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抱える思い



暗い。視界が真っ暗だ。音もない。何もない……声が微かに聞こえた。声がする方へ無意識に歩くと……前世の友達がいた。楽しそうにしている。久しぶりで無意識に口元が上がる。


「あっ!やっほ……」


私もそこへ行こうと歩み寄った瞬間……


「つっ」


体が急に動かなくなった。足が動かない。まるで足がないようだ……手を見てみると……


「あっえっ?」


手が、真っ赤な血の色に染まっていた。


「ヒュ」


息を呑んだ。友達は……気付かない。あぁ。私はあの世界にはいないんだ。もう。人に手をかけてしまった。あそこに入れないんだ。……寂しいな。そう思った瞬間……今まで戦って来た兵士が出て来た。みんな……血が出ているリアルな描写である。見たことのなかった姿……


「あっえっ?何でっ?」



だんだん周りの真っ暗な世界も赤く血の色に染まっていく……私の手も足も血に染まっていく……



「はっ!」



飛び上がるように起き上がった。まだ深夜静かな夜。キラスはいない。まだ帰って来ていないようだ。



「……夢?っ無駄にリアルなのやめてほしい。」



自分では……本当は分かっていた。これが夢なのは、でも最後まで見てしまった。これはしばらくは眠れなさそうだ。



「暗い部屋にいるには怖い。明かりなどあるところへ行こう。」



廊下へ出た。正直、怖い。早歩きで歩いている。幽霊を信じているわけではない。ただ……もしも……と考えると怖いのだ。だが問題がある。この時代だ。灯火は光ではなく、炎である。そんな中いるよりも……と考えてあるドアを開けた。



「やっぱり!」



ドアの先にはバルコニーがあった。月の光で明るい。



「こういうのがいいんだよねー」



と言い、柵の端の方へ寄った。落ち着く。別に真ん中だと後ろから誰か来そうからなんて思っていません。別に思っていません。



「綺麗ー」



月はこの世界でも綺麗だ。形は綺麗じゃない。三日月でもない。でもっ……好きだ。落ち着くような光だ。こうでもして何か考えていないと先程の恐怖を思い出してしまう。月を見て心を落ち着かせている中……後ろから物音がした。



「!!」



私は反射的に隅っこに縮まった。えっ何?やっぱ……お化け?刺されるの私?と恐怖に頭の中を占領されていると……近付いている音がした……なに?そう思い後ろをゆっくり振り向くと……



____メリエムだった。 えっ?何で?王女がここに?彼女は真ん中で柵に手を掛け月を見ると泣き出した。



「?!」



メリエムもしかして私がいることに気づいていない?どうしよう?……声はかけない。ただしれっと帰れ……ないな。ここで空気化するしかない。


「お父様っお母様っ兄様……」


「!!」


メリエムが泣いている理由分かった。第二部のボスに言われたからか。父と母、兄が殺されたのは何かのお告げだったのかもしれないって。本当は……死んでいないのに。でも彼女には分かんない。私が嘘だよって言えたらいいが証拠もないから私も何もいうことができない。……メリエムにとってはボスの言ったことが真実になってしまう。いつもはみんなを心配させないために笑顔でいたのでしょう。十五歳にしては荷が重すぎる。私も心が痛いよ。……泣くことは大切だ。泣けばいいと思う。でも、ちょっとここではやめて欲しかったなぁ。お願いだから私に気付かず終わりますように。



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