。


 逸らした先に目線を持ってこられ強制的に目線が数秒間合わせてしまう。


「目線を逸らさないでくださいまし、・・・・ふふ見つけましたわ。微かに術らしい物が両目で発動していますわね。

 もう少しだけ、動かないでくださいまし・・・右目の視界だけを・・」


 更にギュッと頬を両手で固定され動けなくなる。そして数秒後頭に一瞬電気が走るような変な違和感を感じる。


「ふふ解析完了ですわ。では、その右目の視界を、(わたくし)の左目の視界と交換しましょう」


 その言葉をきっかけに、右目の視界がブラックアウトしていく。

 そして右目に、本来映るはずの無い自分の姿が映し出されている。両目を開いてみていると立眩みしそうになる。


「ふふ、これが相手の強さの情報ですか?細々と何やら書かれてますわね。


 見た事の無い文字と言語で書かれていますのね・・・でも数字は分かりますわ・・何を意味しているのでしょう?。

 強さに関する項目・・・、恐らく各種習熟度を現しているのでしょうね。


 ・・・う~ん残念ですわ、全くもって理解出来ませんわ。

 やはり概念そのものが無いので、(わたくし)の物には出来そうにありませんわね。コレは!」


―― これではっきりしましたわ。この能力の数値を弄る事でお義兄様は相手を弱くしたのですわね。 いえ違いますわね、これは見るだけの能力と言ってましたし、(わたくし)を一瞬で違和感なく弱体化させたのとは別と考えるのが自然ですわね。


 しかし、これはあのトカゲ娘の数値でしょうか?だとすると、この数値を見る限り低い気もしますわね。

 (わたくし)の邪眼を使う以上完璧に育てたいですわね。


 取敢えず、お義兄様の能力をこの目で確認出来たのは収穫ですわ。 発動条件も少し分かった気もしますし、もう少し、お姉様やこの劣等種達から情報を聞き出し、お義兄様の事を調べる必要がありますわね。


 術を解除し両者の視界は元通りに戻る。

 今のは何なのかをシアキは尋ねる。


「今のは?視界共有か?」


「ふふ、違いますわ、今行ったのは、神族で少し術を使える物ならば誰でも行える簡単な視界交換と言う術ですわ。


 そしてお義兄様の、その能力は、(わたくし)の物にはならないと、これではっきりしましたわ。

 益々お義兄様を生かし続けなければと再認識しましたわ、ふふふ、それから・・・あの数値」


 くるっと回転しフェンラの方を向き、右手人差し指をフェンラの鼻先に当てる。


「トカゲ娘!貴女、習熟度低すぎですわよ。

 そんな弱さでは、きっとお義兄様の足手纏いになるになりますわ、きちんとその邪眼を完璧に使いこなしなさい、分かりまして?」


 今見たのは、力を使いすぎ精神力と体力が減った状態の自分のであると言い出せないシアキであった。

 自分の強さを見られたと勘違いしフェンラは少し俯き、レレの提案通り、どうすれば完璧に邪眼を使いこなせるかを考える。

 それは簡単だ、眼前に邪眼について全てを知る人物がいるのだ、もう此処は教を乞うしかない。


「・・我が弱い事は、シアキ殿から聞いて既に知っておるのじゃ。

 じゃから、レレ殿、何も知らぬ我に邪眼に付いて色々教えてはくれぬかの。

 恥ずかしながら、今日シアキ殿に修行を見てもらい、初めて正しい邪眼の使用方法を知った位なのじゃ」


 この提案を受け素直に邪眼の事を教えれば、幾分かはシアキの信頼に繋がるだろう。

 そうすれば正規の手順で、強くなるキッカケの術を施してもらえるかもしれないと思う。


 だが、ここで急に態度を変え素直に教えると言えば、何か裏があると思われるに違いない。

 自分の今までの言動一つ一つと態度から誤解を招いている事は明白なので、残念だがココは今まで通りの口調と態度で突っぱねて、絶好の機会が訪れるのを待つしかないとの考えに行きつく。


