めっちゃ美ショタ
その場の人たちの眼球をかっぴらかせたり、心臓を飛び出させそうになったりしつつも同盟は無事に結ばれた。
「この同盟が保たれ、世界が平和であることを心から願っているよ。君たちの尽力に感謝する」
「「「はっ」」」
頭を下げられたエアリスが穏やかに微笑する。
本当に神々しいほどの美形だ。
信仰深いお年寄りや、一部若いお嬢さんたちなら気を失いかねない程に美しく神々しい。
…………が、それをものともしないのがエマだ。
「それじゃあ」と帰ろうとしたエアリスの服をむんずと掴んで留める。
「なに帰ろうとしてんの?」
「え、だって……僕の役目は終わっただろう?」
「役目は終わったけど、まだやることあるし」
まるで友だちのように自然に話す姿に周囲はあ然。
普段から電波通信の様子を目にしている勇者パーティはともかく、魔族らは仰天しているし、トムたちに至っては畏敬の目で見ている。
「やること?」
不思議そうに首を傾げるエアリスは、やっぱり普通の兄ちゃんにしか見えない。ものすっごく美形だけど。
理不尽に天罰くだしたりしないし、性格これだし、そんな怖がる必要ないのになー……とエマは思う。
ちょっと頼りないけど、横暴で傲慢な神様よりもずっといい。
なんだかんだでエマはエアリスのことが結構好きだ。
「そ、ほらとっとと小さくなって」
周囲が止めた方がいいのではないか?とハラハラするなか、要求を突きつけた。
なお、小さく……というのは姿のことだ。
エアリスがその姿を変えることができるのは事前に確認済み。
わけがわからないながらも従うエアリス。
青年の姿がどんどん縮み、ソルトやグリオンよりも少し幼いぐらいの少年に。
「おおっ、美ショタ」
「ショタってエマ……」
キラキラの美ショタに「かわいー」と目を輝かすエマにクルトがさすがに突っ込んだ。
「じゃ、行こう」
自分より低い位置にあるエアリスの手をつかみ引っ張る。
「え?え?行くってどこに?」
「外。今日はお好み焼きパーティーだから。……あれ?言ったよね?同盟のあとで食事するって」
「言ったけど……僕も……?」
幼くなったせいで大きな瞳を見開き、小さな手で自分を指さすエアリスにうんと頷く。
「だから姿変えれるの?って聞いたんじゃん。さすがにいつもの姿じゃみんなビックリしちゃうだろうし。エアリスいつも言ってたでしょ。「楽しそう」とか「いいなー」って。この姿なら平気でしょ。そういうことでいまはエマちゃんのお友だちの“エアくん”ね。みんなもよろしく!」
ぽかーんとしている一同を振り返り、「ほら、早く」と声をかける。
「なにぼっーとしてるんですか。外でみんなもう準備はじめてくれてるんですよ。早く行かなきゃ。ソルト、ソルトも人化して。そっちのが食べやすいでしょ?」
きゅっ!
声とともにソルトも少年態に変化する。
「お好み焼き」の単語にクルトも「早く行こう」とレオンの背を押し出した。
ほらほら、早くとみんなをあおり部屋を出たところで、扉の前で待機していたキールがにこやかに声をかけ……エマに手を引かれているこどもの姿に固まった。
入室時から控えていたキールだ。
部屋に入ったメンバーも把握している。
突然あらわれた美少年、主であるグリオンたちの態度がどこかぎこちなく……なにより、会ったことはないはずなのにどこかで目にしたことがあるような類まれな美貌。
ぎ、ぎぎ……壊れたブリキ人形のようにエマへと顔を向ける。
「…………エマさん……そちらの御子様は、もしかして…………?」
冷や汗をながすキールにエマはにっこりと、それはもうにっこりと微笑んで一語一語強調して口にする。
「この子はエアくん。エマちゃんのお友だちの“エアくん”だよ。「こんにちは、ぼくエアくん。よろしくね」」
エアリスの手を持ち上げ、声色を変えて自己紹介。
わかった?とばかりに微笑めば、ギクシャクと頷かれた。
弟のトートが「エアくん?ぼく、トート」と話しかけるその肩を不敬をしないように両手で押さえつけている。
キールくんは空気が読める賢い従者なのです。
「よぉ娘っ子。準備は万端じゃぞ!」
「親分、姐さん、お疲れさまっす。準備はできてますだ!」
「キャベツはもっと切りますか?」
広場に出ればカイジンの用意した鉄板がずらりと並び、山盛りの荒くみじん切りされたキャベツ、ほかにも様々な材料などが準備されていて次々に声がかけられる。
「お待たせ、お好み焼きパーティーはじめるよー」
おおっー!!!と歓声が広場へと響き渡った。




