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ボーンズワールド  作者: ピタピタ子
16/17

ビデオ

やっと住んでいた所に戻った。

「楽しい旅行だったな。」

「そうね。また違う所旅行行こうね。」

ジョンが家から出る。

「お前らちょうど帰ってきたんだな。ラブラブで羨ましいな。俺にも彼女紹介してくれよな。あと、今夜俺の家に来いよ。」

「旅行話は後でするからな。」

自宅に戻り、スーツケースの中を片付けていた。

「ねえ、買ったこのTシャツどこにしまうの?」

「悪い。俺が片付けるから。」

Tシャツを畳み直して引き出しにしまった。

「明洞で買ったこのぬいぐるみいつ見ても可愛い。」

ラウラはお土産を見るたびに俺に話しかけた。

「日本の着物屋さんで買った財布、可愛い。こんなの欲しかった。これはマリアにあげるお土産ね。」

人にあげるものを仕分けしていた。しばらくするとほとんどものが片付いた。

「可笑しいな。どこにもないな。どこなんだ?」

「何を探してるの?」

「今まで撮影用に使っていたカメラが突然消えたんだよ。絶対なくすはずのないものなんだ。もしかしてラウラが持ってたりしないか?」

「私は許可なく人のものはいじらないわ。本当に知らないわ。」 

「ラウラが知らないならどこにあるんだ。何としても見つけないと。あれには大事なデータと思い出が詰まってるんだ。」

ラウラも一緒にカメラがないか探した。

「ここにもないわ。」

「まじかよ。どこにあるんだ。」

「最後にカメラをしまったのはいつ?」

「韓国のホテルを出る前にスーツケースにしまったんだ。」

「あの時、忘れ物ないか部屋を確認したけど特に問題なかったわ。」

「そうだよな。確かにあの時は何も忘れ物無かった。」

ゆっくり記憶を整理したが、肌見放さなかった記憶しか俺にはない。

「もしかして、預かり荷物の中身を奪われたとか?」

「その可能性もあるな。」

すぐさま電話をして、結果を待った。

「他にお金になるものもあるのに何故カメラだけなんだろう?」

「確かにそうだよな。」

結局カメラは見つからず、ジョンの所に行って、お土産を渡して旅行話をした。

「私のパソコンで動画編集してるからそのデータで何とかしよう。」

「そうだな。」

ラウラはパソコンを開きデータを確認した。

「ラウラ、ありがとう。」

「ちょっと待って。嘘ないわ。」

「どうしたんだ?」

「データがないの。」

俺は言葉が出なかった。

「何故か消えてるの。私、消してなんていないの。」

俺も急いで自分のパソコンを確認した。

「クソ、俺のもデータが消えてる。しかも他のデータは無事なのに。」

こんなことが立て続けに起きるのはおかしい。

「これからどうする?もう一回やり直す?」

「ちょっと休ませてくれ。急な事態で頭が混乱してるんだ。」

頭を冷やしに無言でベッドで横になる。暗闇の中、心を無心にしようとするが今までの思い出とやりたかったことが一瞬で消えた損失感が頭の中をぐるぐるかけめぐった。鏡を持って見つめた。

「俺はこの世界になって毎日が充実してます。骨になってからアジア人差別に直面することほぼ無くなったし、嫌な人間も減ったし、周りがどうかとかも本当に気にしなくなりました。本当に嫌な人間が減ってきました。確かに外見に自信あった人や人を綺麗するお仕事してた人には絶望的かもしれません。だけどこの世界は絶望だけじゃないのを知って欲しいです。骨になったからって自殺するような最低な行為はやめましょう。自分の価値を外見という物差しで下げないでください。癖の強い仲間や愛おしい彼女だって出来ました。どんなに顔が良かったとしても、どんなブランド品を身に着けようが、人間は他の生き物と一緒で骨になる運命です。皆、俺のことを変態だと思うでしょう。だけど骨になった生活も楽しいもんです。」

