矛盾
「これは予測に過ぎないが、彼は……世界を一から作り直そうとしているかもしれない。」
静かな部屋のその言葉だけが鮮明に響いた。
「……どういう意味ですか?兄上」
そう、アルゼルトの問いかけに対し彼は、思い出すかのように答えた。
「聞いたことはないか?昔、闇の王国で、言い伝えられていたらしい噂話みたいなものだが……全ての国の王を生贄に捧げると……闇の王国を原点に世界を一から作り変えることができるという言い伝え。」
「私も何も……」
アルゼルトにも問いかけるように覗き込んだが、彼も分からぬようだった。
「そうか。まぁ、これはかなりマイナーな伝記の話だからな。」
「はっはぁ……しかし話の割に嬉しそうですね。兄上」
「そりゃあ、まぁ、弟に会えているからな……そんなことはさておき…‥本題はここからだ。」
そう言うと、先程までのにこにこの顔つきから一変した。
「この話には続きがあるんだ。その儀式を行える場所は、光の王国。…‥現スアエ王国なんだ。」
「なるほど……儀式を行うために、私の王国を占領したと……」
そのメリエムの呟きが部屋に響き渡る。
「そういうことだ。理屈は通じるだろ?」
エダーニは自慢げに微笑む。アルゼルトもメリエムも理屈は、通っているため納得せざるを得なかったしかし……
「あの……疑問なんですが、闇の王国というのは、スアエ王国の逸話では、光の王女により滅んだとされています。闇の国の王女は一人っ子であり、子孫も残さず亡くなり血族はいないはずです。……その話を取り込むのであれば闇の国の王は不在であり、王を生贄に捧げると言うのはできないのでは?」
その鋭い気付きに、自慢げだったエダーニの顔も曇った。
「そうなんだよなー。さっすがメリエムそこなんだよー」
先程の余裕な表情は、一変崩れ落ちるかのように声を上げた。
「ああ、あの逸話か。確かにそれを踏まえて考えると理屈が通じない。」
アルゼルトはそう納得したかのように頷く。そして
「となると……闇の王国の血族は実はいた?……と言うことか……?」
エダーニは、アルゼルトの呟きに頷き続ける
「ああ、今の線、闇の魔道士ダークエーがいい線行っているとは思う。しかし、もし、世界を一から作り上げるという説が書いてある伝記、あれを信じるとあいつの使う闇の魔法……実は、闇の王国の王女、王様がつくっていないんだ。その使者だそう。」
空気が一層重くなった。訳もわからない問題を解き続けるように。
「……血族が……隠れている」
そのメリエムの声は、はっきりと響き渡っていった。