「ぃ・・・嫌ですわ。何故生者のトカゲ娘を(わたくし)が鍛えなければなりませんの!。

そんな事を(わたくし)にさせようだなんて・・む、虫唾が走りますわ」


 ココで食い下がる訳にはいかない、正しい使用方法で邪眼を使い基礎的な事まで出来るようになったが、これ以上シアキの能力に頼り続ければ、いつかシアキが限界を迎え、昨日のようにシアキが倒れてしまうのは容易に予想出来る。

 またあのような事になっては仲間に、特にリムに申訳がないと考え、地面にひれ伏し頭を擦り付け懇願する。


「レレ殿、そこを何とか頼むのじゃ。

 シアキ殿も皆の修行を見る為に、過剰に能力の使っておるのじゃ、また気を失い倒れるやもしれぬ。 じゃから、少しでもシアキ殿の負担軽減をしてやりたいのじゃ。 頼むレレ殿」


 本来此処でひれ伏したらシアキが真っ先に止めに入ると思っていたフェンラは顔を上げ、シアキの方を見る。

 立ちながらシアキは目を瞑りゆらゆら揺れている。まるで眠気を必死に堪えているようだ。

 一瞬ガクリと倒れそうになるのを堪え体躯をビクッと跳ね上げ、パチリと目を見開きキョロキョロし目線が合う。


「フェンラ何してんだ?止めろ!ちゃんと立て!。

 レレ、お前な~仲間に何やらせてるんだ、良いか今後仲間達がそう言う事をしたら止めさせろ、お前は誰よりも強いんだ。


 これはルルにも言ったが、お前が冗談で「ひれ伏せ」とか言ったら、仲間達は誰も逆らえないんだからな、言葉は慎重に選べ、それが強者としての心の広さに繋がるんだぞ、良いな!」


「これはレレ殿がさせておらぬのじゃ、違うのじゃシアキ殿!」


「そ、そうですわ、(わたくし)は何も言ってませんし、勝手にこのトカゲ娘がした事ですわ。 そのように言われない事でお説教を受けるのは不愉快ですわ」


「言訳無用、強者であり、俺の義妹になった以上、仲間達にそう言う事を止めさせないのは駄目なんだ。 今回は見逃してやる。 次はどんな理由でもお仕置きするからな。


 ふぁ~ちょっと俺は力を使い過ぎたみたいだから、昼飯まで寝てくるわ。

 よし邪眼の修行は、今日はこれまでな!ふぁ~俺は先に戻るからお前達も休憩しろよ」


 欠伸をしながら眠たそうにし、振り返りもせず、玄関階段を上がり室内に消えていった。

 三名は今の行動を見て、相当能力を使い過ぎて疲弊しているのだと感じ取れた。


―― 先程のお義兄様、かなり疲労されてましたわね。

 ・・・これは良い機会ですわ、これでこのトカゲ娘に邪眼の取り扱いを完璧に教え、こちら側に引き込み手懐け、お義兄様に、(わたくし)が仲間達と呼ぶ者達と友好的に出来る事を知らせれば、きっと信頼が得られ、ご褒美に正規のキッカケの術を施して下さいますわね。


 そして考えを変えたレレは、未だひれ伏しているフェンラを見て苛立ちを覚える。

 首根っこを持ってヒョイっと上空に投げる。

 上空に投げられ咄嗟の事であったので、フェンラは着地する態勢をとる事が出来ず、尻もちをついてしまう。 ギロリとレレに睨まれ右手人差し指だけで指差される。


「何ですの、これ位すぐ対応し、きちんと立てなくてどうするのですの!全く。

 良いです事、今後、お義兄様に誤解されるような事を一切しないでくださいまし。


 そして今回は特別、特別に、本当に特別に、色々教えて差し上げますわ。

 その代わりお義兄様には、(わたくし)が自主的に教えていると、きちんと伝えて下さいましね、トカゲ娘!」


 睨んでいた表情がいつもの間にか穏やかな表情になり、穏やかな笑顔をみせている。

 先程まで何処と無く近寄りがたい空気を出していたのに、今はまるでルルと対話しているようなそんな気がしてくる位、穏やかな優しさが包み込んでくるような空気を醸し出している。