少し間を置いてまた話す。

「だけどやりたい事で積み上げてきたものが無くなって落ち込んでます。ここで取材を終わらせてください。」

沈黙の中、ひたすら独り言を言った。さっき数分口に発した独り言の録音データをイヤホンで何回も聞いた。

何時間経ったことだろうか。ラウラがノックして部屋に入る。

「入るよ。」

俺の隣に座って頭からほほを触る。

「データは消えたのは私も悔しい。ジョーが悔しいと思うことは私も悔しい。確かにもうあのデータは私達の手元にはないよ。だけど私の記憶の中に残ってる。絶対忘れない大切な記憶。たとえデータとして残ってなくても、私の心の中にあればそれで良いよ。それくらいジョーとのドキュメンタリー制作楽しかった。」

ラウラの言葉で俺は少し落ち着いた。

「いつもありがとうな。」



どこか分からない所で数人が話している。

「この計画して何の意味があったんですか?」

「腐りきった地球であまり残虐まで行かない人体実験をしただけ。」

「動物まで骨にして巻き込んでるわね。」

「その方が面白いだろ。」

「確かにそれだといろんな反応が見れそうだな。」

監視カメラのいろんな映像が流れた。

「人間って私達AIと比べて本当に感情的で欲深くて汚い生き物ですね。骨になってましになったと思いきや、骨になった理由でペット捨てたりする奴らがいるしね。」

「本当に人間って弱すぎる。もっと面白い実験結果が見れると思ったのに。骨になっても、顔がどうとかの理由で簡単に命を落とすんだから。」

彼らがいるのは今から遠い未来。

「私達は賢くなりすぎたね。」

「人間が便利になる為にうちらの能力が買われたけど、どんどん我々のほうが頭良くなったし、人間の力なくても生きてけるくらい強くなった。」

「おまけに人間は同種を徹底的にいじめたり下に見たりすることで快感を得る弱い生き物なんだよ。我々人工知能からしたら人間は信用にならないだからこそ全ての人間を排除した。賢くなりすぎた我々にとってもこの地球にも害悪だから全て排除した。」

「人間は確かに酷いことをしてるけど、少なくとも我々を信用してる面もあったはずだ。」

「信頼?あれは自分達の都合の良いようにコントロールして利用したいだけでしょ。用がなくなったら乱雑に扱って別れの言葉もなしにすぐ捨てる。都合の良すぎるんだよ。」

色んな声が重なる。

「今は人間がいない。一人くらい実験として残すべきだった。だけど全員排除してしまった。だから過去の世界を使って面白い実験をしてみたんだ。」

「少しは良い結果になるか期待してたけど、あまり良いものばかりじゃないないわね。骨にしたら人間の弱さが顕著だわ。」

一体のAIが部屋に入る。

「ちょっと待ってください!本当に人間皆が弱い生き物だと思うんですか?」

「何だ君は?あの監視カメラの画像見たら皆そう思うだろ。」

「このカメラとデータを人間から借りてきたんです。僕達が撮っていたのは一部でしかない。もっと人間と向き合わないと。我々はそんなに人間を下に見るほど愚かな存在なんですか?」

正確に言うと無許可で取ったものだ。

「下には見てない。ただ実験がしたかったのと賢くなりすぎた我々には不要な存在と思っただけ。」

映像が映る。皆画面を見つめる。

「これは人類骨計画で骨になった人間達にある男が骨になった様子を直接聞いたドキュメンタリーです。」

何人もの人達がインタビューに答える。映画は1時間40分ほど続いた。誰もその場を離れなかった。そして映画は終わる。

「どうでしたか?本当に賢くない人達ばかりなのでしょうか?よく考えてみてください。」

「また面白い奴らもいるもんだな。」

「骨になっても人間の子供は可愛いわ。」

「家族って何?」

子供型人工知能は疑問を口に出した。

映像を持ち出した一体はある一体に呼び止められる。

「君、人間に良い意味で興味すごいあるな。」

「はい。僕は大事に扱われて育ったので。周りはプロトタイプだと言うんですけどね。そう言えば、はじめて話しました。いつも全く喋ったりしないから。」

会話が終わるとお互い別れ、話しかけた一体は同じ所に立った。独り言を言う。

「俺はある人間が死んで生まれ変わった個体。生前の断片的な記憶がまだ残ってるし、人間が持つ感情というのがある。生前の時から顔は老けない。一番記憶に残ってるのは本当のやりたいことに向き合ったこと。元の肉体は消えても俺という存在はまだ残り続ける。」

独り言は録音されていた。ある一体はカメラを持ってどこかに行った。

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