お好み焼きパーティー
エプロンを装備し、お好み焼き作りスタートです!
材料の下準備はすませてくれているので、まずは生地づくりから。
市販のお好み焼き粉があれば楽チンだけど、ないので水にお出汁、割り戻した卵を混ぜ、そこにふるった薄力粉を加えて混ぜ合わせます。ダマがなくなめらかになるまで混ぜましょう。
キャベツや青ネギなどを加え、あとは焼くだけ。
「はじめはシンプルに豚バラかなぁ?」
「やっぱそうだろ!」
お好み焼きが楽しみ過ぎて、待ちきれないクルトが身を乗り出してくるのが邪魔なのでちょっと押しのける。
熱したフライパンに油をしき、生地を流し入れた。
正直、この時点で周囲の反応は芳しくない。
異世界転生組は期待に顔を輝かせているが……お好み焼きを知らない面々にとっては「なにあれ、ドロッとしてる……」「食べるの、あれ?」と不安を抱かすビジュアルなのだろう。
ふふふ、あとで思い知るがいい……と形を整え、焼いた生地に豚バラをのせてヘラを両手に装備。
ここが1番の見せ場です。
「ちょっと離れて」
瞳を閉じて、全集中。
ここで失敗をするわけにはいかない。
別に形が崩れたって美味しく食べれるが、なんせ人前。自分で提案しといて、これだけの人たちの前で失敗するのはちょっと恰好わるい。
ひさびさだから緊張もひとしお。
気持ちを整え、一息吸ってからかっと目を見開いた。
両手でヘラを操り……見事、きれいにひっくり返った。
おおっ、とひびく歓声にこっそり胸を撫で下ろしつつ、お肉がこんがり焼けるのを待ちます。
そしてもう1つの見せ場。
こんがりいい色に焼けたお好み焼きたちに向け。
「お好み焼きソース!!」
指からびゅうぅぅっとお好み焼きソース発射。
多めにかけたソースをハケで伸ばし……。
「マッヨビィームッッー!!!」
出力を細口にしたマヨビームを美しい模様を描くように発射していく。
これほどマヨビームの見せ場を作れる食材もそうそうない。
そして横でマヨラー勇者が「マヨ多めで!俺のマヨ増し増しでお願い!」と大興奮しててちょっとうるさい。ご希望どおり多めにしてあげた。
「これがお好み焼きなのか?」
「そうですよ。これは基本パターン。お肉増し増しにしたり、海鮮いれたり、焼きそばいれたりなんてのもあります。なにせ“お好み”焼きですから。うちはいか天派だったけど、生地に天かすいれたりとか」
興味深そうにお好み焼きをじっと見てくるグリオンたちの前でカツオ節をふりかける。
港町で手に入れた一品だ。ミケルたちにあげたら大喜びしそう。
「生きてるっ……!エマ、これ生きてるよ」
「……踊ってる」
出来立てアツアツのお好み焼きのうえでゆらゆらと踊るカツオ節に、ソルトもグリオンも釘づけだ。
「生きてないですよー。これはカツオ節っていってお魚を乾燥させて削ったもの。湯気によって踊ってるみたいに見えるだけ」
青のりをさらに振りかけながら、「食べてみる?」とカツオ節を差し出せば恐る恐る口に入れた。気にいったっぽい。
「さ、どうぞ召しあがれ」
切り分け、お皿に盛ってそれぞれに差し出す。
エマも食べたいところだが……なんせ人数が多い。
手本を見せたことでお手伝いの数人も焼きに加わってくれたが、まだまだ食べるのに集中できそうもなかった。
「う~私も食べたいぃ」
みんなが先程の疑わし気な表情から一転、「おいしい!」と声をあげているし、そばでマヨラー勇者ことクルトやラウムがおかわり連発しているからなおさらだ。
ラウムなんて尻尾がフリフリしててけしからん。
触りたくなるじゃないか……。
ヘラを両手に恨めし気な声をあげれば、新しい皿を手にしたミレーヌが寄ってきた。
「エマさん、これよかったら……」
そういって箸で小さく切ったのをあーんと口元に差し出してくれた。
「ミレーヌちゃんっ」
その優しさに感動しつつあーん。
他のみんなもミレーヌちゃんの優しさを見習うといい。
特におかわり連発してるやつら。
「おいしぃ」
「はい。とっても美味しいです。お肉もこんがりで生地もふわふわ」
手を動かしつつ食べさせてもらい、ある程度全員に行き渡ったところでエマも食べる側へとまわった。