「ありがとうなのじゃ、レレ殿。これでシアキ殿があのように疲労しなくて済むのじゃ。

 シアキ殿にはレレ殿事を良いように言っておくのじゃ、任せてくれなのじゃ」


「本当に?・・いえ当然ですわ。さぁ~戻りますわよ、トカゲ娘」


 パーッと一瞬可愛い表情を見せたが、すぐに元の表情に戻り悪態をついて見せながら、拠点家屋内に戻っていった。

 何だか仲良く出来そうな予感がするとフェンラは思いながら、後に続き家屋内に戻る。

 二人の行動を見ていたアイは自分には教えてもらえるのかどうなのかと不安になりながら、家屋内に戻っていく。

 そしてスタスタと拠点家屋内に全員で戻っていくのを拠点外の森の中から見ていた昆虫人達は自分達の事は忘れれていないであろうかと思うのであった。


 拠点に戻ったシアキは、自室で少し寝るので、昼飯になったら起こしてくれと、リビングに居る仲間達に伝え、割り当てられた自室に戻っていった。

 部屋は薄暗い。これは外にある巨石を利用した岩のせいで日差しがこの部屋に入らない為だ。リビングはルルの作った光源を浮遊させているので明るい。

 そんな薄暗い部屋に入りベッドにダイブする。ルルに頼み回復を受ければよかったのだが、今は少し考え事をしながら、寝落ちしたい気分なのだ。


 枕に顔を埋め、眼を閉じ、眠りに落ちるまでの間、考え事をする。

 微睡(まどろ)む意識の中、リムの奴隷職をどう上げるかを考えようとウトウトする。実にこのウトウトするのは気持ち良い感覚なので、考えをまとめ上げる前に眠りに落ちてしまった。

 眠りに落ち瞬間と同時に、半透明の鈍色にびいろの膜が室内全体を覆う。


 そして同時刻、台所で忙しなく動いていた、リムがドテっとその場で意識を失い倒れ込み、眠りに落ちてしまった。


「え!リムさんどうしたんですか?大丈夫ですか?・・」


 慌ててサジュラは駆け寄り肩を叩き反応を見ながら息をしてるか確認する。

 取敢えず息はしているので、そのまま担いでリビングに向かう。

 リビングに出ると、リムを抱えたサジュラに対しルルが声を掛けてくる。


「どうしたの~サジュラっち?リムちゃん抱えて~」


「突然倒れたんです。取敢えずそこの布団に寝かせますので視てあげてください」


 まだリビングに敷かれているビデアが寝ていた布団の上にリムを寝かせる。

 その周りに仲間達全員集まって来る。


 早速倒れた原因を探る為、ルルはリムの体に手をかざし、術を発動させる。

 その瞬間、脳天に強い衝撃を受けるような感覚を覚え、ルルはのけ反り転倒する。


「何!・・・」


 その光景は何者かに額を殴られルルが転倒した様に、仲間の眼には映った。

 危険かもしれないと判断し、仲間達はリムから数歩距離を取り、フェンラとアイは邪眼で見えない者を探り、ラフェルとビデアは、サジュラとエラルの前に立ち身構える。


「大丈夫か、ルル殿、周りには姿を隠した者は居らぬ。

 どうしたのじゃ!何者かに殴られたように見えたが、何があったのじゃ?」


「ルルちゃん大丈夫?危険ならシア・・え!」


 寝かされているリムの体から、突如、半透明の向日葵色ひまわりいろの物質が滲み出てくる。その物質は瞬く間にリムの全身を覆い尽くしてしまう。


 この現象は今まで見た事も聞いた事もないので、取敢えず、半透明の向日葵色ひまわりいろの覆っている物の正体を探る為に、ルルはその物質に自身の掌を当てて触れてみる。

 触れた瞬間強烈な痛みが走る。慌てて手を除け、掌を確認する。すると掌は肉叩きで何度も殴打されズタズタされたような感じになり出血していた。

 この半透明の向日葵色ひまわりいろの物質は防護術を施さず触れると危険である事と、ルル自身の基礎防御力をもってしても、全く防ぐ事の出来ない、触れれば必ず負傷してしまう危険な物であると判断する。


