何故
「やっぱ届かないか……」
と改めて実感している時、手を差し伸べている手と反対側の手が、誰かの手によって強く引かれた。
「!!」
振り返ると……キラスだった。?何でキラスの体温を感じるんだ?いつもなら……体温感じないのに?し……なんか?雰囲気が違う?
「……きっキラス?」
そう声をかけると……
「……?えっ?」
「はっはい?」
キラスは何故か手をギュッと掴んでいる。?痛い。跡がつきそうだ。でも……何で?何で?困惑していると……キラスは小さく口を開いた。
「戻って来たら部屋にいないし……瞬間移動でセネアのところ来たと思ったら……居なくなっちゃう気がして……」
とキラスは言った。やっぱり。最近キラスと関わっていると分かる。キラスは何か過去のことと、無意識か意識してか分からないが重ねているのであろう。まるで……本当の子供のようだ。
「大丈夫。私は……今は死なないよ。絶対。でも…… 死ぬことは誰でも可能性はある。絶対なんて今しか約束できないよ。でもっ……心配しないでよ。」
そう言っても効果はないようだ。
「キラスはそれよりさ、何でキラスの体温を感じるの?包帯を巻き直してくれた時は感じなかったけれど……」
「……あっああ……。えっと……実体を持ったんだ今。なんか……消えちゃいそうに見えて……」
とキラスは下を向いて答えた。
「何言ってるの?私はそんなに、か弱くないよ。消えるなら……もっと豪快に消えたいなぁーねっ!キラスもそう思うでしょう。」
本当は豪快に消えたいとは思わない。心配されず……花が散るように消えたい。それが本音だ。だが、それを言うとキラスにはダメな言葉だと思った。
「まぁ……セネアはそうだよね。何でもない。いつも通りにする!セネアの間抜けな面見たらなんかどーでもいいやっ!」
「じゃ、寝ようかなぁー。キラス!恥ずかしいお願いなんだけれど……私が寝付けるまで一緒にいてくれない?」
キラスの先程の雰囲気を忘れさせるため、元気に話しかけた。別に、夢が怖いからってわけじゃない。……ただ、一人でいるとさっきのことを思い出しそうで、少し落ち着かないだけだ。ここ大切。怖いからじゃない。ついでだ。正直キラスに寝顔を見せることは……少し不満があるが、頼れるのは生憎、キラスしかいない。
「んー何で?」
「まぁまぁ……キラス。私が消えないか心配なんでしょ。だったら見といてよ。消えないから」
「……分かったよ。」
よしっ!どうにかしてでも理由つけてよかった。キラスも珍しく意見を飲んだな。ラッキー!計画通り!……キラスのことについて深く関わろうとも、探ろうともしない。分かってもどうしようも出来ないし。だからこうやっていつものキラスにするのが私に出来ることだ。
「はい。……セネア。ベッドだよ。」
「ああ、瞬間移動ってやつ使ったのかな?まぁ良いけれど、おやすみキラス!」
いつもは言わないが、夢が原因で、怖いためギリギリまで明るくいたかった。あと、誰かが近くにいることを感じたかった。
「……おやすみ」
キラスは小さい声でそう言った。
____こうして長い長い1日は終わったのであった。




