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ボーンズワールド  作者: ピタピタ子
15/17

旅行3

飛行機が目的地に着いた。俺達はチェックアウトをして荷物を取りに行った。

「写真撮ろうよ。」

「そうだな。」

ラウラとセルフィーを撮った。仁川国際空港を出て、列車に乗ってソウルまで行った。ネットで予約したホテルに荷物を置いて、そのまま観光に行った。人が多いエリアだが日本と同様韓国も骨になってからかなり落ち込んで何も出来ない人や心が絶望して空っぽの人がそこそこいた。前見た明洞よりも活気がなくなっていた。

「あそこの可愛いお店見ない?」

「良いよ。」

それでも女性が好きな可愛い雑貨などはちゃんと生きている。ラウラは文房具や小さなぬいぐるみを買ったり、1着お気に入りの服を買った。中々手に入りやすいものもあって彼女はすごい楽しんでいた。

「こんなに可愛いものだらけなんていつ行っても楽しい。」

俺はそう言うものにすごい興味を持ってるわけではないが、喜んでいる彼女の姿を見れるならいつでもつきそえる。

ラウラと景福宮に入った。韓流ドラマの撮影でもよく舞台になる所だ。李氏朝鮮王朝の時に建てられたソウルで大きな建物だ。光化門は写真を撮ってる外国人が多く、いつ見ても迫力がある。

「もしかしてジョーのルーツはここの王族かもね。」

「それは一番ないと思うな。」

「そう言うと思ったわ。」

ラウラは少しふざけて笑っていた。景福宮を出てしばらく歩いてると、景福宮の近くにある北村韓屋村に着いた。

「何ここ!すごい!」

日本にいた時のように何を見ても感激した。他のエリアと比べると英語表記されるような看板まで韓国語表記されていた。

「改めて見ると綺麗だな。」

「こんなに生きてるのにまだ見てないもの、聞いてないもの、知らないものがたくさんあるね。どん底に落ちた時は自殺も考えたことあったわ。私、自他ともに認める根暗だから、少しのことで傷つきやすかった。でも日本で見た景色や韓国の景色を見て生きてて良かったと思う。」

「俺もアジア人で時々ヘイトクライムに巻き込まれながら生きてきたし、自分のルーツに対して嫌気が差した時あるし、自分も他人も大切に出来ない時期があったけど、大切なラウラとこうやって旅行してるとこっちも生きてて良かったと思ってるよ。」

通りにある木に二人の名前を入れたキーホルダーをぶら下げた。ハングルで動かさないでと書いた。

「10年後またここに来て、この木の近くで写真を撮ろう。また新たにキーホルダーをここにかけよう。」

「その時は少し顔立ち変わってるかもしれないわ。どうせなら私が旅行する所に私達の名前の入ったキーホルダーをかけようよ。」

「もちろんそうしよう。だけど骨だから見た目は変わらないだろ。」

現代人が写真を取るのは自分の生きていた証拠を後世に残すためだろう。肉体が消えるのなら、せめて自分が生きていた証拠は誰だって残したいものだ。そんなことを普段考えなくても、人間は心の奥底でそういう考えがある生き物だ。歴史的な建物も自分達の生きてた業績を後世にアピールする意味もあったんじゃないかと考える。