「皆、取敢えず、リムちゃんからもっと離れて、あとこの得体の知れない半透明の物質には絶対触れないで!。

 私の防護の加護があっても、恐らく触れたら私の手みたいに怪我するかも知れないからね・・」


 見るも無残にズタズタになった掌を全員に見せる。見せ終ると同時に治癒術を施し掌を元に戻してゆく。

 いつものゆるい口調は一切なく真剣に語っているので、全員から笑顔が消える。

 緊急事態であると察し、言われた通り、リムから距離を取りる。


 その姉の負傷した掌を見たレレは、己の掌に最大限の防護術を施し最強硬度状態にし、リムを包み込んでいる半透明の向日葵色ひまわりいろの物質に触れてみる。

 今、掌はこの世界で最強の防御力を誇っていると思われるのに、触れた個所に強烈な痛みを覚え、慌てて手の引き掌を確認する。

 その掌はルル同様に肉叩きで何度も殴打されズタズタされたような感じになり出血していた。


(わたくし)の防護術と防御力を合わせ最強硬度状態でも、この半透明の物質は、それすら上回るモノなのですの?・・・」


 負傷した手に治癒術を施して掌を元に戻し、すぐさま真剣な表情で何か考え込む。


―― これは絶好の好機ですわね。

 (わたくし)自ら、ココでこの者達を守る行為をすれば、お義兄様の信頼を獲得出来ますわね。

 しかしこの半透明の物質は何ですの?。

 取敢えずは、この正体が不明な物に、この者達を触れさせない様にしないとですわね。


 黙り込み状況を分析しているかのように、レレはリムの周りを一周し観察している。

 とても言葉を掛けられる雰囲気ではないので、仲間達は邪魔をしないように脇に避け無言で成り行きを見守る。


 今判明している事をレレは頭の中で整理する。


 寝かされているリム本人は何ら負傷していないという事。

 寝かされている布団、床等に半透明の物質が触れているがその個所は何ら破損していない事。

 故意に触れるとどんなに防御力を上げようとも負傷させれるという事。

 そして半透明な物質は膨張する気配は無く、リムの体に一定の厚みを維持し纏わり付いてるという事。

 

 そして徐に金貨銀貨の入った袋から銀貨を一枚手に取りだし、リムの体目掛け軽く放物線を描くように軽く放り投げる。

 銀貨が半透明の物質に触れた瞬間蒸発するようにソレは跡形も無く消滅する。

 この事で無機物でも故意に外部から刺激を与えようとすると、強制的にその物体を消滅又は、負傷させる作用が発揮される物であるとレレは判断する。


 全員それを目撃し触れない方が良いと判断する。


「この半透明の物質には、触れない方が良いですわよ。

 しかし、こんな術は今まで見た事がありませんわ。


 その中にいる、「前髪パッツン娘」は一切傷一つ負っていない所からすると、外部刺激から遮断するのが目的でしょうが・・全く意図が理解出来ませんわ。

 お姉様は何かご存知ですか?もしかするとコレはお義兄様の術とかですの?」


 話を振られるが、ルルもこのような術や魔法は見た事が無いので首を横に振って見せる。

 仲間達が不用意に触る可能性があるのに、こんな危険な事を態々シアキがするとは思えないので、敵の何らかの術が発動していると考えるのが自然だ。

 この世界で一位二位を争う筈の自分とレレ以上の強者が敵として襲来して来ている事は確実だ。


 こうして人質を取り、脅し何らかの要求をしてくるのだろうと結論付け、取敢えず、今シアキが何所にいるかを把握する為、辺りの気配を探る。


「・・・え!シアキ・・違う部屋が無い?」

 

