調子
「や~っと真面目王子いなくなった~」
とキラスがスッっと出てきた。神様休む時間というのはありませんのでしょうか。
「いないって、少し話していただけでしょう。」
でも、キラスさっき調子......様子が変で心配だったけれどよかった。いつも通りだ。安心。安心。
「もーう少ーし僕にも優しくしてくれてもいいんじゃなーい?力貸しているんだから。」
と、キラスは不貞腐れている。えっ?申し訳ないけれど、キラスに優しくってなに?こんな、狂気の塊にどう接しろと?この神は、何を望んでいるんだ?
「キラスにも同じ様に扱っているつもりなんだけれど......私っそんなつもりはなくて......」
これは本音だ。別に人によって......いや違うな。好き嫌いで態度を変えるほど私はわかりやすくない。キラス別に外から見る分にはとってもいい。イケメンだ。問題は、性格なだけ。他は問題ないのだ。
「!......あーっもう!そんな顔しなくてもっ......いやっ気にしないで。」
「ううん。気を付けてみるよ。私が無意識にしちゃっていたことだし。気にするよ。ごめんね。」
私はキラスの言葉にこう返した。やっぱり、なんかいつものキラスと違う。まぁ、私は知らなくてもいいことだ。
「あっ!セネア。落ち着いたら、また訓練しようか。技とか使えたらいいしね〜。致命傷も教えないといけないし……杖の使い方も……」
キラスは、先程の話題嫌だったのか話を変えた。何で?キラスから話して来たのに……まぁ訓練も話をするキラスは楽しそうだ。
「あーそうですねー。うん。わかった。」
私にとっては苦痛でしかないが。いやっ訓練が嫌なわけではない。なんて言うか……生きるためだし、頑張る。しかしキラスが指導。ここが苦痛ポイントなんだ。そこは勘違いしないでいただきたい。……でも死んだら意味がない。折角、このセネアも体を借りているんだ。もし……この先事情などで原作通りに動かないといけない……裏切らないといけない時、原作……セネアよりも役に立たないといけない。
「ねぇ、キラス。今どの辺にいるか分かる?」
もうそろそろ足が限界に近い。キラスが位置など分かるか分からないが、もしもに賭けて聞いてみた。
「ああ。今、あのー……アルベルトだっけ?あいつの故郷へあと六キロで着く。」
「……ん?キラス場所わかるの?何ならさっきの話聞いていたの?」
えっ?でもキラスは背後からスッと出てきたのに?
「うん。まぁセネア気付かなかったかもしれないけれど上空にいたよ。耳澄まして聞いてた。」
「えっ?何でさっき話している時言ってくれなかったの?聞いていたのなら言ってくれたら良かったのに。っていうか王子ってアルゼルトね。」
本当に。それがあったら正確だし、私の記憶を頑張ってほじくることもなかったのに……
「えー……声とか聞こえちゃうじゃん。セネア困るかなって。」
とキラスは、何ともない顔で言った。
「いや。キラスの声は実体持っていないと他の人には聞こえないんでしょ。いま幽霊状態なんだから、言えたでしょ。」
「まぁ。まぁ。」
と、キラスは呑気に笑っている。何だこいつ。人の苦労を……まぁ……人に頼りすぎるのも良くないが……合っているよとか言ってくれればいいのに。今まで脳の隅、心配でいっぱいだったんだけれど。
「皆さん。今日はこの辺で休みましょうか。」
と多分先頭にいるのであろうメリエムが指示を出し、止まったのは宿の前……
「えっ?」
あと六キロぐらいで着くのに……いや、足疲れているから嬉しいけれども。
「もうすぐ着くのですが、明日の朝行った方がよろしいと思うので……」
メリエムは私の心を読んでいるかのように言ってくれた。確かに!明るい時間に街とか見たいし。その方が良いかもな。と考えていると軍の人々がゾロゾロと宿の中へ入って行った。




