最高傑作
「こっち。」
と言われるままに着いて行った。
キラスについていくとそこは、船の上。つまり外だ。
「どうしたの?」
ここ、外に出てじっと私を見ているけど。何?怖いんだけど何するつもりですか?……と思いながらヒヤヒヤしていると
「左腕出して。」
「はっはい?」
急な言葉に驚きを隠せないまま、キラスの前に左腕を差し出すと、キラスは、はぁ。と大きなため息をついた。そしてキラスの右手から包帯をポンと出した。そして私に巻けと言うかのように差し出してきた。
「あのさぁセネア。怪我しているなら、処置隊の所行きなよ。ずーっとマントで隠しているけれど……ああ知ってるよ。王女と王子に心配させないようにしているのは。」
「あー……でもこの傷はあの時つけたものではないから。えーでも怪我しているとは〜気づかなかったわ!」
いーえ。嘘です。結構痛いし、覚えています。ただ処置するものがなかったことに気付いて、何も出来なかっただけです。決して処置をサボろうとしていたわけではない。もう一度言う。決して怪我の処置が面倒臭くてサボろうとしていたわけではない。
「どーせ助ける時、一直線に走ったからでしょ」
と、巻きながら言う私の回答に、キラスが冷たく答えた。
「……別に、助けたんじゃないよ。……よし巻けた!」
「まぁ、セネアがどう言う意図かなんて別に、どーでもいいけどって……それっ」
キラスは、出来立てほやほやの包帯を指差して、
「下手すぎない?」
と笑いながら言ってきた。
「別にいいよ。」
と何ともない、できる女風に返したが……実際はそうではない。結構ショックだ。これでも二回直しましたけど?っていうか笑うのは失礼だろ。こいつめ……。
「それじゃあ包帯の意味ないじゃん。しょうがない、僕がやってあげるよ。」
「お願いします。」
正直本当か、と思ったがあれだけ笑ったんだ。人の最高傑作を。これぐらい出来るよなぁ、私よりも下手だったらぶん殴るからな?という意志を込め普段は断るところも受け入れた。私は、大人気ないんだ!
「……」
沈黙が続く。正直……失礼なのは分かっている。でもキラスって怪我の処置できるのか?まず怪我するのか?この神。と一人でツッコミを入れていると……
「ねぇセネア。さっきさ、役立たずの兵が言っていたんだけれど……セネアが助けたのはアルゼルトに近寄るためだって。」
「……ん!?」
澄ました顔をして爆弾を放り込んできやがったコイツ。
「僕さ、ちょーっと腹立ってさぁ。もし、セネアが望むならそいつら殺す?僕セネアのこと気に入っているし。」
「……はい?」
澄ました顔をしたまま、さらに爆弾が放り込まれた。