 気配感知をすると、シアキが居ると思われる部屋が丸ごと気配感知出来なくなっている。気配感知で脳内に描写される風景に丸ごとそこだけが存在していないかのように成っている。 慌ててルルはシアキの部屋の前まで移動し、扉を勢いよく引き開ける。


 そこには、いつも通りの室内風景がある。ベッドにはシアキが横になり気持ちよさそうな寝顔を見せながら眠っている。

 だが一つ変わった点がある。 室内全部に半透明の鈍色にびいろの膜のような物が、室内に入る事を拒むように存在しているのだ。


 その膜状の物が危険である可能性は十分あるが、躊躇する事なく触れ正体を探る。

 今度は負傷する事はなかった。この術の正体を探るが、結界術等の術の気配を全く感じない。

 これは結界術の類では無く、物質生成で作られた硬質的な半透明の鈍色にびいろの壁であるとルルは判断する。


 ただの物質生成された壁であれば、自身の全力の破壊術を拳に宿し打撃を叩き込めば破壊出来ると瞬時に決断する。


 今回は前回の失敗はしないと決めているので、最初からこの家屋事破壊する為、躊躇する事なく全力の力で、半透明の壁と思しきものに拳を叩き込む。

 本来この一撃で、この家屋は全壊し拳の軌道上にある世界の半分以上が壊滅的な被害が出る程の威力であるのだが、ボワワンっと壁が波紋状に揺らぎ全ての威力が相殺吸収されてしまった。


「有り得ない・・・壊せないなら」


 壊す事が出来ないと判断し次に転移でシアキの下に行きたいと念じ転移術を発動するが、一瞬姿が消えるが、同じ室内前の廊下に現れるだけで室内に一切転移して入る事が出来なかった。

 モタモタしていると、ベッドで寝ているシアキの横に光で出来た人型のような物が数体現れ取り囲んだ。


「転移も出来ないの・・うそ・・・」


 その光の人型の一体がシアキの頭に手ような部分を伸ばし触れる。触れられた瞬間シアキの体がビクンと浪打。

 それを目撃しルルはシアキが自分の眼前で惨たらしく屠られると直感し発狂する。


「あぁ~シアキに触れるな~」


 眉間に皺をよせ怒りを前面に出した表情でルルは何度も何度もシアキの室内にある半透明の鈍色にびいろの壁に全力の力で打撃を与えたり、破壊光を放ったりしている。

 その全てボワワンっと壁が波紋状に揺らぎ、威力そのものを相殺吸収するだけと同じ結果しか生まなかった。

 全員シアキの部屋の扉の前に集まり、レレが声を掛けると、ルルは我に返り全力で何度も撃ち込んでいた反動で全身の力が抜けその場にへたり込み肩で息をする。


 肩で息を切らしてへたり込んでいるルルを心配そうに見ながら、開きっぱなしのドアの先にラフェルは目を向ける。

 そこで見たものに声を失う。ベッドに寝ているシアキが光の人型達に囲まれ襲われているように見受けられたのだ。


「ルルちゃん、どうし・・・え!何あれ・・」


 同じ光景を目撃しているフェンラは、すかさず邪眼を使い、シアキをこちらに引き寄せようとするが近くに見えているのに、あまりに遠すぎて目視出来ないそんな感覚を覚え邪眼での引き寄せを諦める。