「俺達が訪れた証拠が残せるならそれは嬉しいもんだな。これからはそうしような。」

彼女をゆっくり抱きしめた。

サブカルチャーの街、弘大に訪れた。骨になっても路上ライブしてる人やアートがあふれていた。

「ラウラ、あの人インタビューしないか?」

「やる気満々ね。良いんじゃない?」

一人の女性に俺はインタビューをした。

「良いですよ。」

カメラの準備をして撮影をはじめた。

「いきなり全世界の人間が骨の姿になりましたが、何か変化とかありましたか?」

「私にとっての変化といえば、昔にした後悔が薄れてきたことですね。」

「そうですか。具体的にどんな後悔か話せますでしょうか?」

「良いですよ。私ね、生まれつき誰もが思うブサイクとして生まれてきたんです。」

女性は携帯を出して昔の写真を見せた。

「ほら、ブサイクですよね。親とか学校の奴らに顔のこと言われてすごいコンプレックスだったんです。もちろんこんな顔だったのでブスだの言われていじめられたし、性格もだいぶひねくれました。男子達からまず恋愛対象として見られることないし、女子からは顔面を馬鹿にされるだけじゃなくて見下されたり、自分のことをよく見せるための引き立てるための道具として使われました。認めたくは無かったけど、当時はいじめと立ち向かうには顔を可愛くしないと立ち向かえないと思ったんです。極力整形した事実はバレないように。これが外見至上主義の社会で生き残る唯一の手段でした。」

「外見をよくする社会を批判することはあったんですか?」

「本当は心の奥底ではありました。でも私は外見や年齢などの主従関係が強い社会で反発する精神力はありませんでした。私は外見至上主義に適応してまいました。」

違う写真を彼女が見せる。整形後の顔だった。

「ほら、整形して社会に適応したんです。もちろんブスの状態から整形とバレれば標的になってまたいじめられるから、その事実を隠して過ごしてたわ。次第に少しずつ他に気に入らない所を整形したわ。私のした施術ではメンテナンスが必要で、顔が崩れることもあった、そんなこともしてるうちにどんどん自分でコンプレックスを作ってはたくさん整形をしたし、お金がつきたら自分で注射器とヒアルロン酸を病院からパクって、日々変わる理想の顔になろうとしたわ。その結果がこれよ。」

また写真を携帯で見せて来た。彼女の顔は明らかに元の顔も整形後の顔の原型をとどめていなかった。

「その時になって整形なんてするんじゃなかったって後悔したの。でもその時に後悔してからは遅かった。後ろ指さされるのは嫌だった。だからマスクとサングラスをする生活だった。常に誰か見てないか気になったんだから。」

女性は自身の悲しい過去をどんどん話した。

「骨になってやっと気がついた。どうせ人類全員骨になる世界にならなくても皆いつか死んで骨になる。それなのに自分と他人の外見と周囲の目線を気にしまくっていたことにやっと気がついた。遅いかもしれないけど、整形なんてしなくてもこんな狭い世界で自分を傷つける必要なんて無かった。だから今の生活の方が良い。日々、自分に新しいことを教えてくれるの。整形した私が言うのもあれだけど、人の外見の醜さを食い物にしてビジネスをしてる奴らには大打撃ね。外見が良くないと前に進めない世の中に加担する人達に打撃が加わってスッキリした。」

「考えが整形依存から整形批判に変わったんですね。」

「あなた、上手いこと言いますね。」

「もう一つ聞きますが、元の世界に戻ったらどうしますか?」

「あんな窮屈な生活二度とごめんだわ。」

長いインタビューが終わった。

「良かったら私達と写真撮りませんか?」

「写真ですか?良いですよ。久しぶりに写真に写るわ。」

写真を撮ると、今まで以上に彼女は笑っていた。目も口も全体で笑ってる表情が伝わる。

「今までで一番綺麗だなと思います。素敵な笑顔ですね。後で写真を送りますね。」

ラウラが女性に言う。俺がラウラの言うことを韓国語で通訳すると彼女はまた笑った。

「ありがとうございます。あなたも綺麗ですよ。一緒に写れて良かったです。この写真大切にします。」

彼女は携帯をしまい、鞄から大量の美容グッズをゴミ箱に捨てて帰った。

「ラウラ、今日も良い人達に出会えたな。」

「そうね。仕事にプライド持ってる人の生きがいがなくなるのはどこの国でもあるけど、人の弱みを利用した産業が減って良かったね。私はこっちの世界のほうが好き。少数派かどうかなんて関係ない。」

「俺も。色々物事が重なって大変だったけど、おかけでこんな素敵な女の子に会えたからね。」

「誰のことかしら?」

「ラウラだよ。」

彼女のしなやかな手を握り、軽くキスをして抱きついた。

釜山や済州島などを観光したらいつの間にか最終日になり、飛行機に乗って帰国した。彼女は飛行機の窓に何かを書いた。

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