 武装形態を第四段階目迄に一気に引き上げ、全身鱗に覆われ、羽根も生え、竜人としての完全形態二歩手前になり、躊躇する事なく部屋に飛び込もうとする。


「・・・シアキ殿待っているのじゃ・・グフ」


 部屋に飛び込もうとする、フェンラの首根っこを右手だけで軽い物を持つようにしして行動を阻止するレレ。


「そう考え無しに行動しないでくださいまし、トカゲ娘!」


 左手を最高硬度状態にして、ペタペタと廊下と室内を阻むようにある半透明の鈍色にびいろの膜に触れ、どんな術かを探る。


「コレがこの空間そのものを認識させないようにした原因ですわね。全く術の気配を感じませんわね。

 ただの硬質的な壁?いえ何処か違う気もしますが・・・まぁ~良いですわ。 あの者達は直ぐにお義兄様を亡き者にする気は無いようですわね。


 ・・何故、(わたくし)が劣等種を守ってるのでしょう・・・はぁ~面倒ですわね。

 そこの「ご飯を作る魔族の娘」、このトカゲ娘と他の全員連れて、反対側の部屋にでも入ってなさい。

 お姉様と(わたくし)以外、全員邪魔なのですわ。


 あと、入る前に扉は壊して閉まらない様にしなさい。

 それと、相手の術と思しき物が発動しても絶対触れない事。

 ここであなた方を傷物にしては、(わたくし)が、お義兄様の信頼を損ねますの、良いですわね、さぁ~分かったら行動なさい」


 軽くフェンラをラフェル目掛けて投げる。

 受け止めたラフェルは、指示通り行動した方が良いと判断し自室の扉を蹴破り破壊し全員に指示を出す。


「皆、ココはレレちゃんの言う通りに!。

 私達は今回役に立ちません。二人の邪魔にならいよう努めましょ、さぁ~私の部屋に入って!」


 その指示で全員室内に入り壊れた入口からシアキの部屋と廊下の様子を窺う。

 室内では眠っているシアキの体に次々と光の人型が触れ、その都度、ビクンと波打つようにシアキは跳ね上がっている。


「全く不愉快ですわね。お義兄様の命を得体の知れない者等に刈取られてなるものですか!」


 腰を落とし中腰になり掌に破壊術掛け躊躇する事なくシアキの部屋に向け放つ。

 廊下側の壁が一気に消滅するが、衝撃波等何もかも半透明の鈍色にびいろの壁に全て相殺吸収されてしまう。


 その光景を見ていると、レレは沸々と怒りが込み上げてくる。

 ただ廊下側の壁の一部が綺麗になくなり、室内が大きく見えやすくなっただけとなった。


「何ですの全く・・じゃ~今度は、その空間そのものを切り裂いてあげますわ」


 数分、半透明の鈍色にびいろの壁にレレは自身が使える最強の術や技を考えられだけ撃ち込んでいるが亀裂一つ入らない。

 全員ただその光景を見守る事しか出来ない。


 最後の光の人型がシアキの体触り終えると、全員シアキの額に吸い込まれるように消えていった。

 そのシアキの部屋で起きていた現象が終わったと同時にリムは目を覚ます。

 相変わらず体を覆う半透明の向日葵色ひまわりいろの物資はある状態だ。


「ご、しゅ、じんさま・・・」


 目を覚まし辺りを見渡すが誰もいない、ここが先程まで居た台所では無く、リビングだという事は分かる。

 そして主人との感覚共有が全く感じられない。

 また恐怖で気を失いそうになるが、今回は、頭の中に直接微かだが主人が誰か大勢と話している様な声が聞こえてくる。


(・・・・・・・・・・)


 内容は聞き取れないが、リムは何故か今すぐ主人の下へ行かなければならないと言う気持ちになる。

 立ち上がり、自分の体の異変を気にも留めず、少しふらつきながら主人の部屋に向かう。


 主人の部屋の前で主人の仲間達が全員屯し、部屋を覗いている。

 部屋に近づくにつれ、主人の声が鮮明に頭の中に入って来るようになった。


(あ~五月蠅い、いっぺんに話すな!・・・!。

 俺に何の用だ?・・・はぁ?危険因子・・説明しろ・・・そっか高次元生命体かお前等・・・・・って俺一人・・為に、・・・・そん・・・な人数・・・か・・を・・・)


 内容は所々しか聞き取れないが。主人が得体の知れない者達に囲まれているのが分かった。 一刻も早く主人の下へ行き盾とならなければと強く念じながら、奴隷である自分が何やら真剣に事を行っている神族二名に対し急に声を掛け邪魔をしてよいモノかと迷いながらも、意を決し声を掛ける。


「あの~」


 その声に反応し全員リムの方に振り向くと、半透明の向日葵色ひまわりいろの物資に覆われたリムが立っていた。

 不思議とその姿が見えているのに、そこに誰も居ないのではないかと思う位、気配を全く感じない。


(ん?リムか?・・てかお前も念話使える様に?あれ・・・)


「あ・・ご主人様」


 自分の名を言われ声を出して心で念じたのと同じ言葉で返事をする。


(ん・・・その驚き方は使い方が分からないのか?。

 いつ覚えたんだ・・まぁ~いいや、リム、頭の中で俺事を念じながら話すんだ)


 これは決して念話などではない。

これは奴隷の習熟度が上がった為使える能力で、念話に似ているが、奴隷の考え事を、奴隷使いへ任意のタイミングで盗み聞きさせると言う物だ。

 本来は奴隷使い側から使用は出来ないのだが、シアキの場合、全ての感情を奴隷にも分け隔てなく回線を開いている状態であるので偶然回線を両者とも開いている状態なので成立したのだ。


(ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様)


(あ~分かった分かった、そんなに念じ無くても聞こえてるぞ。

 てか俺は今、自分の精神世界に居ると思うだが?。今お前は何処に居るんだ?)


 声を出し、今現状見たままを部屋に向かい、リムは話し出す。


「はい、今ご主人様の部屋の前に居ます」


純粋なリムは嘘が付けないので心と言葉が直結しているのであると言う事は気付いていないようだ。


(部屋の前か・・・・・って何だ!クソ・・お前達少し邪魔するな。

 クソ、容赦ないな~コイツ等、そうやっていきなり攻撃してくるな・・理由位ちゃんと説明てから攻撃してもい・・しまいに怒るぞ。

 クソ、すまん、リム話は後だ。

 取敢えずコイツ等を何とかしないと落ち着いて話も出来ない・・イテ!何だこの世界でもダメージは受けるのかよ・・・・。

 リム、ルルに助けを求めてくれ・・・頼んだぞ・・・少し話しを終わるぞ。逃げるのに専念する・・・・)


 戦闘し逃げながら話しているそんな印象を受ける。

 今の主人の状況を仲間に伝え助けてもらわなければいけないと感じる程であった。


「ルル様、ご主人様が、高次元生命体と言われる者と戦闘をしてます。

 ご主人様が負傷をされてます。どうか助けてください」


 それを聞き、肩で息をしてながら座り込んでいたルルは立ち上がりレレと協力し、再度室内に入る事を拒む壁に全力で殴ったりし何とかして入ろうと試みている。

 どう見ても部屋に入るのは困難な状態で、且、緊急事態と思われるので、リムは自分の中に居る神に助けを求める。


―― 神様、神様お願いです。ご主人様が、大変なんです助けてください。


 今リムの中にいる神は、自身の精神空間を快適にする為作業をし疲れ果て休息をとっている状態である。


『ふぁ~何だえな・・休息中は、わっちの回復中だと教えだえ~・・あまり話し掛けないで欲しいだえ』


 視界にリムの姿を模った神が、欠伸交じりで眼を擦りながら現れる。


―― 神様お願いします。ご主人様が大変なんです。


『何だえ・・・って!お主なんて物を身に纏わらせられてるだえ!。

 ちょっと待つだえ・・・・・・フム、大体分かっただえ。


 わっちの世界でようやく見つけた逸材を、わっちの知らぬ間に勝手に消そうなどと目論むとは許さないだえ。

 取敢えず、一刻を争うだえな!そんな無駄な事をせず備えよっとだけその者達に言い、さっさとお主は主人の部屋に入り主人の下へ行くだえ、急ぐだえ』


 言われるまま、一言だけ伝え部屋に入る。


「神様が「一刻を争うので、そんな無駄な事をせず備えよ」と仰ってます。

 私は部屋に入らなければなりません、前を通ります・・失礼します」


 自分達の前を頭を下げながら何の抵抗も無くリムはシアキの部屋に入っていく。

 もうこのパーティー内で頼れるのは、この子とその中に居る神だけだと全員は悟り、言われた内容通り、ルルとレレは肩で息をしながら、その場で座り込み回復に専念する。

 ただ、全員シアキを無事にリムに連れられてこの部屋から抜け出てくる事だけを願いながら成り行きを見守る。


『よし、主人の頭以外の生身部分に触れるだえ。

 ちょ~っとその際、お主の主人の身が傷を負うが、触れるまで躊躇せずやるだえ。

 さもないと、傷が無駄に深くなるだけだえ、分かっただえか?。さぁ~早く触るだえ、一刻を争う緊急事態だえ』


 奴隷が奴隷だけの意思で主人の体に故意に触れる事はいけない事である。

 だが緊急事態である事を考慮し最大限奴隷でも譲歩できる主人の生身個所を瞬時に選定する。


「え!・・ご主人様の生身・・・手でも宜しいでしょうか?」


『お主念じながら喋るのを忘れてるだえな、まぁ~その方が良いかもだえな。

 お主の仲間達にもお主の声が聞ける方が安心するだろうしそのまま声を出して喋るだえ。


 頭以外なら今は兎に角何処でも良いだえ、手で良いだえ、さぁ~触れるだえ』


「はい、神様。ご主人様、手を握らせて頂きます。失礼します・・・」


 自身を覆っている半透明の向日葵色ひまわりいろの物資が主人の手に触れた瞬間、手がみるみる傷まみれになっていく。

 奴隷が主人に傷をつけてしまった事に恐怖を覚え慌てて手を離し、その場にひれ伏し謝る。


「すみません、ご主人様お許しください」


『あ~言っただえ、少し触る際傷付くと、大丈夫だえ、お主の主人は今精神世界で出られなくなっておる起きて怒る事は出来ぬだえ。

 それにこれ位の傷はすぐに治せる者が居るだえ。 心配せず思いっきり握るのだえ』


 頭を上げ肉叩きで何度も殴ったようになった傷まみれで血が出ている主人の手を見てガクガク震えだす。


『良いかココはお主が触れなければならぬのだえ。

 わっちがお主の体を支配し触っても、お主の主人の精神世界に割り込めないのだえ。

 早くせぬと主人が本当に死んでしまうだえよ、それでも良いだえか?さぁ~目を瞑ってでも良いだえ握るだえ』


 ゴクリと生唾をのみ、女の子座りをしベッドの上にある血まみれの主人の手に恐る恐る自身の手を近づける。


「ご主人様すみません・・・・」


 半透明の向日葵色ひまわりいろの物資が主人に触れ再度手から血が噴出する。離したくなるが、主人の生命が掛かっているので今度はそのまま押し進め手をがっちり握る。

 それに合わせて、シアキの体から、リムと同じ半透明の向日葵色ひまわりいろの物質が滲み出て体を覆い始める。


『よしこれで取敢えず同じ空間を確保する事が出来ただえ、今度は主人の額にお主の額を当てるだえ。

 これで、わっちがお主の主人の精神世界とお主の精神世界を繋ぎ、わっちが割り込むだえ。

 わっちが戻るまで、絶対に額を離さず固定しているだえ、もし途中で離すとお主の主人の頭が破裂するだえ分かっただえな。

 もし離れたらすぐに合わせるだえ良いだえな』


「ひ、ひ、額と額ですか・・・・そんな離さず・・」


『早くするだえ、のんびりしてると、先に入った連中に本当に存在を抹消されてしまうだえ』


「わ、わ、わ、わかりました・・・うぅぐぅ、失礼しますご主人様・・」


 膝立ちになりシアキの額と自分の額をくっ付ける。

 その瞬間リムの額からシアキの額に光が流れ込みシアキの体躯がビクンと跳ね上がる。

 そしてリムはそのままシアキの頭を両手で抑え、自分の額が離れないように固定する。

--- 75話目のみの後書き----------------------------------------

75話目最後まで読んでくださりありがとうございます。

どうでしたか?楽しんで頂けたならうれしいですが。


では、次76話目で、お会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